今日も明日も何処へ行こう
買ったばかりのチェックのワンピース。
今日は小さめのショルダーバッグ。
ベージュのキャスケットはお気に入り。
履き慣れたスニーカーを履いて、目的地のない散歩。
玄関の鍵は掛けた。忘れ物はない。
「よし、出発」
今日は休日、快晴とまではいかないけれど、心地よい天気と気温。
私ひとりの散歩も大好きだけど、今日は同じ大学の教育学部の1つ上の先輩と、一緒に行く。
アパートではお隣さんで、散歩友達。
「おはよ、亜李朱っち。時間通りじゃん」
「おはようございます。佐久間先輩」
「んじゃ、行きますか」
「はい」
アパートを出たなら右に行くか、左に行くか。
なんとなく気分で選んだ。今日は右。
「行きたい場所ある?」
「そうですね。こっちだと、書店がありますよね。まだ行ったこと無いので、行ってみたいです」
「白波書店だね。あの店、めっちゃ雰囲気良いんだよ。その近くにノスタルジックな喫茶店があるんだけど、そこでお茶でもどう?」
「良いですね。クリームソーダ飲みたいです」
講義の話やら教育実習の話やら、アルバイトの話まで。歩きながら話すことは、色々ある。
「本当にさ、高校生の体力って無尽蔵だろって、思うわけ」
「10代ですしね。私たちだって、20代です。まだ若いじゃないですか」
「いやいや、青春真っ只中の10代と、青春なんて何年前だよ。と言っている20代なんですよ。体力が違い過ぎる」
「でも佐久間先輩は、確かバドミントンやってますよね? 体力ありそうですけど」
「比べちゃいけない。部活に参加したけど、ヤバいよ。吐きそうだったもん」
話ながら歩いていると、案外あっという間。
アパートからかなり歩いたと思うけど、実際はどうなんだろう。
白波書店で読みたい小説を見つけて、店主から手作りの三角しおりを貰っちゃって。
佐久間先輩が薦めてくれた喫茶店で黄色いクリームソーダを飲みながら。
「明日も空いてたら、散歩しない?」
「良いですよ。何処か行きたい場所はありますか?」