葬儀屋の仕事
誤字脱字だらけの駄文ですが呼んでいただけると幸いです
『○月✕日に殺害された○○さんの葬式がたった今行われました○○さんの遺体は頭と足だけのものでしたが葬儀屋の手により元の姿での葬式になり……
あっ!たった今霊柩車が発車されるのようです!』
アナウンサーの遠慮のない声が遺族達の空間に響く警察に就任して初めての仕事が葬式の付き添いという…まさかこんなだとは思わなかった。
「チッ相変わらず気味が悪いな、あの葬儀屋は」
横にいた俺の上司がつぶやく。
「葬儀屋?あの綺麗な人達ですか?」
すかさず俺は上司に聞く。葬式所を整えていたた数人の美人揃いの葬儀屋の事を気味が悪いと言うなんて心外だ。という意味も込めて。
「あぁ?そうだよあいつらさ俺は何回もあいつらにあったことがあるどんな死体でもシミのひとつまで完璧に戻しちまう」
薄気味悪いったらねぇ。そう言おうとしていた口が止まり上司はとても嫌そうな顔をした。視線の方を見ると金髪美女が二人たっていた。
「気味が悪いとはとても光栄だねぇ監視役さん」
イナズマの刺青のようなものを向かって右側にした女性が口を開く、その顔は嬉しそうだ。葬儀屋の人達だ。
「何が光栄だウザってぇ」上司がそう言うと着物をした女性が
「雨雷に…そんなこと言わないで…」と睨むように言った。
彼女は雨雷と言うらしい。
「海織ィ気にしない気にしない挨拶みたいなもんよ」ヘラヘラと笑いながら言う。そしてタバコを一本出して吸う
「おいお前今年で20だろ身体に気ィ使ったらどうだ?」上司の言葉に驚いた。年下じゃないか
「…………に気ぃつかったって意味ないっての」
小さい声で最初は聞こえなかったが雨雷って子は真剣な表情で言った煙を吹かす、彼女の横で先程、海織と呼ばれた女性は
「始まるよ」とだけ言った
視線の先を見ると銀色の髪をした葬式の司会を務めた佑夏さんがガラス製の茶碗を持って霊柩車の前へしゃがみ込んだ。これはアレだ
愛用した物に執着して帰ってくるため食事に使っていたお茶碗を割ることで帰ってこれないようにする縁切作法だ
だがしかし佑夏さんは一点を見つめた後茶碗をそっと置き、霊柩車は行ってしまった。
雨雷さんはそれを見てすぐ
「よぅし仕事だこっちからの要望は今回は零もいるし1人でいいよぉ」と雨雷は上機嫌で言った。
……いやよぅしじゃない、なんて言った?零?何故そこで入社してすぐ怒涛の出世をした警視監の名前が出てくるんだ!?
俺がちぐはぐとしてると上司が
「警視監殿は葬儀屋の親族でそこで暮らしてんだよ……はぁまぁいいとりあえず今日の仕事はお前に任せた葬儀屋がどんなか頭に叩きこんどけ」と言う
……なんてこと言ってくれんだコノヤロウ!
