第6話"最前線での戦い"
ひっっっっっっさびさ更新です。
長らく書けず申し訳ない。
「っし、これで最後...」
「ありがとうございます、零さん!」
「いいんスよ、これが俺に課された運命ってやつなんで」
残っていた軽傷患者も全員治療し終えた。あれ以降、そこまで時間はかからなかった。合計400人くらいいたが...彼らは軽傷患者。銃で撃つまでもなく、ちょっと傷口に触れるだけで傷が治ったのだ。
スキルの効果に『与える影響が回復効果になる』的なことが書いてあった気がしたから、軽傷なら銃で撃つほどの大きな影響を与えるまでもなく治せると推測し...見事、的中した。
「あの、零さん」
「ん、何ですか?華さん」
俺の手伝いをずっとしてくれていた華さん。彼女は周りがとてもよく見えているし、頭も切れる。彼女がいなかったら、ここまで円滑に治療を進めることは叶わなかっただろう。
どうかしたのだろうか?もしかして、まだ患者が残っていたとかだろうか?
「その...ありがとうございました」
「...?」
急にそう言い、深々とお辞儀をされた。状況が理解出来ず、一瞬固まってしまった。
「え、えっと...それは何に対して、ですか?」
「私は...先程話したように、医者でありながら治療が出来ない無能です。この地の救護班長でありながら、私の手では...誰一人、怪我人を救うことができなかった。でも...あなたのおかげで、この戦地の怪我人は救われました。私の代わりに役目を果たしていただいて、ありがとうございました」
そう言い、再び深くお辞儀する。
うーん、そう言われてもなぁ...
「俺は俺のやるべき事をしただけっすよ?俺が助けたのは華さんじゃなくて患者さんたちですし、そんな華さんの代わりだとか、そういうのじゃないですし...」
「ですが...」
「てか、華さんがいなかったらこんな早く治療終わりませんでしたし...感謝するのは俺の方ですよ。手伝ってくれてありがとうございました、華さん」
「...!!」
ま、感謝されること自体は嬉しいんだけどな...ただ、自分がしたことじゃないのに感謝されるってのは...なんつーか、ちょっと厚かましい気がするからな...
「...あなたは、不思議な人ですね」
「俺からしたら、この世界そのものが不思議って感じですけどね...」
「そっか、そういえば、零さんは一応『堕天使』なんですね。すっかり忘れてました、その設定」
「せ、設定...?」
え、あれ?もしかして、信じられてない?俺が異世界人なの...
俺ってそんなに信頼なかったのか...?
「...っと、こうしてる場合じゃなかった。華さん、俺はこれから前線に向かいます。今も傷つきながら戦ってる人がいるはずなんで、その人を治すために」
「分かりました。お気をつけて」
「はい。朗報、期待しといてください」
正直、前線に出るなんて危険極まりないことはしたくない。死ぬ可能性だってあるし...本当に、怖くてたまらない。でも...
俺はもう、引かない。逃げない。俺が俺自身を、絶対に逃がしたりなんてしない。
これが、俺の...俺なりの、償いだ。
透也から貰ったサブマシンガンを手に持ち、病室をあとにする。
最後まで、俺の役目を果たすために...
病室から出ると、基地の中をたくさんの人が相変わらず慌ただしく走り回っていた。
だが...少し離れた場所で、40人ほどのグループが、足を止めてこちらを見つめているのに気がついた。何をしているんだ...?
そのグループに近づいて気づく。その者たちには...見覚えがあった。
「...!お前たちは...」
それは、さっき精神ショックを受けていた人たちだった。今は精神も安定し、傷も俺の治療を受けて完治し...これから戦場へ赴くため、武装している。
「零さん、お待ちしてました」
「...え?」
精神不定で終始怒っていた男が、代表して俺に声をかける。
「待ってた...?」
「はい。零さん、今から前線に行くんですよね?」
「あぁ、そうだけど...」
「やっぱり...俺たち、ここで待ってた甲斐があったな」
「...?」
なんの話だ?さっぱり状況が読めない...
