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第一章 第四幕 ナノマシン

とある商業ビルの地下駐車場。

その更に下に隠されたゲリラ活動用の隠蔽拠点がある。

急造ではあるが魔導術式をもって作られた空間だ。


簡易だがお風呂とベッドも用意してあり、それなりに快適な空間に仕上がっている。


今まで敵に捕まっていたレンをマキにお風呂に入れてもらっている。

裸のまま戦場を連れ回したてここまできたので土埃が身体について凄い事になっていた。


それで私の方は何をしているのかというと舞華の処置だ。

通常の毒は私達ヴァルキリーには効かないが強力なナノマシンともなれば話は別だ。


「んっ……あっ!」


舞華の口から色っぽい声が漏れる。

注射針を刺しただけなんですけどね。

顔も紅潮してかなり色っぽい。


ナノマシンに対する処置はまずは体細胞からナノマシンの一部を採取する事から始まる。

打ち込まれたナノマシンがどういう動作をするのかがわからないと対処のしょうがないからだ。

採取した血液をナノマシン検査キットに入れる。


睦月はこういう処置は得意だった。

戦闘では正直お荷物だったかわりにそれ以外の講習は熱心に受講していた。


既存のタイプのナノマシンならばこれで破壊可能なナノマシンがわかる。

ナノマシンは対抗できるナノマシンを使って破壊するしか無いのだ。

運が良ければキットの中に対抗できるナノマシンがあるだろう。


「やっぱりこれ、エッチなヤツですよね……」


残念ながら女性がそういう対象として狙われるのは世常だ。

ヴァルキリーといってもそれは例外ではない。

いやむしろ肉体の頑強なヴァルキリーの方が異星人達にとって、その価値は高いと言ってもいい。


舞華に撃ち込まれたナノマシンは皮膚の感度を引き上げ性感を高めるモノだった。

集中力を乱す事で捕縛しやすくなる上に捕縛した後に楽しむのに役に立つ。

正に敵にとっては一石二鳥と言える代物だ。


検査キットに反応が出た。

それを見てため息がでる。


「新型ですか……ここでは対処できませんね……専用の施設にいかないと」


「はぁ……はぁ……」


舞華の呼吸が荒い。

やっぱり興奮してきているんだろうか、潤んだ瞳でこちらを見つめてくる。


気が付けば私は彼女に覆い被さっていた。

思わず生唾を飲み込む。

ゴクリと大きな音がした気がした。


「んっ……いいよ……して」

「えっ?」

「自分で……ん……慰めるのも、しんどいっ……から、む、睦月がしてって……言ってん……の」


頭の中が真っ白になった。

だけどちょっと待って欲しい。

女同士でそういうこととか私は今まで考えた事なんてなかった。


それでも今の舞華はとても色っぽくて、ありていに言えば凄くそそる顔をしている。

それこそ女同士がどうとかそういう考えなんて軽く吹き飛ぶレベルで。

それに今の舞華はとてもつらそうというかもどかしそうでそのままにしておくのは可愛そうだった。


「本当にいいんですね」


私は覚悟をきめて彼女の服を脱がしたのだった。




「さてと、それでは今後の方針について話し合いたいと思います」


一晩休んで気力、体力ともにしっかり充足できたところで方針会議をはじめることにした。

衣服のなかったレンはシーツで作った即席の衣服を身に纏っている。

長身でスレンダーな肢体に巻き付けられたシーツがドレスみたいでカッコよくみえた。

青みががった黒髪を後頭部でまとめたポニーテールがレンのトレードマークだ。


ちなみに睦月とマキは防衛軍の女性士官服を、舞華はタンクトップとハーフパンツといラフな出で立ちをしている。

舞華の衣服は上下ともボロボロだった。

それが東京から大阪までの道のりが大変だった事をうかがわせた。


「その前に、確認したい事がある。十文字、お前はホントに十文字なのか?いや、それ以前にヴァルキリーなのか?」


最初に口を開いたのはレンだ。

彼女は口調が男性的というかとても硬いタイプだった。


「レンちゃん!いきなり何を?!」

「お前なんてヴァルキリーじゃない。なんて、随分な物言いね」

「睦月、とりあえず私の話を最後まで聞いてくれ」


お前は偽物だと糾弾されているにも関わらず、舞華は落ち着いていた。

発言がいちいち皮肉っぽいのはいつもの事だ。

頬は紅潮しているのは未だに体内にいやらしいナノマシンが残っているせいだろう。


「昨日、敵を振り切る時。お前が使ったあの術は何だ?!アレはヴァルキリーの術式じゃない!」

「えっ?あれは私達がよく使う破壊の光槍じゃないの?」


破壊の光槍。ヴァルキリーがよく使う基本の射撃術式だ。

魔導術には炎を操ったり雷を落としたりといった多彩な術が存在するが実際に戦闘で使うとなれば破壊の光槍が一番効率が良い。


「ああ、アレは私達ヴァルキリーの使う魔導術とは決定的に違う別の何かだ。確かにアレは魔導エネルギーを使った攻撃には違いない。私達ヴァルキリーの魔導術は魔導デバイスから術を飛ばすのが普通だ。何もない空間にいきなり術を発動させるなんて事はあり得ない」


