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080 えっ?どういうことですか?

2024/7/27(土) PM6:42記


一昨日は前職場の同僚と2人で飲み会だった。


私が退職する際に行ったっきりなので,約2年ぶり。


入社は1年後輩で,年齢は5つほど下の男性社員。

彼をA君としましょう。

タイトルのきっかけとなる別人物が後ほど登場しますので,中盤まで読み飛ばしていただいても結構です。


ひょんなことから久しぶりにLINEを送った流れで,お互い近況報告を兼ねて酌み交わそうと相成りまして,個人経営の居酒屋へ。


いい意味で綺麗すぎない店内。

この安心感がたまらない。

行ったことはなかったが,当たりに違いない。


田舎なので,個人店は基本的に情熱価格で営業されているが,その中でもリーズナブル。


お料理も美味しさの余り舌鼓を打つという程ではないが,きちんと見た目から想像できる味で提供してくれる。


これって大衆居酒屋を利用する上で個人的に大事な要素です。

料理名や出来上がりを裏切って驚かせるような創作料理も,自分で作れそうなクオリティの料理も,どちらも求めていないから。


そんな料理とお酒をいただきながら,昔話に花を咲かせ気分が良くなってきた頃に,もう1人現れた。


私とA君が飲むことを知り,会社帰りに寄ってくれたらしい。

元同期で年は2つ下の彼をBとします。


Bとは新入社員の頃からよくつるんでいて,配属される前は毎日のように飲んでいた。


また,A君とBは同じグループの先輩後輩という間柄。


私も前職場では彼らと同じグループに所属していた期間があったので,気心知れた3人と言う訳だ。


皆,既婚者という共通点もある。


彼らの気持ち良いところは,仕事の話をそんなにしないという点。


ぶっちゃけ離職した私は,元職場の現状を聞きたい気持ちが少なからずあるのだが,彼らは会社の飲み会となれば,望まずして仕事の話になるので遠慮した。


彼らも私の今の仕事にさほど興味がないだけかも知れないが,わざわざ聞いてこない。


翌日には忘れてしまうような,たわいもない会話のやり取りがお酒と共に消費されていく。


お腹も満たされ,ちょっとつまむくらいのアテが欲しいと感じていた頃合いで女将さんが,


「お漬物どうぞ。サービスです。」



これ以上ないという場所と登場人物が私を囲んでいる。


A君とはこの流れでもう一軒ということになり,車通勤のためノンアルだったBに次の場所まで送って貰う。


ここで,やっと本題。


車内でBが切り出した驚きの発言。


「俺,明日告白するわ。」




???


何を?誰に?どこで?いつ?何故?どのように?


頭の中を『5W1H』が駆け巡る。

繰り返すが彼は既婚者である。


私がBの発言を咀嚼している間,脊髄反射的にA君が口を開く。


「えっ?どういうことですか?」



至極,当然のリアクション笑


どこかで論文でも発表するのか?

はたまた声明文でも提出するのか?

一体全体,何を告白すると言うのか?


結婚10周年で奥さんに再び告白するなら,そんな回りくどい言い回しはしないはず。


A君が助手席で狐につままれたような顔をしている中,後席の私は何となく察しがついていた。


「通ってる美容クリニックの担当の女の子が異動するから,最後に気持ちを伝えようと思って。」


そんなこったろうと思った笑

Bは残念な勘違い野郎の一面を持ち合わせていることで有名だ。私の中で。


一方,A君は更問いする。


「えっ?奥さんは?」


これまた真っ当な質問である。


対するBの受け答えは,


「成功したら別れる。」



常軌を逸している笑

しかし彼にとっては平常運転。


容姿は確かにジュノンボーイ系で整っているが,30半ばの立派なおじさん。


なまじ半端にちやほやされた経験があると,劣化している現実から目を背け,いつまでも自分は隆盛期のままだと錯覚し,モンスター化する傾向にあるのだ。


私のようにビジュアルのハンディキャップに長年悩まされきた人間の方が,現実を見ている。


Bの奥さんには同情する他ないが,お子さんがいないのがせめてもの救いか。

彼女が早く見切りをつけることを切に願う。



まぁ結婚という形式ばった手順を踏んだだけで,中身はマンネリ化したカップルと何ら変わらない。

火遊びしたい気持ちも分からないでもない。


熱い刹那を過ごしたいがために口説こうという魂胆なら,百歩譲って理解できるのだが,ホップステップすっ飛ばして付き合おうとしていることに狂気を感じる。


これまで施術を受けてきた中で,どの程度の可能性を見出したのか定かではないが,いきなり告白という飛躍した手段をとる大胆さに驚くばかりだ。


というかただのバカである。


「とりあえず連絡先聞くだけに留めとけって。自分が昔ほどイケメンではないという自覚を持ちなさいよ。」


私はそうはっきり申し上げた。

今やただの小さいおじさんだよ?というトドメの台詞を飲み込んだ優しさにいつか気づいて欲しい。


「結果だけは教えてくださいね。どっちに転んでも酒のアテになるので笑」



ニヒルな笑みを浮かべながら,そう言い放つ切り替えの早いA君。


2年経っても相変わらず仕事のできる男だと思った。


Bが帰った後,図らずとも暫く仕事以外の話でA君と盛り上がれたことは感謝である。



以上,新たな被害者が出ませんように。

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