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第2話"運命"

文字数増やそうと思ったんですが、展開進めすぎるのもよくないよな...と思って結局いつも通りくらいの文字数になるのどうにかしたいです

「連絡が完了いたしました。いつでも来ていいとのことです」

「では、案内してやるのだ」

「承知致しました。行くぞ」

「あぁ、わかった。輝史様、ありがとうございました」

「...よい。其方に、神の祝福があらんことを」


 俺は、透也と共に、この部屋を出た。




「...(えい)よ」

「はっ」

「彼の者は、恐らく今後戦争に大きな影響を与える。良いか悪いかは分からぬが...」

「はい、そうでございましょう」

「じゃから...見守るのだ。彼の者が寝返らぬよう。そして...必ず、傷つけぬように」

「はっ!その任務、承りました!」

「信じておる。其方ら...五芒星(ペンタグラム)をな」




 エレベーターに乗り、俺はひとつ上の階...100階にたどり着いた。

 このあまりに高いタワーの、頂上である。

 エレベーターから降りた先は...物々しい雰囲気が漂っていた。

 薄暗い廊下が...どこまでも続いている。


「ここには、何があるんだ?」

「ここには...この国を統べるお方がいる」

「国を統べる...!?ってことは、王様ってことか...!?」

「えぇ、そうです。ですから...絶対に、無礼は働かぬように」

「あぁ、気をつけるよ」


 なんだか緊張してきた。まだここに来て数時間も経ってないはずなのに、国王に会うことになるなんて...

 ふと前を見ると、巨大な扉が見えた。どうやら、あの先にいるらしい。


 先程同様、透也がノックする。


「輝明様、連れて参りました」


 扉の奥から、勢いのある声が聞こえる。


「入っていいぞ!」


 さっきの重い声とは、随分対照的だった。

 扉がギィ、と音を立てて開いた。その先は...さっきの和室とは異なり、洋風な、謁見の間となっていた。

 壁はきらびやかに飾り付けられ、天井からはシャンデリアがぶら下がっている。床は、レッドカーペットが敷かれていた。

 両脇に数人の兵士たちが跪き、正面には玉座。そして...その上に座る、金髪の男。

 重そうな、金と白で構成された、豪華な服を着て、真珠のネックレスと、耳には青い宝石のピアスを付けている。

 左目は白く、右目は青色に輝いている。オッドアイというやつだろうか?顔立ちはとても綺麗で、The・イケメンという感じの雰囲気をまとっている。

 装いから直ぐにわかった。この男こそが...

 国王、その人であろう。


「初めまして、だね。零だったか?」


 明るい声色と、気安い口調で話しかけられる。

 口調も、声質も、輝史様とは真逆の特徴。なのに、どこか心を惹かれるような、そんな雰囲気はとても似ていると感じた。


「初めまして、国王陛下。私は、楠木零と申します」

「輝明様、この者が、先程申した<堕天使>でございます」

「そうかそうか...俺も名乗らせてもらおう。俺は伊神輝明(いかみてるあき)、ジパングの王だ。よろしくな、零」

「え、と、よろしくお願いします...?」


 なんていうか、とてもフランクな人だな...


「さて...本題に移ろうか」

「本題...ですか?」

「零にここに来てもらった理由は、零の加護とスキルの効果を確かめるためなんだ」

「効果...ですか?」

「そう。本来<堕天使>がどんな加護を授かるかは聞いたよな?零のもらった加護とスキルは、全く前例のないものだったんだ。その上、スキルに関しては『運命』の名を冠する。だから、どんな効果を持っているのか、把握しておきたいんだ」

「なるほど...?」


 大体理解した。要は、俺の能力を把握して、戦争でどう使うかを考える、という意図なのだろう。といっても...


「効果って、どうやったら見れるんですか?」

「あぁ、念じたら見えるよ」

「ね、念じる...?」

「そう、念じる。自分の加護とスキルの名前を想像して、念じるんだ。『自分には何が出来るんだ?』ってな」

「やってみます」


 そんなことができるのか...?本当に、不思議な世界だ。

 とりあえずやってみるか。俺の授かった加護とスキルの名前...

