守護神
どんなボールも必ず止めるサッカーのゴールキーパーがいた。
天賦の才か努力の塊か、人知の及ばぬ超能力か。はたまたその全てか。そのゴールキーパーはいついかなる時もボールを止め続けた。
このゴールキーパーをA氏と呼ぶ。A氏の所属するチームは彼に絶大な信頼を置いている。そのためA氏のチームは守備などしない。残りの10人で全力で攻めにかかる。ボールを奪われたとしても守備には戻らない。A氏に止められないボールはない。どれだけ策をねろうが、フェイントをかけようが、A氏ゴールを守り続けた。
絶対に負けることがない。どれだけ悪くても必ず引き分け。
人間というものは、勝つか負けるか分からないから盛り上がるというもの。必ず勝つ試合を熱狂的に見る人はいない。
サッカーブームの衰退を感じたA氏は、引退しバラエティー番組に出演しはじめた。
それからというもの、A氏は連日引っ張りだこの売れっ子になった。絶対にゴールを守る守護神と何かしらの矛盾形式の企画が乱立、A氏をテレビで見ない日はなかった。
ところが、彼が引退を発表した。今後は後進の指導に努めるとの事だった。
もちろん芸能関係者は黙っておかない。A氏が出るだけで視聴率はうなぎ登り。彼は最早番組の守護神でもあった。
A氏は信頼している記者に唯一このようなメッセージを残した。
「不敗神話が破られるのが怖くなった。とんでもないものが来そうな気がした。」
プロデューサー、やっぱりまずかったんですよ。
最近やり過ぎてたからな、棘鉄球とか本物の手榴弾とか。俺なんか武器商人と繋がり持ちすぎて刑務所行きだからな。
これは庇いきれないですよ。
なんせ本物のバズーカ砲を用意するなんて。
行けると思ったんだがなぁ…




