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第六章 白ウサギとのワルツ その1

タイトル通り白ウサギの章です。意外と白ウサギは人気で作者としては非常に安堵しています。なにせ色々やっちゃってるので……


嫌われなくて本当に良かった。

「ちょっと!? 離れなさいよ!」



「嫌です!」



白ウサギはそう言うと余計に私にしがみつく。



もう、いい加減にして欲しい。はっきり言ってうざったい事この上ないし、いい大人が子供みたいに駄々をこねるなんてカッコ悪い。



「いい加減にしなさい! そんなにひどい怪我してるのに治療しないなんてバカじゃないの? 三月ウサギと同じくらい狂ってる!」



「なっ!? あんな奴と同等なんて嫌です! 私はあそこまでいっちゃってないですよ!?」



「うるさい、うるさい! 同等が嫌ならさっさと治療する! 早く医者でも何でも行きなさい!」




「世の中の医者なんかどうせやぶですよ。これぐらいの傷、しばらくほおっておけばそのうちに……」



「言っておくけど治らないわよ?」



「そんな事わからないでしょう?」



誰がどう見てもわかるでしょう!?



肩の傷は深くて、血がいっぱい出てるし、下手すれば腕だって動かなくなるかもしれない危ない状況だ。それなのにこのバカウサギは治療したくないと子供みたいに駄々をこねる。



これだけ深い傷、絶対に痛いはすだ。それなのに、このままでいいとか、どんだけ治療したくないのよ!?



「貴方ひょっとして、医者が嫌いとか言わないわよね?」



「医者は平気です。誰かに触れられる事が嫌いなんです」




「あのね……」



そんな怪我して、嫌いも何もないでしょう?



呆れると同時にあまりの情けなさに涙がでてきそうだ。



本当に癖があるというか変な性格というか……



とにかく白ウサギは可笑しい。それだけは私にもよくわかる。



本当に変な奴。



まだ何か私に隠し事をしているみたいだし、完全に信用なんかできない。やっぱりこんな奴に構わず、さっさと三月ウサギについていけば良かったかもしれない。



そうすれば……



「私も可笑しくなったのかも……」



何故だかこのまま白ウサギをほっといてどこかに行くなんて、私にはできない。



「もういい」




どうせそんな事考えていても無駄だ。



どうせ白ウサギに何を聞いたって、いつものようにはぐらかされるのがおちだろう。



ここは前向きにいこう。



「貴方の部屋はどこ?」



私の一言に白ウサギが固まる。



目を見開き、驚きに満ちた表情で私の方を見る。



「な、何?」



私、そんなに変な事言った?



「わ、私の部屋ですか?」



白ウサギは何故かうろたえながら問い返す。



「そうだけど……何? 聞いちゃいけなかった?」



「あ……アリス! 私の部屋にきたいということはつまり、その……」



「……言っておくけど貴方の考えてるような意味で言ってるんじゃないから」




妄想の世界に跳びかけた白ウサギをぎりぎりのところで引き戻す。



単純と言うか、何ですぐにそうゆう考えにつながるのか、私にはわからない。



「私の考えてる事がわかるんですか?」



「わかるわよ……」



その顔を見れば嫌でも何を考えてるかわかる。



「言葉にしなくても思いが伝わるなんて……やっぱり運命ですよ、アリス!」



何が運命よ。勝手に人を巻き込まないでほしい。



「バカな事言ってないで、早く教えて。貴方の部屋で治療するから」



「治療する?」




まだわからなそうにする白ウサギを私は怒鳴りつける。



「だから、医者が嫌なら私が貴方を治療するから早く部屋を教えて! 少なくともここよりは何かあるでしょう!?」



「ああ、なるほど。それはいい考えですね」



白ウサギはにっこりと笑って、頷いた。










「どうですか? 私の部屋は?」



「意外に……」



「意外に?」



「まとも……」



そう、白ウサギの部屋は意外にもまともだった。



シンプルなデザインの家具、きちんと片付けられた室内、ややおとなしい色合いのカーテンやベッド。



はっきり言って予想外のまともさだ。




「まともって……もっと派手な方が好みでしたか? 貴方がそうゆうのを好むと言うなら全て変えますよ?」



「ううん、これでいい」



むしろすっきりとしていて、この部屋自体は好きだ。



問題は部屋じゃなくて、そこに住んでいる人間の方だ。



とりあえず白ウサギをベッドに座らせ、私は辺りを見渡す。



「包帯とか消毒液とかどこかにある?」



「その机の引き出しの一番上に全て入ってますよ」



白ウサギに言われた通り、壁際に置かれていた机に近づき、引き出しを開ける。



中には確かに包帯やピンセット、ガーゼ、消毒液など治療に必要な物が全て綺麗に入れられていた。



何か本当に意外。




もしかしたら白ウサギはかなりの几帳面な性格なのかもしれない。



「これ、使ってもいい?」



「どうぞ。アリスが使いたいならいくらでも使って下さい」



私はとりあえず持てるだけそれらを持つと、白ウサギのもとにいき、すぐそばの床にならべて置く。



「どれも新品だけど開けちゃっていいの?」



「どうぞ。どれも新品なのはあっても、私が使ってないからです」



「何で使わないの!? 医者にも行かないくせに自分で手当てもしないの!?」



「そんなふうに言わないで下さい。治療しないのはしたら何となく悔しい気がするからで、医者に行かないのはそいつに借りをつくるのも触られるのも嫌だからです。理由があるんです。ちゃんとした理由がね」



それのどこがちゃんとした理由?



呆れて言葉も出ない。



「貴方……変なところが子供みたいね」



「アリスにそう言われると……何だか照れますね」



「言っておくけど誉めてないから。むしろ逆の意味だから」



「逆の意味!? それって……アリスが私の事を好きだという意味ですか!?」



「何でそうなるの!? 貴方の頭の中はどうしてそう……ああ、もういい。とりあえずしばらく話しかけないで! これ以上話したら治療するどころか、また貴方を殴りたくなる!」



「貴方に殴られるなら本望です! これも貴方の愛情の示し方だと私はわかっていますよ、アリス!」



どうしてそうなるのよ!?



早くも私の右腕が殴りたくてうずうずしだす。



「もう私がいいって言うまで何も言わないで! いいって言う前に何か言ったらもう二度と貴方となんかしゃべらない!」



勢いに任せて言ってしまったが、こんな事で白ウサギが私の言う事を聞くはずもなく……



なく……



あれ?



ちらりと見れば顔を真っ青にさせてぶるぶると震えながら口を閉ざす白ウサギの姿が見えた。



……きいたみたいだ。



「貴方って本当に訳のわからない人ね」




白ウサギは言われたとおりに何も言わない。



まさかあんなにもうざったい奴がこんな事で大人しくなるとは……



「いい事、知ちゃった」



今度何かあったらこのてで脅そう。



勝ち誇った気分で私は白ウサギの傷を治療し始めた。

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