表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/28

第6話 殿と経過

殿ルート③

※主人公視点


[三週間目]


「じゃあね、送ってくれてありがとう」


「ああ、気を付けてな」


 心配そうに私を見送る爽やかイケメン。体格も良いので、夜道ではとても頼りになる。

 私は、最近『兄貴』と一緒に帰っている。『殿』ルートでは『兄貴』の存在が重要だ。彼の存在が嫉妬を煽る原因になる。といっても、決められているルートとイベントなので、自由度は少ない。


 プレイヤーの自由になるのはここからだ。



「あ、忘れ物しちゃった。体操服、明日も使うのに……」


 明日も使うなら、置いたままでもいいじゃないか、と冷静に突っ込むのは心の声だ。ゲームキャラって規制が多すぎるよ。


「それならここにあるよ」


 背後から声がかかった。うん、知ってるよ、イベントだからね。

 振り向くと、『殿』が立っていた。


「……どうして、私の忘れ物を持ってるの?」


「君の机にあったから」


「どうして」


「どうしてって、君が聞くの?」


「……私に、何の用?」


「忘れた体操服を届けに来たんだよ」


 ……なんと答えようか。

「きつく言う」

「やさしく言う」

「無視する」

の三つがあるが、「無視する」を選ぶと五分の三の確率で即死する。確率、高過ぎる。面倒だが説得するしかない。


「なんで、すぐに声掛けてくれなかったの?わざわざうちまで届けてくれなくてもよかったのに」


 ……「やさしい言葉」か?これは。結構キツいと思う。が、『殿』はそう感じなかったようだ。


「やっぱり、君しかいない」


 髪の毛と眼鏡と夕闇とで、彼の表情は見えないが、どうやら喜んでいるようだ。


「わざわざありがとう、じゃあね」


 自分でも冷たいと思うが、さっさと体操服を受け取って家に入ってしまう。


「またあした」


 扉の向こうで『殿』が笑った気がした。


 ……そう、明日から『フラグ折り』が始まるのだ。

 最初の三週間はノベルゲーム形式で進んでいき、ほとんど選択肢はない。

 だが、残りの一週間は基本選択肢2パターンに追加して、『女の武器』コマンドが増える。どこで使うかは自分次第だ。……できれば使いたくはないのだが、使わなくては生き残れない。



 落とすからには、ハッピーエンドで終わりたい。……例えそれが、乙女ゲームに於いての『禁じ手』であるとしても。


女の武器

①泣き落とし

②色仕掛け

③調教

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