老々介護
「はぁ、最近は年を取ったせいか自慢の牙が折れて血が吸えぬ」
「わしも昔はウインク一つすれば、若い男なんてホイホイ着いてきて食べ放題じゃったのに、今ではウインクしたら真っ青になって逃げていくしのぅ」
ここはドラキュラ伯爵の城で、お茶を飲みながら話しているのは、ドラキュラと山姥だった。
「ドラキュラよ、血の代わりに何を吸っておるのじゃ?」
「新鮮な血が吸えぬから、トマトジュースを飲んどる」
「それは健康第一だのう、わしは若い男の肉の代わりに鳥のささみを食っとる」
「おぉー山姥も健康第一じゃないか」
「しかし、この年になると老後が大変じゃのぅ」
「そうだな山姥よ、いっその事この城で一緒に老後を送らないか」
「それは良いのぅ、お互い年には勝てぬからな」
「じゃ、決まりだな、まぁ、山姥がボケたら婆捨て山に捨てるけどな」
「何を言っとる、ドラキュラがボケたら棺桶に入れて鎖をぐるぐるに巻いて出てこれんようにしてやるでよ」
そして、二人は言い争いながらも仲良く暮らした。
どちらが先にボケたのかドラキュラも山姥も寿命が長いようで、
老々介護が百年続いたとかいないとか。