「なんで待ってたんだ?他の奴らはみんな行ったのか?」
「今ここに残ってんのは俺たちだけ。あとは、みんな戦線に赴きました。俺たちが待ってたのは...零さん、あなたを守るためです」
「守る...?」
「はい。零さん、一応『堕天使』なんでしょ?だから、戦闘経験ないんじゃないかと思って」
間違ってないけど、なんでさっきからみんなして俺の『堕天使』を疑ってるんだ?
「さっき銃を構えてる時、完全に素人のそれだったんで、確信に変わったっすけど」
「う、うるさいな!今から勉強するって時に派遣されたんだよ!!」
「ははっ!ま、そういうことなんで。こっからは、俺らが零さんを守りますよ」
その言葉に追随するように、他のみんなも口々に言う。
「零さん、任せてください!」
「絶対傷1つつけないっすよ!」
「俺らに、お礼させてください!」
さっきまであんなに狼狽えていたというのに...今の彼らは、自信に満ち溢れていた。本当に頼もしい限りだ。
「...ま、俺もひとりじゃ心細いと思ってたんだ。ありがたく、力を借りるよ」
「「「はい!!!」」」
頼もしい味方と共に、俺たちは、俺が最初にこの基地に入ってきた入口とは逆の...前線がある方角の出口から、外へと向かった。
「これは...荒れ地...?」
基地の外へ出ると...あたり一面が、まっさらな上、かなりでこぼこしている場所へと出た。
植物がほとんど生えておらず、かなり荒んだその土地から、サバンナのような場所なのだろうか、と思った。
だが、少し離れた場所に、一箇所だけ木々が生い茂っている場所が見えた。そこだけやけに生命が生き生きとしている様子は不思議でならなかった。
「このあたりは、もともとは広大な森だったそうです。ただ、長年の戦争で、このあたりも戦火に包まれたそうで...それで、この荒れ果てた大地が出来上がったんだそうです」
「そうなのか...じゃあ、あそこは無事だったんだな」
「そのようですね。だからこそ、あそこに監視塔を置いたんだと思いますよ」
「監視塔...あれか」
木々の奥に、一際目立つ高い塔が立っているのが見えた。たしかに、あそこはこのまっさらな荒地に比べたら遥かに攻めにくいだろう。
「さて...先を急ぎましょう。前線は、もう少し先です」
「あぁ、分かった」
俺たちは駆け足で前線へと向かい──
ほどなくして、最前線の少し後方にいる支援部隊のもとへとたどり着いた。そしてそこで...新たな仕事が、俺を待ち受けていた。
───────
時は少し遡り──前線にて。
「...っ、はぁ、はぁっ...!」
「陣形が崩れてきた!右側、前へ出すぎるな!!」
「ぐあっ!」
「加護が...もう、限界です!!」
「...!!クソっ...!」
まずい、本当にまずい...!!
最前線で敵の攻撃を受け止め続けていたタンクが、止むことの無い猛攻によって、ついに体力と耐久力の限界を迎えつつある。
精神的疲労も蓄積され、陣形も崩れ始めた。中後衛の射撃組も、いよいよ弾切れが近づいてきている。
「まずい、左側が落とされる!」
「くっ...させない!」
タタタタタタッ!
「ぐあっ!」
「がはっ...!」
トドメを刺そうと前に出てきた敵を、東部式小銃3番によって撃ち落とす。そして...
「退け、風夏!」
「はい、英志さん!」
若干前に出て浮くことでヘイトを稼ぎ、そのタイミングで、『疾風の加護』を発動し、向かってくる弾を回避しながら再び陣形を戻す。
この西部前線は、過去の戦争の影響で、あたりは真っ平になっている。そのせいで遮蔽物なんてものは一切ないし、見通しも弾の通りも抜群。だからこそ、浮いた駒はすぐに狩られるし...
