開幕
──桜藤学園。
ここは“ある人”しか入学できない特殊な学校で、幼、小、中、高一貫の学校でもある。
“ある人”とは、特殊能力を持った人だ。例えば、透視、遠距離操作ができるなどだ。
今日、私はこの学校に通うことになった。……というか、通えるように努力した。
私は小篠 純夏。中学三年生。
私は幼稚園生の時から、この学校に通いたいと思っていた。だけど、特殊能力は無く、入学できなかった。
それから私は、本気で練習した。私が欲しかったのは“透視”だ。だけど、練習は水の泡。私は諦めたが、両親は落ち込んでいる私を見て、ネックレスを私にくれた。何故かと訊いてみると、「これで入学できるよ」とただそれだけしか言わなかった。だけど、私は嬉しかった。
だから私は通えることになったんだ。
「翠嶺中学校から来ました。小篠純夏です」とごく普通の自己紹介をした。
クラスは「翠嶺中?」「マジか」という声が聞こえた。
「頭いいところだよ」
「よろしくお願いします」と頭をぺこりと下げた。すると、「はい!」と元気な声で一人の女の子が手を挙げた。
先生が「白旗」と指名した。
「能力は何ですか?」と訊かれたので、私は「えっと、透視です」と答えた。
白旗という人は私が話終わっても私を見つめていた。
「あ、私、白旗 佑夏っていうの! よろしくね!」と笑顔で言ってくれた。
私もつられて笑顔で「よろしく」と言った。
昼休み、白旗さんが話しかけてきた。
「今思ったんだけどさ、二人の名前って“夏”という漢字が含まれてない?」と言われた。確かにそうだと気付いた。
「ペア名さ、夏の二乗でよくない?」
純夏×佑夏=純+佑+夏²
略して夏の二乗
確かにそうだ。
「あ、ちなみに私の能力は人の心を読むこと!」とウインクしながら白旗さんは言った。
(やばい。読まれちゃう……)
「さっき、読まれちゃう、って思ったでしょ? 大丈夫だよ! そんな読まないから! 読むとしたらテストの時くらいかな?」
本当に読まれていた。いや、本当に桜藤学園に入学できたんだ。
「だけど、大体呼び出し喰らうんだけどね」
そういえば、行事とかはどうなんだろう。公式サイトで見たけれど、沢山あって忘れてしまった。
「行事はね、沢山あるけど……唯一盛り上がるのが、体育祭! 普通の学校と違って私たち、特殊じゃん。その能力を使ってゲームをするって感じだから面白い!」
すると、「なあ。何話してんの? 混ぜて」と二人の女子が来た。
見た目は意地悪げで失礼だけど、誰かをいじめてそう。横にはスマホを持ってにやにやしている人がいた。
白旗さんが、「大丈夫だよ。見た目は……まあ、そうだけど、中身は意外といいよ」と言ってくれた。
「この意地悪げな人が長柄 むつこ。能力は遠距離操作。それで、そのスマホ依存症な人が板本 万里佳。能力は暗記、記憶」
「何変なこと教えてんだよ!」と長柄さん。そして「そうだよ! 依存症じゃないし!」と共感する板本さん。
「あ、変な人じゃないから」と言ってくれた。
確かに中身はいい人そう。
「よろしくね! 白旗さん、長柄さん、板本さん!」と笑顔で言った。
だけど、周りはしんとしていた。
一呼吸置き、長柄さんが「なあ、下の名前で呼ぼう。友達だろ?」と言ってくれた。
遠慮してはいけない、と思い、「改めてよろしくね! 佑夏ちゃん、むつこちゃん、万里佳ちゃん!」と言った。
またしんと静かになった。
「なあ、呼び捨てで呼ぼう」とむつこちゃんが再び言った。
「またまたよろしくね! 佑夏、むつこ、万里佳!」と言った。
──始まる。新しい私の学校生活が。
初めて超能力系の小説を書きました。
書いてみたかったんですよ。
下手くそですが……