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伏魔殿の闇  作者: 神田将宏
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第七章 推測

とあるアパートの一室。部屋のチャイムが鳴り、住人がドアの覗き穴から相手を確認した。


「どちら様ですか?・・・・・あれ?なんであなたがここに?」


住人が鍵を開錠し、ドアを開けた。


「ちょっと、要件を思い出し来ました。すみませんが、渡したい物があるので、出て来て貰えませんか」


「分かりました」

 

住人はドアを開け、廊下に出た。

 

ドアを背に向けた瞬間、ドアに隠れていた男がその住人の首をロープで巻いた。


「うっ、まっ・・・・まさか、おっ、お前がフクマデンだった・・・・のか・・・・・」


「そうだ。お前はここで死ぬ事になる」





七月二十三日十九時半。


夏休みに入ったのにも関わらず、僕達は今日も御神君の家に集まった。


「しかし、一昨日はKYUMが負けちゃったな。という事は遠野さんがフクマデンに殺されるのか?」


「いや、今回は書き込みの感じから遠野さんではない気がした」

 

半藤君の意見を御神君が反論した。


「何でそう思ったんだ?」


「一昨日のKYUMの言葉遣いや雰囲気が第一回目のKYUMとは違う気がしたんだ」


「じゃあ、一回目のMDも遠野さんではないんじゃねーの」


「いや、一回目のMDのKYUMは紛れもなく、遠野さんだった。恐らく、プレイヤーが変わったのだろう」


「でも、変わったのなら一体誰にだ?」


「それはまだ判らないがが、恐らく主催者側と繋がっている人物だろう」

 

突然、御神君のスマホが鳴った。


「ええ、木元さんですか?はい、・・・・・はい、・・・・・ええ、・・・・・そうですか。有り難う御座います。・・・・・では失礼致します」


「どうしたの、蓮司?」


「実は、この前木元さんに例の同窓会の幹事だった竹飛敏彦さんという人について、会ってみたいとお願いしたんだけど、今それがOKとなった。それでその竹飛さんに会ってみようと思うのだが」


「いいんじゃないか。何か有力な情報を聞けると良いな」


「そうだな。しかしその前に、南野さんに一度連絡を取ってみよう」

 

御神君はまた、スマホを手に取った。


「・・・・・繋がらないな。・・・・・もしかしたら、もう何処かへ逃亡しているのかもしれないな」


「それとも、昨日負けたKYUMと変わったプレイヤーがもし南野さんだったとしたら、もうフクマデンによって殺害されているとかな」

 

半藤君がそう推測した。


「・・・・・それはあり得るな」

 

御神君もそれに賛成した。


「お前もそう思うのか」


「ああ、昨日のKYUMから少し南野さんを感じたんだ。今、連絡が取れないという事は殺害された可能性があるとも捉えられるしな」


「そうだよな」

 

僕達はテレビを観ながら、常に情報を聞き洩らさない様にしていた。


「なぁ、御神、一応南野さんにメールだけでも送っとけば。取り敢えず、気付いたら連絡下さいってな。返信が来たら、まだ生きている事になるしな」


「・・・・・そうだな。そうしよう」

 

御神君が再びスマホを手に取り、メールを打った。


「よし、送信と」


「前回もそうだったけど、フクマデンはなかなか動かないわね」

 

大谷さんがそう述べた。


「まぁ、じっくり待ってみようぜ」

 

半藤君がそう答えた。


「後、三十分待って情報が入って来なかったら、今日は一先ず解散だな」

 

御神君がそう言った。


「ああ」


「・・・・・・・・・・今朝未明、東京都足立区の自宅アパートで二十一歳の男性が変死体となって発見されました。発見されたのは東明工業大学四年、島内大輝さん二十一歳。死因は首への拘束による窒息死・・・・・・・・・・また、遺体には今月十七日、変死体となって発見された則島智さん同様、カラスのマークが貼ってありました」

 

二人目の犠牲者が出た。


いや、フクマデンによって殺害された。


という事はやはりKYUMは南野さんではなかったのか。


「来たな。第二回目のMDでのKYUM=南野さん説は外れか」

 

半藤君がまず、口を開いた。


「そっ、そうね」

 

大谷さんがそう反応した。


「今回は、今回はゲームが終了してから直ぐだったわね」


秋山さんが意外にも冷静だ。


「フクマデン側に何か事情があったからだろう。しかし、島内は南野さんと同じ大学だな」

 

御神君が僕も思っていた事に気付いた。


「あっ、そう言えばそうね」

 