「まだだ、まだ耐えられる!」
「こんなところで退けるかぁ...っ!」
降りかかる攻撃の雨嵐を防げるタンクが、誰よりも重宝されるのだ。
だからこそ、この陣形を崩されたら終わる。相手は数が多い分、多少数が減ってもある程度問題ないが、私たちはそうはいかない。
なんとか持ち堪えなければ...!ここで陣形が崩されたら、私たちは全滅する。
「くっ、もう、ダメだ...」
「これ以上は、もう装備も加護も...!」
まずい、みんな弱気になり始めてる...!
「諦めないで!きっと、きっともうすぐ援軍が──」
「...ごめん、風夏。俺はもう...」
ガガガガガッ!!
左寄り、中央で攻撃を受け続けていたタンクの3人の持っていた装備が破壊され...大量の銃撃を浴び、血があたりに飛び散るのが見えた。
「なっ...まずい、3人落とされた!!」
「...!くっ...!!」
3人が後ろに倒れ、陣形に穴ができる。
そして、その隙をつくように...今までその膨大な数のタンク横並びになり、守り気味の陣形を取っていた敵軍が、タンクを下げて射手を前に出し、総攻撃を仕掛けてくる。
「...!!この数は...」
「...私が、止めないと...!」
「!?風夏、待ちなさい──」
英志さんの制止を聞かず、加護を使って動き出す。
「はああぁぁぁぁっ!!」
ダンダンダン!
「...!?なっ...ぐああぁぁっ!!」
射手たちの中に一気に突っ込む。意表を突かれた相手の射手たちは、私に反応できずに一瞬硬直する。その隙に、東部式散弾銃1番で、付近の敵を全員一撃で吹き飛ばしていく。
散弾銃は、射程こそ短いものの、近接戦闘における火力はピカイチ。私の加護と最も相性がいい武器だと言えるだろう。
それでも...
「馬鹿め、1人で敵陣に来て生きて帰すわけないだろう!!」
「くっ...!?」
ダダダダダダダダダッ!
「...がぁっ!」
周囲の敵を蹴散らしたせいで、敵との間に僅かに間合いができる。その間合いは...散弾銃ではなく、サブマシンガンの間合い。
集まっていた射手たちにとって、私はカモでしかなかった。容赦ない銃弾の雨に晒され、左足と右肩に被弾する。
撃たれた箇所から痛みが響く。その痛みによって、全身から力が抜けるのを感じる。だが...
「...ここで死ぬわけにはいかない!」
まだ右足は生きてる。ならば...ここから抜け出すことはできる!
ビュッ!!
「...!クソっ、逃げられた!」
「鬱陶しい加護め...!」
ギリギリで『疾風の加護』を使って、一気に敵陣から抜け出すことができた。でも...
「風夏!その傷は...」
「はぁ、はぁっ...!ごめん、英志さん。この傷じゃもう...動けないかも...」
左足に力が入らず、立っていられない。右腕が動かせず、銃も持てない。これじゃあ、役立たずどころか足手まといだ...
「...くっ、ここまでか...」
ここまで頑張ったけど...もう、これ以上は耐えられない。
私の特攻で乱れたはずの相手軍の射手たちは、再び陣形を立て直す。そして...今度こそこちらの軍を破壊しようと、攻撃準備をする。
これを耐える余力は...残っていない。
「ごめんなさい、私が...弱いせいで──」
と英志さんに告げようとした、その時だった。
「はぁ...つい数刻前の僕の言葉、もう忘れたんですか?醜態晒して楽しいか...そう聞いたはずですが」
「...え?」
ガガガガガガガガガッ!
突然、後方から敵陣へ向けて、弾幕が張られる。何事かと振り返ると...そこには、さっきまで病室で寝ていたはずの怪我人たちが、銃を持って並んでいた。そして、その中央にいたのは...
「どうらや、よほど自身の泣きわめく姿に自信がおありのようですねぇ?」
「...透也...!!」
それを見て...全部察した。
「そう、そっか...間に合ったんだね」
「えぇ、彼はどうやら、やり遂げてくれたようです」
「ありがとう...零...!!」
どうやら、あの大量の負傷者全員の治療をこの短時間でやりきってくれたようだ。本当に...反則級のスキルだな...
