第二話~炎剣帝の誓い~
さて急展開。回想が多くてすいません
戦士の村の一日は朝の食卓から始まる
今日も朝から、朝礼を始める給仕所
「調理場家訓!読み上げ始め!」
「1つ!常に清潔に保つべし!」
「1つ!バランスよい食事を保つべし!」
「1つ!食は残すべからず!獲物に感謝を忘れずに!」
「よし、今日も朝から獣達が力を求めてやってくる
そいつらに活力を嫌というほど与えて、
殺しても死なないようにしてやるのが俺らの仕事だ!
俺らも殺す勢いで食事に気合入れやがれ!」
「サー!マスター!」
「散っ!」
クーガの気合の一言により、それぞれ持ち場に散っていく。
「相変わらずねぇ、仕事の時は人格変わるのどうにかならないの」
「リティ姉さんいたの?」
気づくと食堂の入口にシャルリティ=サモンシードこと
リティが腕を組んで立っていた。
「昨日は大分深酒したようだねぇ、パパがまだいびきをかいて寝ていたよ
何の話だったんだい?」
やばい、睡眠薬の量を間違えたか・・・
まっいっか、殺しても父さん死なないし。
「ただ男同士の酒の飲みたいだけだったみたいよ」
本題に入らせることなく睡眠薬で圧殺したしな
クーガに村を統治なんて面倒くさいと思っていたし
家族が守れれば特にそれ以上はいらないとクーガは常に考えていた。
「まったく欲がないねぇ、あんたほどの力があれば
パパ以上に引く手数多だろうに」
そう溜息一つつくと、弟の顔をしかたないねぇと見つめる
この世界では珍しい黒髪であることを除けば
良くも悪くもクーガの外見は普通である。
クーガが戦士の村で育ったこともあり、体格はそれなりに良いが、
単純な戦闘能力だと戦士の村では、中の下
トップクラスのリティ達と比べると雲泥の差がある。
しかし、リティ達は、クーガの事がなくてはならない人物と認めている。
「買いかぶりすぎだよ、リティ姉さんや父さん達、
家族を幸せに、大切な人さえ幸せならば俺は構わないしね」
ふっと臭すぎるセリフだったかなとクーガは言ってむずがゆくなる
しかしふとリティを見ると何故か顔を赤くさせていた。
「あんた、わざと言ってるんじゃないだろうね」
ジト目で見るリティは何故かいつもの迫力に欠けていた。
「わざとって何さ、とにかく昨日は何もなかったよ」
ひらひらと手を振って、職場に戻るクーガであった。
「「ごちそうさまでしたーー!!」」
「はい、おそまつさまでした」
ミューとソーヤは揃って飯を食べ終わる
なんだかんだハモる癖は健在のようだ。
「今日2人はどうするんだい?」
片付けながら、問いかける。
「俺は、鍛錬がてら狩りに行ってくるぜ」
「私は、バルサの町に行くつもり。美味しい甘味屋ができたって話だから
もちろん一番はお兄ちゃんのだけどね」
2人ともそれぞれにいつも通りのようだ
さて俺はどうしようかな、試してみたい料理もあるところだけど
こんな平和なときに限って、厄介事がでてきたりするのだから
「きゅ、給仕長ーー!!」
一人の若い男が、食堂に駆け込んでくる
ほらねとクーガも慣れたものである。
「こら、泥だらけのまま入るなといつも言っているだろう」
「わ、わりぃ・・けど急病人なんだ、見てもらえるか」
村の若者がたじろぎながらも、急用であることを告げる。
「そうか、わかった。今行くよ。
あとミュー、悪いんだけどゼルバ爺を呼んできてくれるか
簡単な救護はできるが、本格的な物だと俺じゃ対応できない。」
