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マネジメント  作者: みっちー
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マネージャー

小説初投稿です!企業間の駆け引きとスパイ活動を組み合わせた物語を書いてみました。主人公・海里くんがどんな風に“仕事”をこなしていくのか、一緒に見守ってもらえると嬉しいです!

オフィスビルの最上階、ガラス張りの会議室に朝の光が差し込んでいた。東京の街並みを一望できるその空間に、瀬川海里せがわ かいりは端正なスーツ姿で立ち、プロジェクト進捗について淡々と報告を続けていた。


「開発部門の進行率は85%、マーケティング戦略も予定通りに展開中。懸念されていたコスト超過も、仕入れ先との再交渉で解消済みです。」


クライアントは満足げに頷き、議事録を閉じる。その様子を確認した海里は、わずかに口元を緩めた。表向き、彼はこの大手コンサルティング会社の若手プロジェクトマネージャー。冷静な判断力と的確な指示で、同僚からも信頼を得ている存在だ。


だが、彼にはもう一つの「役割」があった。


会議終了後、海里はエレベーターに乗り込むと、スマートウォッチの画面を指で軽くなぞる。「オペレーション・コード47」——それは、企業内部の機密情報を狙う産業スパイへの対処指令だった。


表向きはプロジェクトを進行させながら、裏では情報の流出を防ぎ、時には敵対企業の動向を探る。彼の真の役割は、企業という「戦場」における最前線のマネージャーだった。


ビルの地下駐車場に降り立つと、耳に仕込んだ通信機から静かな声が流れてきた。「ターゲットが動き出しました。ルートCを推奨します。」


海里はスーツのポケットから小型端末を取り出し、ターゲットの位置を確認。次の瞬間、彼の目からは会議室で見せていた穏やかな光が消え、冷徹なスパイの表情が現れた。


「了解。マネージャー、作戦開始する。」


こうして、瀬川海里の“二つの仕事”が、また静かに幕を開けた。


———


ターゲットは、競合企業に重要データを横流ししている内部協力者だった。彼は一見するとただの経理担当者だが、夜になると機密データをUSBに移し替え、外部の接触者に手渡ししていたらしい。


仕事は単純"リスク"を排除し——回収、痕跡を残さないこと。


街灯の明かりが路面に滲む雨上がりの夜。湿った空気は、これから起こることを予感させるように肌にまとわりつく。海里は駐車場の隅に停められた黒いバンに近づきながら、ターゲットの動きをリアルタイムで監視する。「接触まで3分。逃走経路を封鎖する。」


エージェント仲間が周囲を囲む中、ターゲットは指定されたコインロッカーに近づいた。その瞬間、海里は静かに背後に回り込む。


「おい……!?」


ターゲットが気づいた瞬間、海里は無駄のない動きで相手の腕を取り、関節を極める。鈍い悲鳴と共にUSBが床に落ちた。だが、ターゲットは諦めず、逆手で懐からナイフを抜き放つ。


「悪いが、そう簡単にはいかねぇぞ!」


ナイフが鋭く振り下ろされる。だが、海里は半歩後ろに引き、刃先を紙一重でかわした。そのままターゲットの手首を掴み、力を込めてひねる。


「プロジェクトの進行を妨げるリスクは、即座に排除する。それが俺の仕事だ。」


関節を決めたまま、海里は体を回転させるようにターゲットを地面に叩きつけた。コンクリートに響く鈍い衝撃音——ターゲットは呻き声を上げて動けなくなる。


「ミッション完了。USBを確保。」


無力化までにかかった時間は約30秒。通信機から仲間の声が聞こえた瞬間、海里は襟元を正し、いつもの穏やかな表情


———


翌朝、いつものようにオフィスに戻った海里は、デスクに置かれた一通の封筒を見つける。差出人不明。中には「次のプロジェクトが始まる」というメモと、未知の企業のロゴが印刷されたカード。


同時刻、別の場所では、薄暗い作戦室で数名の人物が次のオペレーションについて話し合っていた。


「海里には次の指令を送った。今回はチームで動かす。"リスク"が高まっているからな。」


「了解。彼なら問題ないでしょう。」


モニターには海里のプロフィールと、新たなターゲットのデータが映し出されている。作戦を指揮する人物は、静かに椅子から立ち上がった。


「次のオペレーションは“デッドライン”。予定通りに進める。」


指揮官は画面に新たなファイルを表示させた。そこには女性エージェントのプロフィールが映し出されている。


「今回の作戦には彼女にも参加してもらう。彼女の経験は、きっと役に立つはずだ。」


モニター越しの彼女は、鋭い眼差しで未来の戦場を見据えていた——。

読んでいただき、ありがとうございました!次回もお楽しみに!

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