そんなことを考えていたら後ろから気配がして振り向くと
警視監殿がいた。
「じゃあよろしくね新人くん」
とにっこりと笑う警視監もとい零さんの横に立つ雨雷さんが俺の肩をぽんぽんと叩いて言った。
仕事が終わったらしい佑夏さん含め 雨雷さん海織さん、零さんの美人達に囲まれてしまった上司はいつの間にかいない、逃げたなあの野郎
「遺族の方たちには話をつけた、一度事務所に戻ろうか。」佑夏さんがそう言ったため俺は泣く泣く彼女らに付いて行った。
葬儀屋の人達の後をついて行くホストやキャバクラなどの店を通り過ぎ少しレトロなカフェの横に事務所はあった。
下り階段の先にドアが見える
「今日は雨月と柊時がいないから雪白と結都に任せよう。」と佑夏さんが言う。
階段を降り『葬儀屋』と書かれた木の看板が立てかけられた1階のカフェと同じデザインのドアを開ける。
すると中はBARのような作りをしていて驚いた。酒や飲み物が並んだ棚に灰皿ののったカウンター、カウンターの手前に並ぶ椅子の後ろにはテーブルとソファが置かれており、とても事務所とはいえない作りだ。向かい合うソファには双子らしきの少女が座っていた。
「結都、雪白。お客様だよ」
雨雷さんがに話しかける。
2人はこっちを向きソファからおりこちらへやってくる。
「どうもようこそいらっしゃいました。私葬儀屋の結都と申します。こちらは双子の雪白と申します。」なんとも礼儀正しく頭を下げ彼女は言った。赤い目と青い目のオッドアイがこちらを覗く。
三つ編みで長い髪をした少女だ
「あー違う違う。お客はこっち。」雨雷さんが言う。すると結都と呼ばれる彼女は苦虫でも噛み潰したような顔をする。なんとも嫌そうな顔だ。
「ごめんなさい。こっちにどうぞ」雪白と呼ばれた少女が俺の横を通り過ぎ雨雷達の方へ向かう。
そのまま俺も雪白という子が向かう方へ視線をやるととんでもないものを見た。
被害者だ。死んだはずの被害者。
「ーーー!」名前を言おうとした、だがしかし
「彼女の名は呼ぶな死にたいのか。この間抜け。」腹を結都という子にどつかれた。痛いこれはかなり。チラッと彼女を見ると文句あるのかとでも言いたそうにこっちを睨んだ
「コラ その人は今回の監視役の人だよ」零警視監が言う。
「は?アンタがか?」嫌そうな顔で言う。「だったら前来た無能野郎の方がマシだっての。」結都と言われた彼女はフイっと向きを変えソファへ座る。海織さんが被害者を平然と席に座らせる。
待て頭の整理が追いつかない。
混乱してると佑夏さんが話しかけて来た「とりあえず説明をしようか」
その後俺は佑夏さんに路地裏へ連れられ様々な説明を受けた
まずひとつ、この世界には残酷な殺され方、憎い相手に殺され怨みの溜まった死者がいること葬儀屋はそんな死者の怨みを晴らすのが仕事である。今回の被害者はその依頼人らしく俺ら警察側はそれの監視役らしい
2つ目、その仕事方法は様々で死体を完璧に戻すのも仕事らしいが、本来の仕事は、
殺人者を見つけ、神魂を弄ること
ちなみに死者の名前は呼んではいけない。呼んだ瞬間に死者が身体に入り込むらしい
やはりよく分からないが見ればわかると言われたため俺は何も聞かないまま彼女らの元へ戻った。
戻ると既に話は済んだらしくあの双子は靴紐をぐっと結び出掛ける準備をしていた。
「気は乗らないが…………はぁ」と結都の方が何やらつぶやく、そして
「行きますよ。時間の無駄だ。」
俺の方を睨み歩みを進める。
「ちょっと待ってくれ結都さん雪白さん。」俺がそう言うと双子は顔を歪める。ナゼダ……
肩をとんとんと叩かれる。海織さんだどうかしましたか?と聞くと
「2人とも、16歳、だから気を、使わなくていいと思う。だから……えっと……」……なんだっけと言われる
いやこっちが困ったわ
「要はちゃん付けで呼んであげなよってこと。年上からさん付けで呼ばれると気味悪いもんねぇあっ私や海織は呼び捨てでいいよォ」雨雷さん……雨雷がそう言った。
なるほど。よし
「よろしく雪白ちゃん結都ちゃん」
「……うん わかった」よし雪白ちゃんは表情は変わらないが嬉しそうだ。結都ちゃんは……
「…………」何も言わずに行ってしまった。かなり悲しいぞコレは
「フフッ結都は警察嫌いだからね」零警視監が笑いながらが言う。
……先に言ってくれ。そう思いながらも俺は双子に置いていかれないよう早足で二人を追いかけた。
BARのような事務所から歩いて数十分双子は足を止めた。
俺は、真剣に一点を見る2人の目線を追う。
「………!あれは……!」
被害者の彼氏だ。
いや、まさかそんなわけない。
彼は警察の調べで無実になったはずだ……!
