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伏魔殿の闇  作者: 神田将宏
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プロローグ

間接照明が照らす巣籠で男が複数枚の写真を眺めている。


「これで居場所も教える事になる」


そう言って、男は巣籠を出て行った。




薄暗い。


朝から豪雨で、薄黒い。


昨日の深夜のニュースでもそれは言っていた。


予想通りだ。


しかし、俺は明かりを点けられないでいる。


明るさなどいらない。


いや、暗さが欲しい。


俺の気持ちもこの空の様に暗い。


同化したい。


音が心地良い。


もっと降れ。


男は立ち尽くしながら窓から雨雪崩を見つめていた。




雑貨ビルの一室。


ここはレント達の巣窟である。


今日もレントがある人物の依頼を受け、密談をしている。


密談相手は心を落ち着かせる為に出されたコーヒーを片手に取り、一息付いた。


レントは黙ったまま依頼主を見つめる。


「再確認ですが、あの五つの条件と殺人自体は貴方が直接し、私は殺人自体には一切手を出さない事を飲んで頂けば、無料でこの計画書を渡し、我々も計画を実行します。いかがでしょうか?」


「・・・・・分かりました。お願い致します」

 

レントは契約書を依頼主の前に出し、署名を書かせ、判を押させた。


それを終わるのを見届けると計画書を依頼主に渡した。


無言のまま三十分経過し、依頼主は計画書のページを閉じた。


「何かご質問等は御座いますか?」


「いえ、今の所は・・・・・」


「でしたら、本日はこれでお帰り下さって結構です。また、連絡が必要な時は

こちらからします」


「分かりました。では宜しくお願い致します」


晴れやかさと少しの笑みが入り混じった表情でレントの条件に依頼主が了承すると、依頼主はそう言い、ソファーから立ち上がりこの巣窟から出て行った。


「ノエム、早速、準備に取り掛かるぞ」

 

ずっと隣のソファーに座っていたノエムが立ち上がった。


「畏まりました。しかし、本当にこんなに壮大で手間が掛かる犯罪を無料で承けたまわるのですか?」

 

ノエムがレントのタダ働きに疑問を抱いた。


「今回の目的は金ではなく、もう一つの方を重視するからだ」

 

顔をサングラスとマスクで覆っているレントがそう答えた。


「なるほど」


「しかし、今回も凄い計画を考えましたね」


ノエムがデスクに置いてある犯罪計画書を手に取り、軽く目を通しながらそう感心した。


「ああ、今回はネットの世界を利用する犯罪。今は老若男女問わず利用している時代だ。そこを利用して考えたんだ」


「ネットは今や人々の生活にとって必要不可欠なツールですからね。・・・・・話が変わりますが、予想通り山鍋の遺体が発見されるのが遅れていますね」


「ああ、やはり、山鍋興業のセキュリティーは厳重だったという事だ」


「あいつはどうするつもりですか?山鍋の遺体が・・・・・」


「それについてはもう手は打っている・・・・・それよりも今回の計画の準備を急ぐぞ」


「畏まりました。まだ、終えていない事が沢山ありますからね。今夜は徹夜ですかね」

 

ノエムがそう嘆くと二人は奥にある隠れ家に消えて行った。

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