「うん、お兄ちゃん、行ってくるよー」
そう言うと風のような速さで、村の奥へとミューは走り去る。
それだけ言って、給仕室の奥の棚から
簡単な救護道具だけ持って、出ていく
何も言わずソーヤが付いてきた。
力仕事なら手伝うと言わんばかりであったが、
「こっちだぜ!!」
村の入口について行くクーガとソーヤ
そこには、傷だらけになって倒れている人がいた。
「これは・・・村の人じゃないね」
見ると騎士のような高級そうな鎧を身につけていた事で一目了然だった。
しかし、その鎧もところどころに矢がささり、至るところから出血している。
「ふむ、脈はあるな・・弱弱しくはあるけどね
ソーヤ、彼を仰向けにしてくれるかい」
現在、うつ伏せに倒れているままでは診察しようにもない。
「はいはい任せてくれ、そらよっとって・・女ぁ!?」
ソーヤがゆっくりとひっくり返すと顔こ泥で真っ黒だが、
見間違えないほどの美少女であった。
髪がショートカットであり、体も見た目で170cmくらいはありそうだったので
一目見て女性と気付かなかった。
しかし、女性と気付いてもクーガの診察はよどみなく続く。
「ふむ、矢や、剣による裂傷が無数に、左腕が折れているな。
命に関わる傷じゃないけど、腕の固定だけはしておこうか」
そう言って、近くに落ちてある頑丈そうな木を選び取り、
持ってきたタオルと包帯を使って固定を行う。
よどみない手つきは、クーガがかつて幾度となく応急処置を経験してきたことに由来する。
サモンシード一家は、さまざまな所に危険な任務に出ることがあり、
基本クーガは、後方支援。つまり、救護係となる。
ソーヤやミューが傷だらけになってもそれを癒すのが彼の戦場の役目となることが多かった。
「ほう、めずらしい客人じゃの。とりあえず、ワシの家まで連れてくるがいい」
そう言って現れたのが、クーガの治療の師匠でもあり、この戦士の村唯一の医師
ゼルバ爺であった。
ゼルバ爺は元々戦士の村屈指の戦士であったのだが、現役を引退してからは、
若い者を支援するために医師の道を選んだ。
長いこと傷の絶えない生活をしてきたこともあり、診察の腕、治療の腕はかなりの物であった。
しかし、その容貌は医師というより、プロレスラーのような体に、スキンヘッドの頭
口の周りに蓄えた髭によりどう見ても堅気には見えなかった。
「お兄ちゃん、連れてきたよ」
ミューは子犬のようにキラキラした目でクーガを見上げる。
まさに褒めてほしいオーラ全開のようだ
「ありがとうな、ミュー」
そう言って、ミューの頭を撫でてやる。
「えへへ~」
ミューの顔はだらしなく緩んでおり、ホントに尻尾があったら、ブルンブルン振っているであろう。
「よいしょっと、兄貴、先に行ってるぜ。」
ソーヤが女騎士を担ぐとさっさとゼルバについて行ってしまう。
「おっと俺らも急がないとね」
「む~もうちょっとしてくれてもいいのに~」
といいつつもピッタリ後ろを付いてくる様子は忠犬のようであるとクーガは笑ってしまった。
「さてと、処置は終わったぞ、患者はまだ寝ているがな」
処置が終わり、診察室より待合室に出てくるゼルバ
「ありがとうございます師匠。彼女の素性ですが何か手掛かりはありましたか?」
「剣と鎧じゃな、それぞれに家紋らしき文様が彫られておるからな。」
そう言って、手に持っていた傷だらけの鎧と剣を手渡してくる。