「まさか彼が犯人とでも言うのか!?」
すかさず俺は双子に聞く
「そうだよ。被害者のお姉さんが、そう言ってた。」
雪白ちゃんが表情も変えずに言う。そんな、嘘だろ。頭の整理が追いつかない俺を見て結都ちゃんはやっぱりかと呟く。
「とりあえず仕事を終わらせる。アンタはそこでオレ達が戻って来るまで待ってろ。」結都ちゃんにそう言われた。待ってろ?なんのことだ。そう聞こうとしたが彼女が取りだしたものを見て息を飲んだ。
彼女が手に持っているのは布でぐるぐる巻きにされた刀だった。
斬ることはもちろん紙の1枚も斬ることは出来ないであろう錆びたような刀だ。それを彼女はもち目を瞑り息を吸う。長いまつ毛が白い肌に影をつくったと思った次の瞬間彼女は刀を被害者の彼氏に刺していた。人通りの少ない場所であったため周りに人はいない。
斬ることなどできないであろう刀には血が付いていた雪白ちゃんが結都ちゃんの元へ近づく。
静かな空間に血がしたしたり落ちる。
夜の街頭に照らされるうす暗くて青い夜
そんないつもの景色が
赤に変わる瞬間だった
目の前が真っ赤になる空気が重い思うように息が出来ない。
立ちくらみのようなものも感じる
なんだこれ
今日はずっと頭の中が混乱してばかりだ。
そんな俺を置いて彼女は口を開く。
「突然で悪い。△△さん
○○様の御依頼により貴方のその神魂、解体させて貰う。」
被害者の名前に反応した彼はこんな状況の中で平然とした態度で、
「○○?僕の彼女のことでしょうか?とても悲しいです。あんな形で見つかってしまうなんて……」
もちろん死んだ彼女の話なんてされたら誰だってそんな反応をする。
だがしかし空も地面も真っ赤
周りにあった建物すら赤く半壊している。いつもの景色とは全く違うこの『世界』で台本を事前に呼んだかのような反応をする彼に寒気がたつ。気味が悪い。
「随分、余裕そうだね、お兄さん。お姉さんの身体、貰えて嬉しかった?」純粋に質問をするように雪白ちゃんが言った。彼氏は顔を歪める。
「なんだお前……!」性格が変わるように彼は言う。
「おっと、当たりのようだ。アンタ臓器コレクターだろ?しかも恋人の頭もご丁寧に脳だけくり抜きやがって、顔と足はポイ、相当趣味悪いなアンタ」ゴミをつまんで捨てる。というような動きをしながら結都ちゃんは言う。
その顔は嘲笑うかのようだ。
「くっそ……!」被害者の彼氏は悔しそうに言う。
「んで?アンタ他のやつと手ぇ組んでんだろ。…吐けよそしたら気持ちの良いHappyLife送れるぜ?」少し発音の効いた言葉を使いながら煽るように言う。どうやら犯行は彼1人の力ではないらしい。混乱が治まってきた頭で考える。
「話してたまるかよ……!あの人達は俺の唯一の味方だ!俺はあの人達を裏切らないからな!俺は彼らに愛されている!」
吹っ切れたように言葉をかざす。
「だからぁもう用済みって事なんだろ、ここにいるってことは。」
彼に冷水をかけるような言葉が響く。
「……は?」唖然とする彼に結都ちゃんは続けて
「そのアンタが言うあの人達ってのは早々しっぽを出さねぇ厄介な奴らだ。正体不明。居場所不明。ほんっっと厄介。そんな奴らがこんな簡単に仲間の犯行ほっぽり出すような事すると思うか?この間抜け。」ハッっと鼻で笑う。唖然としていた彼……いやもう彼は加害者だ。奴は怒りに震えてる。
「そんなはずない!」嘘だ。嘘だ。と叫びまくる両手で顔を押さえ必死に叫ぶ。手の先の爪は顔の皮膚にくい込み赤い液体、血が垂れていく。彼の形は溶けるようにドロドロと変わっていく、まるで彼が愛した恋人の臓器のような肉の形へと。
「嘘じゃないよ。お兄さんはもう捨て……捨て………?」
「捨て駒な」
化け物の形をした彼を前に平然と彼女達は立つ。
「そんじゃ」「行くよ。」
「「汝の賊心祓い受ける。」」
「安心しろ、痛くねぇよ。今はな。」そう言い結都ちゃんは細い刀を取り出す。真ん中には穴が空いた変わった刀だ。雪白ちゃんは大きい鉈を自身のロングスカートから取り出し、駆け出した。
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暴れる化け物に雪白が突っ込む。
化け物は腕らしきものを力強く振り回し雪白に当てようとする。
雪白は立ち止まり前に体重をかけ鉈を振りかざす。次の瞬間辺りの建物は壊れ、化け物の体の一部は吹き飛んで行った。驚きのパワーと体力だ。だが化け物は倒れない。そこで化け物の視界にあるものが目に入る。