『ナイチンゲールの運命』と、『楽園の加護』、だったな。

 それにしても...ナイチンゲール、か。

 歴史上の人物の中で、俺が一番好きな人。自ら戦地に赴き、多くの人々を救っただけでなく...彼女のおかげで、現代医療は成り立っていたと言っても過言ではないほど、多大なる影響を与えた、神のような医者。


 そんな人の名を冠するスキルか。一体どんな効果があるのか...

 と、考えていると、突如目の前に何かが浮かび上がってきた。


《全ての人々を治療する、慈愛と知性に満ちた権能》

《あなたの与える影響は、全て回復へと転じます。銃撃も、衝撃も、言葉さえも...》


「うわっ!?」

「どうした?」

「きゅ、急に目の前に白い文字が出てきて...」

「ほう、それはスキルの効果だな。なんて書いてある?」

「えっと...《全ての人々を治療する、慈愛と知性に満ちた権能》らしいです。その下は、《あなたの与える影響は、全て回復へと転じます。銃撃も、衝撃も、言葉さえも...》らしいです」

「回復系か...なかなか凄そうだな!加護の方はどうだ?」

「えっと、加護は...」


 今スキルの効果を見たのと同じように、想像する。

 加護の名前は『楽園の加護』。効果は...

 再び、文字が浮かび上がる。今度は、青色の文字だ。


《全ての人々を『幸福』にする。発動条件:『幸福』を知る》


「...?なんだこれ、発動条件...?」

「条件付きの加護か...なんて書いてある?」

「《全ての人々を『幸福』にする。発動条件:『幸福』を知る》って書いてあります」

「...なんか、全体的にふわっとしててよく分からんな」

「ですよね...」


 俺と同じ感想を抱いていた。やっぱり分からないよな、これ...


「ふーむ、『幸福』か。なにか心当たりはあるか?」

「うーん、特には...あ、そういえば、輝史様が「『幸福』を追究せよ」って神託があったって...」

「なるほど。神託となると、どうやら簡単に解決できる話ではなさそうだ。まぁ、ゆっくり考えてみてくれ。『運命』のスキルだけでも、十分戦えるだろう」

「そうさせてもらえるとありがたいです。ところで、ずっと気になってたんですが...」

「ん?なんだ?」

「その、『運命』のスキルって、なんなんですか?」


 ずっと気になっていた。俺のスキルの名前を輝史様が言った時、透也も相当ビックリしてたし...


「あぁ、それか。スキルって、人それぞれの功績を評価して与えるものじゃん?」

「はい、そう聞いております」

「でも、『運命』はちょっと違う。『運命』のスキルは、過去の功績を評価しつつ...その先の未来に対する、期待の大きさを示してるんだ」

「期待、ですか...」

「そう。だから、かなり強いスキルなことが多いんだよね。実際、零のも割とヤバそうだし」

「そうなんですか...?」

「いや〜、ヤバいでしょ!だって、めっちゃ簡単に味方回復できるってことでしょ?どの程度の回復力かは知らないけどさ、ちゃんとした治療しなくても傷直せるレベルなら相当エグそうだよね」


 確かに...もしそうなら、戦場で傷ついた兵士たちを即座に癒し、復帰させることができる。そうなれば、戦線を簡単に維持できるだろう。


「うん...よし、決めた。零、君をジパング軍医として、3等兵に任命しよう」

「3等兵!?正気ですか、輝明様!?」

「3等兵...?」


 というと...上から3番目って認識でいいのだろうか?

それって高いのか低いのか分からんラインなんだが...