でも...零の治療によって、怪我人たちが復帰し...戦況は、完全に持ち直したと言えるだろう。それどころか...
一気に復帰した戦士たちは、やる気に満ち溢れていた。
「行くぞ!今までサボってた分を取り返す時だ!」
「「「「うおおおおおおおっ!!!」」」」
それに対し敵軍は...
「なっ...なんだあの数の援軍は!?」
「聞いてないぞ!いったい、どこから湧いてきたんだ...!?」
急な援軍に、混乱の様子が見受けられた。本当に、彼には感謝しないといけない。
「さて...ここからは僕も攻撃に加わります。いい加減、加護使ってチマチマ撃つのも疲れてきましたのでね」
「分かった、じゃあ私も...っ!!」
立ち上がろうとして、思い出した。そういえば、私さっき撃たれたんだった...
「風夏さんは動けないでしょう?そんな傷じゃ...」
「う...まぁ、その通りね...」
「まぁ、無理せず大人しく休んでなさい。彼らのように...」
そう言って、さっき撃たれたタンクたちを指さす。
彼らは大丈夫なのだろうか?モロに撃たれていたはずだけど...
こんな戦場のど真ん中では、まともに治療なんかできない。彼らは装備を破壊されたあと、少しの間撃たれて続けていた。それも、腹部あたりを狙われて...
...きっと、長くは持たないだろうな。私が、頼りないから...
「...風夏さん」
「...?」
「あなたがいなければ、この前線はとうに崩壊していました。ここまでの奮闘に敬意を表します。よく頑張りましたね」
ポン、と頭に手を乗せながら、透也はそう言った。
あぁ、あなたは本当に...
「ですので、あとはお任せを。くれぐれも無茶はしないように」
「...えぇ、分かった。ありがとう、透也」
「私は何もしていませんが...まあ、いいでしょう」
今も尚激しい銃撃戦が繰り広げられている最前線へ走り出す透也を見送り、私はそこから少し離れた後方支援部隊のもとへと移動しようとして──そこに、見知った顔を見つけた。それは...
「...え?なんであなたが...零が、ここにいるの?」
───────
時は少し遡り──
「この3人は...!?」
後方支援組のもとへ辿り着いた俺の目に飛び込んできたのは、腹部から大量出血し、意識を失っている3人の大男だった。
とても重厚な装備を身にまとっているのに、その腹部だけはボロボロになっている。おそらく...相当大量の銃撃を受けたのだろう。
「彼らは最前線でタンクとして攻撃を受け続けていました。しかし、相手の攻撃に耐えきれず...」
「なるほどな...!!」
後方支援部隊の救護班と思しき人から、そう告げられた。
一目で分かったが...彼らの命はそう長くはもたない。今すぐ治療しなければ、手遅れになる...!
「頼む、間に合え...!」
急いで銃を構える。そして、銃口を3人へ向ける。
「...!?あなた、何を...!!」
救護班の人は驚いていたが!説明している時間は無い。
ダダダッ!
3人へ向けて、弾を放つ。
「...!!あなた、本気で何をして...」
と言いかけた救護班の人は、そこで異変に気がついてくれた。そして...俺も、その異変を察し、安堵する。
「...間に合ったみたいだな...」
彼ら3人の腹に空いていた穴は、綺麗さっぱり消失していた。それどころか...全身にあった細かな傷さえ、綺麗に治ってしまった。
そこから、救護班の人に全て説明して、納得してもらえた。まあまあ説明には難航したが...
「他に怪我人は?」
「はい、こちらに...」
少し離れた場所に寝かされていた、12人の怪我人たちも、一瞬で治療する。我ながら、なんて便利なスキルなんだ...
「さて、これで俺の仕事は一段落──」
と思っていた時...不意に、聞き覚えのある声が聞こえた。
「...え?なんであなたが...零が、ここにいるの...?」
その声を聞き、振り向くと、そこには...
