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翠閻≠弔い  作者: つむろ.〈CANA.〉
一章.

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5/6

Ⅴ.

「それじゃ、ペアを決めようか。 緋華は僕と。嵐は……藍菜とどうかな?」




ツルミヨがヘッドフォンを首にかけ、軽やかに告げた。

訓練場の中心で、それぞれの霊力が静かに渦巻き始める。



「私と、九条さんが……」



藍菜がおずおずと前に出る。

俺は無言で彼女を見据え、左手を微かに震わせた。

冷たい空気は、常に俺の皮膚を針で刺すように攻め立てている。


「手加減はしない。……来い」


「は、はいっ! ――異能力、氷叫(ひょうきょう)!」




藍菜の黒く染まった手元から、美しいが俺にとっては致命的な「氷の礫」が放たれる。

俺は奥歯を噛み締め、その「冷たさ」が肌に触れる前に声を絞り出した。



第四形態(フォースタイプ)怪壁(シールド)……!」



漆黒の障壁が展開され、氷の礫を弾き飛ばす。

だが、その衝撃で舞い散った冷気が霧となり、俺の頬をかすめた。



「……っ!」



焼けるような激痛。

俺は声を殺し、痛みを燃料に変えるようにして距離を詰める。










一方、その隣では―――。




「本気で行くよ、ツルミヨ。――逆鱗(げきりん)・双炎」




緋華の両手から、巨大な二条の炎がツルミヨを飲み込まんと迫る。

対するツルミヨは、一歩も動かない。

ただ、鼻歌を歌うような余裕で右手を掲げた。



「いい熱量だね。緋華、やっぱり研究だけじゃなくて、コッチの才能もあるよ」



ツルミヨの周囲に、幾何学的な模様を描く紫の透過シールド――八重垣(やえがき)――が展開される。

緋華の猛火はその障壁に触れた瞬間、勢いを失うどころか、まるで吸い込まれるようにシールドの紋様に蓄積されていった。




「吸い取られてる……!?」


「正解。僕のシールドは、受けた衝撃を運勢に変えて溜め込むんだ。……さて、サビの時間だよ」




ツルミヨが指をパチンと鳴らす。

次の瞬間、シールドに蓄積された緋華自身の炎が、何倍もの衝撃波となって弾け飛んだ。



反撃(オートカウンター)―――螺旋紫雲(らせんしうん)、吉凶」


「あっ!?」



爆風に押され、緋華が後退する。

ツルミヨはそれを追いかけず、優雅に着地した。



「あはは、ごめん。ちょっと溜めすぎちゃったかな。

……ねぇ、嵐。そっちはどう?」



ツルミヨの呼びかけに、俺は藍菜の追撃を「怪壁」で凌ぎながら、苦々しく答える。



「……喋る余裕があるなら、そっちで遊んでろ」



俺の視界が、痛みのせいで赤く染まり始める。

藍菜の「氷」は、俺にとっての天敵だ。

守れば守るほど、周囲の温度が下がり、俺の怪絽が悲鳴を上げる。



「九条さん、顔色が……! すみません、私、やっぱり……」


「……謝るな。続けろ」


「で、でも……!」



俺が強引に地面を蹴り、藍菜の懐に飛び込む。

その背中で、ずっと沈黙していた撞依(つくよ)が、獲物を見つけた蜘蛛のようにクスクスと笑った気がした。

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