「あぁ、それくらいでいいだろ?その方が、俺も色んな場所に送り込めそうだしな!」

「3等兵ってどれくらいの位なんですか?」

「うーんと、階級は7段階あって7等兵が一番下、一等兵が一番上なんだ。一等兵の中にも5人めっちゃ強いやつの集まりがあったりするんだが...まぁそれはおいといて。3等兵ってなると、この国で50人くらいしかいないエキスパートだな」

「全国で50人...!?」


 そんなすごい位なのか...!?緊張してきた...!!


「ちなみに、透也はこの国で10人しかいない一等兵の一人だ」

「えっ!?そんな凄いのか、透也!?」

「失礼ですね!僕はエリートなんですよ!!というか、輝明様、やはり3等兵は厳しいです!」

「え〜、でもスキル強いしぃ〜」

「ダメです。彼は戦闘経験がありません!それなのに、いきなり3等兵なんて...」

「あ、零って前世で銃扱ったこととかないのか?」

「まぁ平和な世界でしたので...」

「そうかー。この世界での戦争は、銃撃戦が基本。だから零も、軍医やってもらうとはいえ...銃の扱いはできるようになっといてもらわないとな!ってことで、透也!」

「ちょ、嫌な予感しかしませんけど!?」

「お前に零の育成を命じる。重大任務だ、頼んだぜ?」


 とんでもない無茶振り...

 というか、一等兵なんていうすごい位の透也が、俺なんかの面倒見てくれるとは思わないんだが...


「はぁ...わかりました、やればいいんでしょ、やれば!」

「えっと...よろしくな、透也」


 思ったより素直だった...もしかしたら、意外と押しに弱いのか?

 なにはともあれ、とてつもないスピードで、俺の今後が決定した。


「さて...あとなんか話すことあったかな...」

「僕の褒美については?」

「うーん、ナシってのは?」

「重大任務なのに!?」

「ま、お前と零の頑張り次第だな〜」

「...おい、お前。今日から地獄の特訓ですよ。さっさと強くなって、僕に褒美をよこしなさい!!」

「お、おう...」

「ま、とりあえずはこんなとこだろうな。んじゃ、これで帰ってもらっていい──」


 と言いかけたところで、突然、全身黒い衣装を身にまとった、身軽そうな人がやってきた。


「輝明様、西部戦線が押されています」

「西部戦線が?あそこには確か、達也がいたはず...」

「達也様は今、五芒星(ペンタグラム)の集いに向かっております」

「ふむ、そのタイミングを狙って集中攻撃か...状況は?」

「集中砲火を受け、怪我人が大量にいます。そのため人員が足らず、押されています」

「相手方の戦力は?」

「そこまで強い『個』は見当たりませんでした」

「ならちょうとよかったな。零、透也!」

「え?」

「早速初陣と行こうじゃないか!西部戦線で戦ってこい!」

「え...え?」


 ま、まさかまだ何もしてないのに戦争に出ろって言ってるのか...!?


「冗談キツイですよ輝明様!?状況分かってるんですか!?」

「分かってるからこそ、だ。零、お前の能力は、回復に長けた効果。怪我人が多い今、一刻も早く負傷した戦士たちを戦線復帰させることが必要となる。適任だろ?」

「ですが...」

「今回は、まだ銃撃戦を出来る状況じゃないのは分かってる。だから、透也を護衛につけとくから、後方で軍医としての役目を全うしてほしい。どうだ?」


 俺は、銃を撃ったりはできないが...傷ついた人々を見捨てることはできない。

 俺に、怪我を即座に治すほどの能力があるのならば...喜んで、その任務を全うしたいと思う。


「分かりました。その任務、拝命いたします」

「...!!はぁ、全く...分かりました、僕も行きます。コイツを絶対死なせないと約束しましょう」

「ははっ!そうこなくちゃな!んじゃ、早速車を手配する。頼んだぞ、2人とも」

「「了解!!」」


 俺たちは、早速戦争に派遣されることとなった。


─────────────


 戦地に向かう車の中で、透也と話す。


「いいですか、これから向かう場所は、最も激しい戦が行われる西部戦線です。きっと、かなり惨いものを見ることになるでしょうが...気持ちで負けないように」

「あぁ...わかった。ところでなんだが...」

「なんです?」

「この世界の戦争において、死者ってどれくらい出るんだ?」

「...その戦場によります。時には死者ゼロで敵を追い返すこともあります。ですが、仮に戦線が崩壊してしまえば...その戦地の人々は、ほぼ全員殺されることになるでしょうね」

