第3話 殿と眼鏡
第三話 殿ルート①
※主人公視点
人が多い廊下。
そこでふざけ合っている男子たちが、とある男子生徒にぶつかってしまう。
かしゃん、と眼鏡が落ちた。
「ばか、お前が押すから」
「転んだよ、カッコワリィ」
謝ろうともせず、陰口を叩くバカ二人。
――吹っ飛んだ眼鏡は私の足元に落ちていた。
男子生徒はよく見えないのか、手探りで眼鏡を探しているようだ。
☆[拾ってあげますか?]
→はい
いいえ
……ここで拾わなければ「殿フラグ」は折れ、「兄貴」との「出会いイベント」に移行する。
今回は「殿」狙い、なのでちゃんと拾ってあげましょう。
「はい、コレ」
眼鏡を差し出すと、慌てて彼は顔を隠した。
長い前髪で顔を隠しているが、私は知っていた。彼がかなり美形なことを。
「……ぁ、りがと」
消え入りそうな声でも、いい声だ。やっぱ最初は「王道」でいきたい。
「いえいえ」
笑顔はタダです。サービスで付けておきましょう。 あなたのターゲットは、ここにいますよ。
さあ、これで「殿」ルート。とことん私に執着して、愛してくださいな。
そのたびに、きっちりと「ヤンデレフラグ」を折らせていただきます。
さあ、どうぞ。
プレイヤーは「ゲームに転生したゲーム知識がある主人公」をプレイしています。