短編 71 ヒアルロン酸を探す人
ビビビと来た!
来ちゃったの!
それで……こんなん出来たの。
後悔はしてないよ! 微塵もね!
私はヒアルロンさんを探している。
「ヒアルロンさーん! どこですかー!」
「ここですー! ここー!」
「……ん? あなたは違いますよね?」
声を挙げたのはアスパラギン酸だった。ドリンク剤によく入っている人でアスパラから見つかったからこの名前。アスパラ味ではない。
ここにはヒアルロンさんが居ないみたいです。他を回りましょう。
「ヒアルロンさーん! どこー!」
「へーい! ココダヨー!」
「……明らかにおかしいですよね?」
声を挙げたのはグルタミン酸だった。旨味成分で有名だけど何で片言? 確かにチャーハンには毎回ぶちこむけど。
「ヒアルロンさーん! どこ行ったのー!」
「ここなのよー」
「……随分と可愛らしいですね」
声を挙げたのはデオキシリボ核酸だった。DNAで有名だけど実態はよく分からない存在。何で幼女なの?
「ヒアルロンさんは一体どこに……」
「ここだべあー!」
「……だべあ?」
声を挙げたのは乳酸だった。筋肉を虐めると現れて悪さをすると言われているが、実際に悪さをするのはリン酸とカルシウムだったりする。冤罪ね。そして何故だべあ?
「もー……ヒアルロンさんはどこなのよー」
「ヒアルロンさんイズ……ヒア!」
「……ひあ?」
声を挙げたのは炭酸だった。シュワシュワしててデブの友。でも本来は無味無臭。味気ない事で有名な炭酸水の元。実はバイリンガル?
「……なんか疲れて来ましたね」
「こっち……こっちへおいでぇ」
「……あなたは劇薬ですよね?」
声を挙げたのは硫酸だった。酸と言えばこいつ。顔に掛けたり掛けられたり。本来の使い方は多分誰も知らない酸の王様。水とすごく仲が悪いので混ぜると危険。
「もう諦めちゃおうかな。ヒアルロンさん」
「ここだ! ここにお前の求めるものがあったりするかも!」
「……海パンのマッチョですか。嫌いではありませんけど」
声を挙げたのは次亜塩素酸だった。つまりは漂白剤。プールでお馴染みの塩素の臭い。何故海パンのマッチョなのかはもうどうでもいい。
「……ヒアルロンさんは死んだのね」
「勝手に殺すなー!」
「……ひーちゃん?」
声を挙げたのはヒアルロンさん……が何故かショタ坊やになった素敵なお姿でした。お肌が艶々です。
……うまそうですねぇ。プリプリですよ。
「……そ、そんな眼で俺を見るな」
「……じゅるり」
「ひぃ!?」
ヒアルロン酸は乙女の大好物。やっと捕まえました。
でも経口接種ではいまいち吸収しずらいのがヒアルロンさん。低分子化して取り込みやすくしませんと。ええ。
脱がしてから存分に楽しんで……それから美味しくいただきましょう。
ヒアルロンさん……みーつけた。
「……逃げる!」
「逃がしませんよぉぉぉ!」
ヒアルロンさんを追いかける私はアスコルビン酸。またの名を『ショタイーター』……ではなくて『ビタミンC』ですね。
酸っぱいイメージを持たれてますけど……あれはクエン酸ですよ? 私はそこまで酸っぱくないです。
今回の感想。
とりあえずR15にしておきました。アスコルビン酸……なんかエロいので。