大谷さんがそう答えた。





「なぁ、ここで一旦、今の状況を纏めないか?」

 

半藤君がそう提案した。


「そうだね。確かに話を一度整理した方が良いかもね」

 

大谷さんが賛成した。


「俺が整理しても良いか?」

 

この案を自ら提案した半藤君が真っ先に名乗りを挙げた。


「うん、いいんじゃない、ねぇ、蓮司」


「ああ」


「じゃぁ、話すぞ。第一回目のREDPALは則島智、第二回目のKYUMは島内大輝。そして、フクマデンの有力候補は主催者Xに確実に繋がっている遠野岳、南野浩平だ。二人のどちらかがフクマデンだとしたらMDに参加している事になるから、則島のREDPAL、島内のKYUM、そして、御神のDAI以外のIDであるJIM、LEO、SAO、ANEX、MUEの内誰かが遠野さんか南野さんという事になるが、MDの質問の正誤からLEOとMUEとは女だ。だから、この二人ではない。フクマデンの有力候補は生年月日の質問で誤だったJIM、ANEX、正でその内容が1996年8月12日生まれだったSAOだ。今、21歳の南野さんの生年月日がもし、その生年月日だったら、SAOがフクマデンでほぼ間違いない。しかし、遠野さんと南野さん以外の第三者がフクマデンなのならば、また、候補者は五人に戻るが」

 

半藤君がそう自信まんまんに話終えた。正直驚いた。ちゃんと話の筋が通っている。


「凄いじゃない、貴新」


「俺を舐めるなよ、亜理紗」


「ごめん、ごめん。・・・・・二人の内、怪しいのはKYUMと争っていたSAOだね」


「そうだな。御神、また木元さんと会って、南野さんの生年月日を聞いてみろよ」


「そうだな」


「しかし、こんな簡単に候補者が絞り込めるなんて何かが可笑しい気がするな」


「何だ、俺の推理にケチつける気かよ。御神」


「いや、ごめん、そんなつまりは毛頭ないが、主催者Xは何か落とし穴を用意している気がするんだ」


「考えすぎじゃねーの」


「そうだと良いのだが」


僕は御神君の考えの方が何時になく首尾一貫していなく、ぶれていると思った。


「あっ、南野さんからメールの返信が来たよ」

 

御神君が突然僕達にそう告げた。


南野さんはやはり、まだ生きていたのか。


「南野さん何だって?」

 

半藤君がそう訊いた。


「第一回目に殺害されたのが中学の同級生の則島で驚いていて、暫く憂鬱になっていたか電話に出られなかったらしい。そして、今ニュースでやっている第二回目の島内も自分と同じ大学に通っているから、自分の周りの人達は呪われているのか?と思って、暫く誰とも会いたくないという事で俺達と会う事を拒否している」


「何だよ。まだ来れねーのかよ。しかし、まだ生きていたという事はフクマデン有力だな」


「まだ、100%そうだとは言い切れないがその可能性が高くなったな。・・・・・今日はこれ以上発展しそうもないから取り敢えず解散だな」


「そうだな。明日は朝から集まろう」


「分かった」

 

こうして、僕達は解散した。


果たして、フクマデンは本当に南野さんなのか?



とあるアパートの一室。


「これでおしまいだ」


男はそう呟いて、ロープを物干し竿に縛り、首にロープを掛けた。





七月二十四日八時五分。


今日は朝早く御神君の家に集まった。


「しかし、今日は朝から一段と暑いな」

 

冷房が利いた部屋の中で、半藤君が出されたお菓子をつまみながらそう呟いた。


「ああ、昨日、榎田警視に確認した所、島内の死亡推定時刻は七月二十二日の十九時頃と推定された」

 

御神君がそう報告した。


「そうなんだ。・・・・・ところで敗北された島内はフクマデンで、別の者に殺害された可能性はないのか?」


半藤君がそう質問した。


「今は分からない。実は昨日またあの例のサイトにアクセスしようと思ったんだがもう削除されていた」


「ああ、そうなの?」

 

大谷さんがそう答えた。


「ああ」


「なぁ、俺昨日一晩考えたんだけど、やっぱり、南野さんがフクマデンで今は何処かに逃亡しているんじゃないかなと思うんだけど」

 

半藤君が一昨日よりその考えが固まっていた。


「そうだな。そういう事も十分に考えられるな」

 

それから僕達は夕方まで話し合ったが、結局、特に新たな進展や情報がなく、解散した。

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