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とある転移者は王道を嫌う  作者: たまねこ
第1章
6/11

機獣乙女《ワルキュリア》1‐3

 ☆




 出会って間もないので絆の「き」のないと思うのだが。

 いきなりご主人様と呼び、こんな厄介なことに巻き込み、それでもナノは無条件で零を信頼している。

 それを感じたが少女の想いに答えるのは難しいし、初っぱなからなかなかハードだ。


 零は逃げるのをやめ、振り返って小蜥蜴一族プチ・リザードンたちと対峙する形を取る。

 奴らも走る足を止め、威嚇するように長い舌をチロチロさせ奇妙な音を出した。



「で、ナノ。こっからどうする?」

『ご主人様が考えてくださいのです』



 ━━巻き込んで丸投げか。



「技か魔術はないか?」



 零はスキル欄を操作してみる。



 >ナノ・スキル:ナノ・ファイヤー

 >ナノ・スキル:ナノ斬り



 やっぱりどこまでも残念なネーミングだ。



「実に威力がなさそうなネーミングだ」

『そんなことないのです!ナノ・ファイヤーはドラゴンのブレスに匹敵するくらいの火力があるのです!ナノ・斬りは大地を割ります━━なので!』


 自信満々に答えてくるナノに笑いがこみあげる。



「それは楽しみだ」

『そうなのです!』




 ☆




 ━━しゃあっ!



 その音が合図だったのだろう。

 小蜥蜴一族プチ・リザードンのリーダーであるニゲルが腕を振ると部下らしい蜥蜴が襲ってきた。

 レベル1だったらその動きをとらえることもできなかっただろうし反応もできなかったはずた。

 しかしスローモーションのように、蜥蜴の動きが遅く見えた。


 零は蜥蜴の一匹の攻撃を避けると同時にナノ・ブレードをふりおろした。


「ナノ。斬れ味が悪い」



 ナノ・ブレードは蜥蜴の腕を斬ったまではよかったが想像していた威力はなかった。



『そんなことないのです!ご主人様、力を使うときは呪文名と技名を言うのです!そうすればばばーん!と」

「・・・・・」

『ご主人様?なぜ遠くを見つめているのです?』

「それを唱えるのか?」

『ハイなのです!そうすることによって力は倍増、コントロールもできるのです」



 ━━それってはた目だと恥ずかしい光景ではなかろうか。



 子供の時はヒーローものに憧れて構えて技名を叫んだことはあるが今は。

 零が悩んでいる間に仲間が倒れたことに激怒したらしい蜥蜴たちが火の矢を解き放ってきた。

 ゆっくりと流れ落ちる火の矢を避けるのは容易く、零は目の前にいた蜥蜴にナノ・ブレードを振るい・・・・

 それを素早く動いたらしいニゲルが槍で受け止めた。

 ナノ・ブレードが弾かれる。



『ご主人様!必殺技なのです!』




 零はため息をして仕方なく技名を嫌々叫ぼうと考えたが、



「お、これは」



 ナノ・スキル欄が不思議な輝きを放っていることに気づいた。



 ━━これって無駄に叫ぶ必要ないんじゃないか?



 ステータスはかんがえただけできりかわった。

 それなら。



 ≫ナノ・スキル:ナノ・ファイヤー発動



 零がナノ・ブレードを掲げた瞬間。

 空に数体、赤い羽を持つ小さな妖精・・が出現した。

 ナノをスモールにしたような姿の妖精・・はにこりと微笑み、そして。

 小蜥蜴一族プチ・リザードンに抱きつくと自らを火の化身へと化した━━


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