確かに鎧の胸辺りと剣の柄の部分に同じような花とレイピアのような剣が描かれている。
クーガはその紋様に見覚えがある気がしたが、どうも思い出せない。
「う~ん、どこかで見覚えがあるような気がするんだけどな。」
そう言って手を組むクーガだが、ふとソーヤがそれを手に取った時
「これってコーネリア産のコスムルの花じゃねぇの」
意外にも花に博識なソーヤが言う。
粗暴な外見をしているが、ソーヤは頭は悪くない。
「なるほど・・・わかったぞ!、この紋様はコーネリア西部のサイラス辺境伯の物だ
以前、コーネリアの依頼を受けた時に、同行した騎士が同じ紋様を付けていたんだ」
ソーヤのアドバイスによりようやく思い出すことができた。
「何で、サイラスの騎士がこんなところにいるんだよ?」
「おそらくは、帝国絡みじゃな、サイラス辺境伯領は
帝国と面していることもあり、その侵攻をせき止める防波堤の役割を果たしておる。
それに伴い、コーネリア屈指の精鋭がそこに居るはずじゃがのう
この様子だと・・・」
ドスンっ
その音にその場にいる全員が彼女のいる部屋の壁を見やる。
ゼルバを先頭に部屋に入ると、床に落ち、折れていない右腕で必死に這う女騎士の姿があった
「こぉら!怪我人が無茶しちゃいかん!!」
ゼルバが威圧感たっぷりにしかりつける。
元戦士だけあって、普通の人なら震えあがるだろう
「助けてくれたことには礼を言おう。
だが、私には使命があるんだ!!行かせてくれ!!」
決死の形相で、ゼルバに食いかかる女騎士
その美しい顔も怒りと哀愁にいろどられている。
「まったく・・・とりあえず聞かせてみてくれないか?
俺らで力になれることもあるかもしれないかもさ」
そう言ってクーガが、座り込み張っている女性と同じ目線で優しく語りかける
強情な人間はとりあえず言い分を全て吐かせるに限る
その後であれば、こちらの言うことを飲み込む余裕があるのだから
「わ、わかった。焦りすぎだったかもしれない
話を聞いてくれますか」
「とりあえず、ベッドに戻ったらね」
その後、ソーヤに抱えられてベッドに戻る女騎士の姿があったそうな
「私の名前はアゼリア=D=フォンフランク。サイラス辺境伯領の
花剣騎士団第2部隊隊長を務めています。」
ひゅ~と口笛を吹くソーヤ
茶化すなとクーガは目で抑えた。
「今から一週間前、私達が帝国国境の警備をしているときでした。
帝国が10万を超えるであろう兵力を持って攻めてきたのです。
今までは、多くても3万がいいところでしたが、本格的な侵攻が開始されたのでしょう
それに対抗するには、我が軍勢は1万強。籠城戦で時間を稼ぎ、同盟国の救援を待つことにしました
しかし、それから2日。突然帝国国境の扉が開いたのです。聞くと我が城の中に間者による工作でした
その期に乗じて圧倒的な物量により、わが軍が壊滅するのに時間はかかりませんでした・・・」
ふとそこで一言区切る。その時の悔しさをかみしめているのだろう。
目には涙が浮かんでいる。振り切るように目を閉じると話を続ける
「私は、お館様に命を受け、救援要請をある村・・いや一人の人物に頼まなければなりません。」
これ以上は、必要以上に秘密が漏れるのを避けるためか、敢えてぼかした言い方をしたようだ
しかし、おそらくその答えをそこにいる全員がほぼ悟っていた。
「それが戦士の村だったというわけですか?」
「何故知っているんですか!?どこにあるんですか!!