「意外と目ざといわね。あれは東京での戦いの最中に編み出した新しい術よ」


「その東京だ。東京戦で何があったか教えてもらおう。東京戦で撤退時に第一部隊の生き残りがいないかどうかは徹底的に調査を行っている。三魔女の一人、観測の魔女、若宮透子が直々にな」


「透子さん、あの時は必死になって何種類もの観測術式を沢山飛ばしてましたよね……」


その場所には私もいた。

その時の事は私もよく覚えている


「透子が……そう……」


舞華の目が潤んでいるように私には見えた。

それも当たり前だろう。

観測の魔女、若宮透子と舞華は同室だったのだ。


「レンちゃん、その発言は少し無神経です!」

「睦月は黙っててくれ!」


しかしレンの糾弾はやまない。

それもそうである。

第一部隊、その中でも舞華の生死については彼女と同室である観測術の天才が徹底的に調査している。


しかも同室だったヴァルキリー同士の感応力は並大抵のものではない。

観測術の苦手な睦月ですら同室のレンの存在を離れたところから発見できる程なのだ。

透子が見落としていたなどと言う事は考えられないのである。


「はあ……話すしか無いようね。何処から話せばいいかしら?」

「最初からたのもうか」




そう、それは忘れもしないあの日の出来事。

私達の初陣の日


あの日は朝から暑かった。

いつもの様に起床警報で無理矢理起こされ急ぎ身支度を整える。

考える事はいつも同じ。


今日は五体満足で眠りにつけるか。

だいたいそんなろくでもない事ばかりである。


だけどその日はいつもと違った。

朝食として与えられたヴァルキリー用の固形燃料を食べきる時間もなく出撃警報が鳴り響く。

食べているのは食糧ではなく固形燃料である。

私達ヴァルキリーは通常の食事も食べられるが、人間が食べられないようなモノからもエネルギーの摂取が可能だ。

燃料関係は特にエネルギー効率がいい。


とはいえ、私達も元は人間だ。

燃料よりも人間らしい食事の方が良い。

だけど私達はここでは兵器扱いであり一片たりとも人扱いされない。


出撃訓練自体は訓練で聞き慣れたモノだったが、流石に固形燃料すら食べる時間すらないというのはどうなのだろうかと思っていると警報の後に通信官のアナウンスが入る。


「これは訓練ではない。繰り返す、これは訓練ではない」


ついにこの時が来てしまったかと思い長らも緊急時の規定に従って寄宿舎から駆け出した。

固形燃料は走りながら胃に押し込んだ。

早朝の緊急出撃は第三格納庫に集合だ。


格納庫に着いたら手早く点呼をとってすぐにヘリに乗り込む。


「すでに東京のかなり深いところまで進行されてるみたいね。プランE最悪の事態ってところかしら」


口を開いたのはこの大型輸送ヘリに詰め込まれた数部隊のまとめ役、若宮透子だ。


「訓練で手足を吹き飛ばされるのと、どっちが最悪かしらね」


こんな状況でもいつもの皮肉と軽口を忘れないのは舞華だ。

こういう時だとそういういつも通りが妙に心強い。


「プランEって事は透子の隊の戦区と私の隊の戦区、近いわね。リアルタイムで観測情報回しなさいよ」

「リアルタイムとか無茶言わないでよ。5分に1度で充分でしょ」

「1分!」

「4分」


関西人の値切り交渉みたいな事を初めた。

流石にちょっとリラックスしすぎではないだろうか。

この二人は。


「わっかた。じぁあ2分でいい」

「ホントにしょうがない子ね」


それから程なくして東京上空に着いた。

防衛軍の最新鋭のヘリだけあって流石の速さである。

眼科には一隻の敵戦艦と多数の揚陸艇が見受けられる。


プランどおりに戦区を巡回し始めるヘリ。

それぞれが各自の隊の担当する戦区上空に着いた順にヘリから飛び降りていく。

パラシュート無しのフリーダイブである。

ヴァルキリーはこの高さから飛び降りても怪我すらしないのだ。

次は舞華視点になります。


捕まっていた間レンはどんな事をされていたのか。

お風呂でのレンとマキの様子。

睦月は舞華の服を脱がせた後どうしたのか。

は余裕があったらノクターンで書きます。

余裕があれば……

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