「お、風夏──って、その傷、どうしたんだ!?」
ボロボロの状態の、風夏だった。
───────
そして、現在──
私の目に映っているのは、さっきまで基地にいたはずの零だった。
その軍服には...さっきまで無かったはずの穴が、腹部あたりに空いていた。
「!?その穴は...」
「お、風夏──って、その傷、どうしたんだ!?」
向こうは向こうでこっちの心配をしてきたが、今はそれどころじゃない。
「その服の穴、どうしたの?まさか、ここに来る途中で...」
「え?あー、いや...こっちは話すと長くなるからいいんだ。それより、お前の怪我のがやばいな...ちょっとこっち来てくれ」
「いや...え?」
何をする気...?ていうか、本当に大丈夫なの?
と考えていると...零が、不意に私に銃を向けてきた。
「え!?ちょ、何を──」
と言いかけて...やっと思い出した。そういえば、彼のスキルは...
ダンッ!
銃弾が、腹部あたりに命中する。本来その弾は体を貫き、傷口から大量の出血が始まり...数分で死に至る。でも...彼の場合は、そうはならない。寧ろ...
「...傷が、治った...」
「これで大丈夫だ。にしても、酷い怪我だったな...」
元々あった傷が癒え、元通りになる。それにしても...
「...あなたのスキルがあるとはいえ、銃を向けられのはビックリするわね...」
「ハハハ、確かにな」
「...!!そうだ、零!」
「ん?どうしたんだ?」
「致命傷かもしれない人がいるの!さっき前線でタンクをしてたんだけど、腹部をかなり撃たれて、出血もかなりの量で──」
私なんか後回しでいいから、彼らを──と言い切る前に、零は私の話を遮りながら、ある方向を指さす。
「それ、彼らのことだろ?もう治療は終わったぜ」
「え...!?傷がない...!!」
その指の先にいたのは、確かに彼らだった。だが...腹部にあるはずの傷はなく、それどころか全身に負っていたはずの細かな傷さえも無くなり、肌は戦う前よりも綺麗になっている気がした。
「...ほんとに反則ね、そのスキル...」
「そりゃどーも。にしても...間に合ったみたいでよかった」
「本当にね...それにしても、なんであなたまで前線に?」
基本軍医は、基地で重症患者を治療するのが仕事。前線まで出てくる軍医なんて、聞いたことないのに...
「え、軍医ってそういうもんじゃないのか?」
と思ったが、そういえば彼は<堕天使>なんだった。こっちの世界の...というか、戦争の常識なんて知らなくて当然か。
「あなた、<堕天使>って設定だったわね...忘れてた」
「設定じゃねぇよ!事実だわ!いやあんま認めたくもないけどよ...!」
さっきまで、敗北目前で、完全に心を折られていたのに...軽口を叩く余裕さえできてしまった。それもこれも全て...零が来てくれたおかげだろう。
「さて...んじゃ、俺らも前線戻るか」
「えぇ──って、あなたまで来るつもり!?」
「当然だろ?そのために来たんだから」
いくらなんでも危険すぎる...!それに、零が来てもほとんど何も...
「...何しに来るのか、って思ってるんだろ?」
「...!!」
「俺が前線にいれば、味方は絶対に死なねぇ。何が起きても、どんな時でも、すぐに傷を治せるからな」
「...!!確かに...」
「それに...俺のスキルの対象は、何も他人に対してだけじゃねぇ」
「...?...!!まさか...」
「当然、俺が俺自身に与える影響だって、回復に変わる。撃たれてもへっちゃらだぜ」
それが事実ならば、本当にとんでもない戦況の破壊神なんだけど...
ていうか、我ながら軍医が破壊神ってなんか変ね...
「何考え込んでんだ?」
「...!!いえ、なんでもないわ。たとえ回復できるとしても、あんまり無茶はしないでね!」
「おう、もちろんだ!こんなとこで死にたかねぇからな!!」
私たちは、激しい銃撃戦が繰り広げられる最前線へと駆け出した。
次回、西部戦線編第1章ラストです。更新空かないように頑張ります。