お願いします!!教えてださい!!」
「つまりは・・ここが戦士の村で、ここはその診療所というわけじゃよ」
その後をゼルバが紡ぐと
アゼリアはこれ以上ないほど、目を見開くと
食いつかんばかりの勢いで頭を下げる。
「よかった・・そうだ!お願いします!『剣神』と『心眼』に会わせてください!!」
その言葉を聞き、クーガの眉がピクリと動いた
他の者たちは、あ~あと溜息を付き、苦虫をすり潰したような顔をした。
「・・・その名はどこで?」
「だ、第一隊長のミリアリア隊長からです。
世界最高の剣士『剣神』、世界最高の智謀を持つ『心眼』2人を併せ持つ戦士の村は、1国を凌駕すると・・
剣神は、戦士の村のガンドルフ=D=サモンシード様であることは有名ですが、
それと対等な位置に『心眼』という方を褒めちぎったのですよ。
サイラス領のみならず、コーネリア屈指の槍の使い手であり、
めったに人を褒めたりしないミリアリア様が世界最高と申されたのです
壊滅の間際、ミリアリア様がその2人を頼れと・・
自らが殿を引き受け、私の退却する時間を稼いでくれたのです
だから!私は、その2人に会い、助力を求めねばならないのです!!」
1オクターブは下がったクーガの声に、少しひるんだが強い意志を持ってアゼリアが答える。
「はぁ・・やはりミリアからか・・・」
ボソッとクーガはつぶやくが、その呟きは誰にも聞こえないほどであった
「さてと、ワシから答えを言わせてもらってもよいかな」
クーガの表情を察したのかゼルバがアゼリアの懇願に答える。
「答えから言うと”NO”じゃ。我が戦士の村は基本戦争の介入を契約にて禁じておる。
つまりはこの問題に手出しはできないというわけじゃ」
「そ、そんな・・・」
あまりの絶望に先ほどまで希望を見出した顔が絶望に沈む
しかし、何かに気づいたように顔を上げる
「『基本』ということは、例外があるのではないですか!?」
その言葉に一瞬言葉を詰まらせるが
「・・・条件は一つ、戦争介入する戦士は
今後戦士の村と一切の繋がりを持たぬことじゃ
つまり、村より破門。戦場でもない限り、親兄弟と会うことも・・じゃな」
それこそアゼリアは絶句した。
戦士の村が歴史に出てくるのは、共通の敵
魔族の介入があった1000年以上前に遡り、
そのさいは、戦場を縦横無尽に駆け回り、魔族の殲滅に尽力する姿があった。
逆にいえば人間同士の戦いには、極力不干渉がスタンスであったのだ。
その絶大な力が利用されるのを忌避するためでもある。
「あ~掟、掟うざってえんだよ!戦争介入するの禁じるくらいなら
戦争なくしちまえばいいんじゃねぇか!!」
そのスタンスに反発するソーヤが息を荒げた。
「あんたねぇ・・それが簡単にできるなら軍隊いらないでしょ」
ペシッとソーヤの頭をはたく
その身長差から背伸びして叩くことになったが
「ソーヤ・・さんですよね、ありがとうございます。
ただ私達の国の問題にそこまで巻き込むわけにいきません。
治療していただいただけでもありがたいです。
他の公国の統治者の方々に、危機を伝えねばなりませんので
私はこれで失礼したいと思います。」
よろける体を無理におこし、部屋の隅に置いてある鎧に向かう
「っく・・・あっ!」
足がもつれ倒れそうになるが、いつまでたってもその衝撃は、なかった。
その体は太い男の腕、ソーヤの腕の中に収まっていた。
アゼリアがソーヤを見上げると、決意に満ちた表情をしていた。
「兄貴・・・悪い・・俺は、戦争を終わらせに行ってくる
死なないで済む奴が死ぬのは間違っているしな・・」
それは、遠い記憶の中の父親を見たのか
それとも、アゼリアの姿に心ひかれたのかわからないが
決死の覚悟を持って、ソーヤは決意した。
「アゼリア=D=フォンフランク」
「は、はい!」
いきなり、フルネームを呼ばれ畏まるアゼリア
「『剣神』ガンダルフ=D=サモンシードが次男
『炎剣帝』ソーヤ=サモンシード
あんたの剣として敵を討ち、盾としてあらゆる害意から守ることを誓おう」
「えっえっえっ」
