いざ、異世界へ!
今日は高校三年生が卒業する日。そして、私、夕凪加蓮もその1人だった。
何事もなく卒業式は終え、三年生達は高校生活の思い出に浸っていたり、卒業の悲しみで涙を流す者も多くいた。
私はあまり悲しくはなく、これから訪れるだろう新生活を楽しみにしていた。
「ねぇねぇ、ユウくんのお姉ちゃんも卒業したんでしょー?」
そう思っていると、中学生くらいの2人が話しているのが聞こえた。
(お姉ちゃんに会いに来たのかな? 姉思いなんだろうなー。 ーーーん?あれはーーー)
私はとっても姉思いな子供たちを見ていると、その子供立ちに向かって猛スピードで走ってくるトラックを見つけた。
(うそ!このままじゃあの子達引かれちゃう!!)
そう思った時にはもう私の体は動いていた。 いつもの私ならこんなすぐに動けないのに、その時だけは、まるで誰かに背中押されたように。
「君たち危ない!そこから離れて!」
「え?ーーキャアッーー!!」
私は少し乱暴に子供たちを突き飛ばし、トラックの前から離れさせた。 だが、突き飛ばした私はすぐにはその前から動けず、トラックの前で止まってしまった。トラックはもう目の前で、私はここで死んでしまうことを悟った。
(あぁ、これはもうダメかなぁ。新生活、楽しみにしてたんだけど...。もうちょっと生きてたかったなぁ。)
そして、私はトラックに惹かれる鈍い音が聞こえたのを最後に、意識を失った。
「ーーゆうーーーれーーんーー」
「夕凪加蓮さん。目を覚ましてください!」
「うわぁ!!」
自分の名前を呼ぶ大きな声と共に意識が覚醒し、私はすぐに辺りを見渡して声の主を探した。
「え...?」
しかし、周りには人どころか建物、地球ならあるはずの青い空すら無く、ただただ真っ白な空間が広がっていた。
「何ここ...天国?」
「あながち間違ってないですね。 ここは私があなたの死後に来るようにした世界ですから。
「ーーー!!!」
私の呟きに答えた声は、さっき自分の名前を呼んだものとおなじものだった。そして、さっきまでは誰もいなかった場所に、四つの翼を持った美しい女性が、光とともに現れた。
「はじめまして、夕凪加蓮さん。 まだ私は女神ヒストリア。以後お見知り置きを。」
人間とは思えない神々しさを放っている彼女は、自分のことを女神だといった。
「め、女神様...ですか?」
「はい。女神です。 そして、あなたを転生させに参りました。」
聞き返すと、彼女は肯定した。まだ本当に神様だと信じきれてはいないが、人間にはあるはずのない翼を持ち、彼女がとても神々しいのが嘘ではないと証明していた。 しかし、彼女...いや、女神様が言っていたことが気になった。
「あの、女神様。 さっき、転生させに来たって言ってませんでしたか?」
「はい、言いました。 私はあなたに第二の人生を差し上げます。」
「!!?!? ほ、本当ですか!? ありがとうございます、女神様!」
私は女神様の言葉を聞いてとても喜んだ。 私はまだ生きてやりたいことがあった。そして、死ぬ直前までそれができないのを悔やんでいた。 しかし、女神様が転生。つまり生まれ変わらせてくれると言っているのだ。 それならば日本に転生させて貰ってやり残したことをしたいと思った。
「あの、じゃあ日本に転生させてください! 私、まだやり残したこと沢山あって、それをやりたいんです!」
かなり興奮気味にそう言うと、何故か女神様が困った表情をしていた。 少しはしゃぎすぎただろうか?と思っていると、女神様が申し訳なさそうに口を開いた。
「...たいへん申し上げにくいのですが、あなたを日本に、地球に転生させることは出来ません。」
「え...」
私はてっきり日本に転生させてくれるものだと思っていたため、ショックは少し大きかった。
(そっかぁ、日本へはもう聞けないのかぁ。 そういえば、お母さんたちに何も伝えることが出来ないけど、大丈夫かな? ショックで寝込んだりしてなかったらいいけど。 はあ、やっぱり日本への未練は多いなぁ。)
元の世界への未練タラタラで死んでしまったことを改めて知った私は、せめて死ぬ前は色々と家庭の事情でできなかったノンビリ、静かに暮らすことができないかと思っていると、女神様が提案をしてきた。
「同じ世界に転生させることは出来ませんが、違う世界になら可能です。 例えば、剣と魔法のファンタジーな世界とか。」
「え!?そ、そうなんですか!?」
それを聞いて私は少し気分が晴れた。 異世界ファンタジー、それは私がよく読むライトノベルのジャンルで、もし行けるなら行ってみたいと思っていたのだ。
(それに、平穏に暮らすことは別に日本じゃなくても出来るかもしれないなぁ。 なんかそう分かったら、さっきへこんでたのが恥ずかしくなってきちゃった...ま、まぁそれは置いといて、異世界かー、まさかホントに行けるなんて思ってなかったけど、案外いいかもね。)
「どうですか? 異世界、言ってみたくありませんか?」
なにかの勧誘のように言ってくる女神様に苦笑を浮かべながらも問題ないと伝えると、女神様は飛び跳ねろように喜んだ。
「あ、ありがとうございます! そう言っていただけて嬉しいです。 それでは早速、転生の準備を始めますね。」
何故女神様が嬉しいのか分からないが、聞いちゃ不味そうな雰囲気をもうそれはドバドバと出していたので聞かないでおく。
「はい。 お願いします。 あ、そういえば、向こうの世界で言葉は通じるんですか?」
言葉の壁はある意味一番大事なことだ。 いくら異世界転生したところで言葉が分からなければ意味がない。
「ごめんなさい、向こうの世界では日本語は通じません。 それと、 意識は生まれた瞬間からありますが、この二つはどうすることも出来ません。 どうかご理解頂けたらと思います。」
「ああ、いえ、大丈夫ですよ。言葉は向こうで覚えますし、それなら赤ちゃんからのほうが都合がいいですしね。」
日本語が使えないとなると色々と面倒だったが、赤ちゃんからなら時間は有り余っていると言っても過言ではないので、そこは心配しなくても良さそうだ。
「そうですか。 力になれなくて申し訳ありません。
あ、準備の方が出来ましたので、お送りしますね。」
「はい。お願いします。」
いよいよ私の第二の人生が幕おあげると思うと、とてもドキドキしてくる。 剣と魔法の世界、元いた世界とは全く違う未知の場所。
(魔法があるなら一度は使ってみたいなぁ。 それに、私の願いも叶えないとね。)
「それでは、異世界へ送りますね。 良い人生を歩めますように。」
すると、目の前が真っ白な光に包まれていった。
私は向こうの世界で地球にいた頃にできなかったことをする!
(何としてでも向こうの世界ではノンビリ、静かに暮らしてみせる!)
その思いを胸に私は徐々にくる浮遊感に身を任せる。
「あ、言い忘れましたが、あなたは向こうの世界では最強ですよ。 ふふ、私からの最大限のプレゼントです。 それでは、良い人生を。」
「え...?」
何かとても変なことを言っていたが、それはきっと聞き間違いだ。 うん、そうに違いない。
そう思っているうちに、私はとうとう異世界へ転生した。
どうも、はじめまして!Yuukiです。
初めて投稿するので、まだまだ分からないことばかりです。
ですが、それでも読者の皆様が楽しんでいただけるようなものをかけていけたらいいなと思っています。
これからどうか、よろしくお願いします。