「.......!!」


 分かっていたことではあるが...やはり、戦争というものは、いつの時代も惨いものなのだ。

 簡単に人が死ぬ。簡単に相手を殺す。

 この世界は...そんな戦争に明け暮れた世界。まさに、地獄のような世界だ。


「今回は、どうやら大したことないヤツらばかりなので、死者より怪我人が多い。怪我人は、死者より邪魔になるので、今は戦線が押されている状況です。だからこそ、怪我をした味方の雑魚を戦線に戻せば、どうにでもなるでしょうね」

「なるほど...というか、今回は、って言ったよな?」

「ええ。今回は、相手方に化け物がいなさそうなので、多分なんとかなるんですよ」

「バケモノ...?」

「そうです。1人で戦況を破壊するような、化け物ですよ」

「そんなやつがいるのか...!?」


 いや、でも考えてみればそうか。この世界の戦争は、一見すると銃撃メインの普通の戦争。だが、実際は...加護やスキルの存在によって、計り知れない力を持った人間だっている。そういう奴が本気で潰そうと思えば、スキルや加護の弱い人々は簡単に全滅させられる、ということか。


「この世界の戦争では、量より質が大事になることもあります。よく覚えておきなさい」

「ああ...わかった」


 すると、街中の、1軒の店の前で車が止まる。いきなりどうしたんだ...?


「少し待ってなさい。お前でも扱える、サブマシンガンを持ってくるので」

「なっ...俺も銃を持っていくのか!?」

「当たり前です。撃てないから持つ必要はない、なんて考えは捨てなさい。お前が撃てなかろうが、相手は撃ってくる。だから、護身用に必ず持っておくのです」


 確かに、それはそうだ。でも...


 俺は、相手を殺すなんてこと、できるのだろうか?


 ...いや、やらなくてはならない。

 殺さないと殺される。そういう世界だ。

 覚悟を決めろ。俺はこの世界で、何かを成し遂げると決めたのだから...!!

 透也は、すぐに一丁の銃を持って店から出てきた。


「これがお前の銃です」

「これはどんな銃なんだ...?」

「東部式小銃4番です。一般的なサブマシンガンですよ。軽量かつ低反動、射程は短いが近距離ならば火力も十分出せる。エイムも力もないお前にピッタリでしょう?」

「ま、まぁ...確かにそうか...?」


 禍々しく黒光りする銃を手に持つ。思ったよりも軽いそれは、余計に俺の恐怖を加速させる。

 こんなもので...人を殺せるのか、と。


「あぁ、それから...これを着なさいそんなふざけた格好で戦場に出られては困りますので」


 手渡された服は、軍服だった。茶色い軍服は、俺の手にずっしりと重くのしかかっている。


「...ま、パジャマよかマシか...」


 車内でパジャマから軍服に着替える。さっきまでの身軽さから一転、全身に重みがのしかかる。

 とりあえず、これで多分準備は整ったのだろう。

 あとは...俺が、覚悟を決めるだけだ。


「さて...では向かいましょうか」

「あぁ...西部戦線に」



タタタタタタタタタッ

ドォォン!

ダン、ダン、ダン!