先ほどまでのりりしい顔が、ポカンとして隙のある顔は可愛いじゃないかと
ソーヤは、内心思う。
「剣神の息子!?しかも『炎剣帝』ってサリファナの勇者じゃないですか!?」
サリファナの戦い。アルデバラン王国とコーネリア魔術公国の国境を跨いで横行する
大盗賊団の討伐。ソーヤの初陣でもあった。
規模は末端まで含めると5000人を超え、その殲滅のために2国からの依頼で戦士の村が動くことになった。
参戦は、ガンダルフにソーヤが付いてきた形となった。
最初は、自分勝手に動くソーヤに盗賊団はのらりくらりと勢いを削ぎ
一時は捕まる等、足手まとい丸出しとなったのだが、
ガンダルフに救われて、自分の力量をしり、自分を抑えチームプレーに徹することになる。
徐々に末端より、構成員を削っていき、ついに国境沿いの丘、サリファナで
盗賊団との最終決戦を迎えることになった。
その場には、ガンダルフはおらず、別動の囮にはまってしまっていた。
盗賊団3000人に対し、ソーヤ達2国プラス1は500人ほど圧倒的な戦力差に、
ソーヤはとある渓谷の狭い道で、食い止め、仲間を逃がすことを決心する。
ソーヤの技は、1対多には効果が高く、一撃で多くの敵を殲滅で可能とした。
残りの兵たちが、ガンダルフ達にソーヤの危機を知らせた時には、
3時間経過しており、ガンダルフが全力で向かっても1時間かかった。
適度に戦って逃げてくれよと祈りながら、戦場に向かった時、
大地に立っている者はフラフラになりんがら敵の大将らしきものに斬りかかる姿だった
魔術も打ち止め、体中傷だらけ、自身の炎により手が真っ黒に炭化している。
それでも、両の手で大剣を振りかぶり、完全に逃げ腰の頭領を切り裂いた。
その後、ガンダルフの姿を認め、安心したように倒れたソーヤを、それこそ
神速の早さで、村へと連れ帰り、一命を取り留めた。
その後、3000対1の圧倒的兵力差を覆したソーヤは、
尊敬と畏怖を込められて、『炎剣帝』と名付けられ、サリファナの英雄として語られることになる。
しかし、当時15歳の少年であり、戦後すぐに村で治療を受けていたせいもあり、
本当にあったことなのか眉唾ものとして、信じない者も多かった。
それでも当時の作戦に参加した将校の間では、真実であることを知る者が多数おり、
その興奮から、それを誇張して言う者も多く
炎剣帝の名は名だけが一人歩きすることになる。
アゼリアも当時副隊長として、話を聞いたことがあるが、
3000人の敵を武器の一振りで燃やしつくしただの
性格は残忍で一人も逃さず、苦しめて殺しただの
姿は3mを超える人間ならざる者で、ガンダルフ直属の使い魔であるだの
聞けばそれこそ眉唾ものばかりであった。
それが、目の前にいる体こそ大きいものの、顔は童顔で
まだ10代であろう青年であるとは信じられない。
「まぁ、あんときは戦い終わってから倒れちまって、
次気づいたら勝手に 変な2つ名つけられて困ったけどなぁ、
あんとき逃げ出した奴もいて結局俺が倒したのは2000人くらいさ」
それでも単位がおかしいとアゼリアは心の中で、突っ込む。
「俺じゃ力不足か?」
「い、いえ炎剣帝ほどの方ならこちらこそ是非
しかし・・私達の身勝手な戦いに巻き込むのは・・・」
アゼリアは言い淀むのを、ソーヤは軽く拳でつつく。
「ただ俺は正しいと思うことをするだけだ。もしあんたが
間違ったことしようとしたら、それこそ力ずくで止めるしな
何より、戦争さえ終わらせれば村には帰れる。そうだよな兄貴」
そう言ってニヤリとクーガをみやる
「・・はぁ、その通りだよ」
重々しくクーガが答える。確かに、戦争に伴う契約さえなければ
ソーヤが戦い、村に戻る分には支障はないのだ。
「さてと、旅の準備でもして来ようかね、親父と姉貴にはうまく伝えてくれや」
そう言って、部屋をさっさと出て行くソーヤ
その場には、頭を抱えた村民とぽかんと置いてきぼりのアゼリアが残されていた。
「ソーヤめ、どうしても俺を巻き込みたいかなぁ」
そう呟くクーガは、頭を抱えるのであった。