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やばい。見つかった。化け物の体から何かが分裂しこちらへと来る形はだんだん人のようになっていき。俺を追いかけてくる。
ヤバい。死ぬ。
おっかない形相をした化け物の分裂体がこっちに来る。
足が上手く動かない。気づけばやつが武器を作り出し、俺に振りかざす寸前だった。
あ これ死ぬ
ガンッ
なんとも鈍い音がなる。痛みは感じない。何故だと思い思いっきり瞑っていた目を開き状況を確認しようとする。
だが、1番に目に入ったのは、
青と赤の瞳と、ぽたぽたと垂れる血だった。
「結都!!」雪白ちゃんの叫ぶ声が聞こえる。どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう。必死に考えるが打開案が見つからない。すると、結都ちゃんはその場に崩れ落ちた。
そこへ空気も読まずにまたやつの一撃が来ようとする。
クソなんでだよ女の子に、しかも十六歳だぞ?助けられてどうすんだよ!!俺が守んなきゃ行けねぇのに!!後悔しても足は動かない。
雪白ちゃんがこちらに来る。
結都ちゃんは雪白ちゃんに抱えられ、俺は彼女に手を引っ張られた。
ビルの屋上のようなところでひとまず身を隠す。
「結都ちゃん……頼む目を覚ましてくれ……っ!俺のせいでこんなっ!」
悔やんでも悔やみきれないどうやって償えb
「いや何最後の別れみたいにしてんだ。間抜け。」
oh..元気そうでお兄さん何よりだわ。
「つかなんでアンタいるんだ普通の人間は入れないんだぞここ。」
お構い無しに結都ちゃんが聞いてくる。かな〜り苛立っていらっしゃる。
そういえば佑夏さん言ってたな。
ここはいわゆるあの世みたいなもんで普通葬儀屋の人達かその葬儀屋の人達が無理やりこっちにつけて来た奴らの魂しか来れないって。ってことは……
「俺死んでない!?!?」
……
「今かよおっっそ!」
「気づくの遅い……」
二人からのツッコミが入る。
いやほんとそこに関しては申し訳ないわほんと
「俺生き返れっかな。」
「多分帰れると思うから安心して。」
雪白ちゃんが励ましてくれる。
「はぁ…雪白、まず神魂の解体が先だ、先導が雪白、その後オレがとどめを刺す、いいな」
「うん」
結都ちゃんはアンタはここで待ってろとだけ俺にいい屋上から飛び降り戦いに行った。
やはり気になる俺は二人を目で追うまだ十六の少女を心配しないでいれるわけがない。だがそんな心配も一瞬にして打ち払われた。
雪白ちゃんが化け物の攻撃を全て打ち消し俺を襲った奴らも飄々とぶっ飛ばしていく。化け物が攻撃手段に迷った次の瞬間だった。
気がつけば結都ちゃんが高く跳躍していた。
化け物の頭から一直線に刀を刺す。心臓部みたいなもの、コアがあるらしくそれが割れる音が響く。化け物は灰のようになっていきサラサラと消えていく。
「はい、任務完了っと」二人は武器をしまい。こちらに近づいて来た。
「ちなみに仕事が終わると自分の意思で帰れる。とりあえずアンタは念じれば帰れんじゃねえの?」
なんて適当なんだ。
グダグダ考えても仕方ない。帰れることだけを願った。
目が覚める。元の世界に戻ったようだ。加害者と彼女達はもういないようだ。そしていつの間にか朝方になっていた。
そう考えてたら一通のメールが来た。上司からだ
[初仕事ご苦労さん、成功したかどうか明日のニュース見ればわかるだろ。簡単だろ?葬儀屋が一瞬消えてこっちに戻って来るのを待つだけだ。これが俺らの仕事だ]
…………いや俺思いっきりあの世行ったんすけど……
そこでハッとする。二人はどうした。結都ちゃんは大丈夫なのか?
夜が明ける。
ホストやキャバクラの店は看板をしまい、静かになる時間。
その道を俺はただひたすら走る。
走って走って走って、数時間前に見たドアを許可なしに容赦なく開ける。
「すいません!結都ちゃんと雪白ちゃんいますか!?結都ちゃんが大怪我しててそれで!!」
大声をあげる俺に雨雷や海織、
佑夏さんや零警視監も目を丸くする。そしてソファには。
「………………」10秒○ャージしてる結都ちゃんがいた。
あれ?この子思いっきり後頭部殴られてなかったっけ?腹刺されてなかったっけ?