 ...銃撃や爆撃の音が、聞こえてくる。どうやら、もうすぐ着くようだ。


「お前のやるべき事は、分かっていますね?」

「ああ。俺のやるべきことは、負傷者の治療だ」


 スキルを使って、傷ついた者を治し、戦線に復帰させる。それが俺の役目。

 そう、思っていた。


「...やはり、理解していないようですね」

「...え?」

「お前には、もう2つ、重要な役割があります」

「もう2つも...?でも、そんなこと言われてない...」

「言われていますよ、暗に。ひとつは、無事生還することです」

「あ、そういえばそんなこと言ってたな、透也が」

「はい。これは、僕のためでもあるので、しっかり守ってくださいね?じゃないと、僕の首が飛ぶので」


 怖い雰囲気だったから、何かあるのかと思ったが...いつも通り、といった感じで少し安心した。

 だが...その安心は、数秒後に、崩壊することとなる。


「で、もうひとつはなんだ?」

「もうひとつは...負傷者を、戦線に復帰させることです」


 ...?それなら、さっき言ったはずだが...


「いいですか、戦争の怪我人は、ただ転んで怪我した子供とはわけが違うんです。お前は平和な世界でのうのうと暮らしていたから分からないでしょうが...自身が戦争に出て、銃で撃たれたり、爆撃を喰らったりして大きな怪我を...それこそ、命の危険さえ感じる怪我をしたら、どうなると思いますか?」

「...!!」


 そうか、透也が言いたいことの真意がようやく理解できた。


「きっと、大きな心理的トラウマを抱くことになるだろうな」

「その通り。とてもじゃないですが、戦線復帰できるような状態ではなくなる人がほとんどです。つまり、お前の仕事は身体の傷を治すだけでなく...精神(こころ)の傷を癒すことも含まれているのですよ」

「........」


 心の傷を癒す...か。

 俺は、まだ自分の心の傷さえも、治ることなく生きている。

 あの時の、あの声は...今でも耳から離れない。

 罵倒が、叱責が、悲鳴が、軽蔑が、冷笑が...恐ろしくて、仕方ない。

 そんな俺に、心の傷を癒すなんて...出来るのだろうか?


「随分不安そうな顔ですね。そんなに自信がないのですか?」

「...あぁ、まあ...な」


 正直、全く自信がない。不安で仕方ない。

 もしまた、あの声を浴びせられることになったら...どうしようか、と。そう考え、恐怖に襲われている。


「...フン。弱いな」

「え?」

「お前の自信の有無なんて関係ない。戦場に出たら、そんな甘えは通用しない。誰もそんなの聞いてはくれない。やるしかないんだよ、お前も。だから、さっさと覚悟決めろ」

「.....!!」


 その強い口調に一瞬ドキッしたが、その言葉ひとつひとつの重みを、じっくりと噛み締める。


「そもそも、お前がいくらミスろうが、この僕がついているのだから何の心配もいりません。だから、お前は...自分の好きなようにするといい。しっかり働いてくれるのなら、ね」

「透也...!!ありがとう!」

「感謝は、これが終わってからです。さぁ、もうすぐ着きますよ」


 そして、その数秒後、車が止まる。

 どうやら、ついに...着いたようだ。

 銃声と爆発音が、絶え間なく響く。時折揺れを伴う轟音が響いてくる。


「あの大きな建物が見えますか?あれが防衛拠点です。あそこに、多くの負傷者がいる。準備は──」

「........」

「...どうやら、出来ているようですね」

「あぁ、もちろんだ」


 俺のやるべきことはハッキリした。ならば、あとは...

 腹くくって、俺にできることをやる、ただそれだけの話だ。


 冷静に考えたら、メスと糸を使って、死を目前にした患者を救う、あの数々の手術に比べれば...話しかけたり、触ったりするだけで怪我を治せると考えたら、なんだか楽勝に思えてきた。


「くくっ、いい顔になりましたね。覚悟は決まった、といったところでしょうか?」

「あぁ。お前のおかげだよ、ありがとな、透也」

「...!!」


 お?なんか少し透也が動揺したような...


「コホン、そういうのは、仕事が終わってから、といったはずです。さぁ、さっさと行きますよ!!」

「あぁ...!」


 俺たちは、駆け足で、巨大な防衛拠点の中へ入っていくのだった。

次回から戦争に向かうので、ちょっと惨めの描写増えます。苦手な方は今のうちに読むのを中断することをオススメします。

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