頭ん中がまたもやぐるぐるしてる。
「って結都ちゃん!大丈夫なのか!?かなり重症だったじゃないっけ!?」慌てて俺は聞く。
「いってぇ……って言うかその事言うんじゃねぇ!!ホントに!ここで!言うな!」俺より数倍の声量で返ってくる。
「結都。もうバレてる。」雪白ちゃんがおにぎり食いながら言う。
海苔すごいパラパラ落ちてるよ。
「結都さん!!!」
バカでかい声が聞こえ光の速さで結都ちゃんに駆け寄る影が見える。速すぎて残像見えたわ。
「怪我してるんですか!?なんで言ってくれないんですか!?痛みは!苦しくないですか!?」
俺よりは若そうな青年が結都ちゃんにしがみつく。
「うるせえ紗霧!」
結都ちゃんは叫びながら渋々離れる紗霧という青年を座らせた。
目を瞑り、少し唸る。やはり傷が痛むのだろうか。
その姿を見る青年もまた辛そうだ
色素のうすい、雨雷と海織とはまた違った綺麗な金髪、オレンジの瞳の周りの結膜は真っ黒だ。
オロオロする青年の少しくせっ毛な頭を撫で、大丈夫だと言う結都ちゃんだが、その数秒後とてつもない寒気が俺と結都ちゃんを襲う
周りを見てみよう。
みんな鬼の形相だ。
「結都」
青年の声がする。紗霧という子とは別の落ち着いた声。
おにぎり食ってる雪白ちゃんに抱きつくような形でソファに座っている青年の声だ。
紗霧と同じ髪色、額が少し見える短髪でオレンジの目をしている
「怪我。黙ってるのいけない。」
怒りが含まれた一言に背筋が凍る
めっちゃ怖い。
「まぁまぁ今回は杏璃のお怒りの一言で許してあげよう。今回は、ね?」零警視監の一言に結都ちゃん以外のみんなが同意する。零警視監含め、雨雷や佑夏さんなんて笑顔だ。余計怖い
「……あ、そうだ。上司から今回の仕事はニュース見ればわかるって言われたんですけど。」佑夏さんに聞く。
「あぁそれはね。」佑夏さんはテレビのリモコンをとりBARカウンターの端に置いてあるテレビをつけ、報道番組へチャンネルを変えた。すると
『速報です!先日無残な形で殺害された○○さんの殺人犯がたった今逮捕されたところです!犯人は△△、○○さんの恋人だったようです。なお△△の家には複数の臓器が見つかっており……』
テレビには例の彼が写っていた。ニュースの右枠には大きな字で自首と記されている。
「自首…!?つまり…」
「自首というか…まぁとりあえず依頼達成って事。」佑夏さんが微笑みながら言う。
終わったのか……
ホッとして肩の力を抜く。何より
「結都ちゃんと雪白ちゃんが無事で良かったよ。」
結都ちゃんと雪白ちゃんの方を向きながら言う。
「まぁ怪我はしてますけどねぇ……後その呼び方辞めません?鳥肌すごくなりそうなんで。オレは結都でいいです。結都で。」
皮肉を込めるように彼女は言う。
「雪白は雪白ちゃんて呼んで、その呼び方、かわいい。」雪白ちゃんも続けて言う。
「…うんありがとう。結都。雪白ちゃん。」
鼻で笑う結都と嬉しそうに頷く雪白ちゃんを見る。
これでこの仕事も終わりだ。長くて短く感じる仕事だった。
「それでは皆さんさようなら。
また会えるのを楽しみにしてます。」締まりよくここを去ろう。
「いやお前俺ら葬儀屋の監視課だろ?」
何言ってんだお前と紗霧君が言う。
ぇうそぉ
「葬儀屋の秘密を僕がそう易々と話すわけないだろ?それにあの世界を行き来出来るらしいじゃないか興味深い、よろしく頼むよ新人監視官君。」肩に手をぽんと置き佑夏さんが言う。
後ろでは結都や雨雷が大笑いだ。
零警視監や佑夏さんの笑顔が怖い
杏璃君に関しては雪白ちゃんと結都から離れはしないが、やや同情の目で見てくる。
拝啓お母様
俺、とんでもない職場選んだっぽいです。