三月ウサギの戯言 その8
誤差です。1日、2日は誤差です。
どんどん更新日がズレてますが誤差なので笑って許して下さい。
次回新章…かな?
「そんなに笑わなくてもいいじゃない!」
私は思わず、三月ウサギを怒鳴りつける。
しかし三月ウサギは笑い止むどころか、ますます可笑しそうに笑う。
何故だかわからないけどなんかスッゴくバカにされてる気がする。
「ちょっと、いい加減にして!」
「いや、すまない……そうか、そうか、自分で探すか、なるほどね。君らしい。実に君らしいよ、アリス」
何が私らしいよ。会ってまだ1日、2日で私の事なんかろくに知りもしないくせに。
三月ウサギはようやく笑うのを止めると、手元が光り、持っていたライフルが消える。
どうやらもう白ウサギを撃ち殺す気はないようだ。
良かったと内心ひそかに安堵する。
目の前で誰かが死ぬのはもうこりごりだ。
「アリス、君はやはり変わっているね。自ら困難な道を選ぶとは、いや、だがだからこそ上手くいくのかもしれないね」
何を言ってるのか相変わらずよくわからない。
聞く間もなく、三月ウサギはゆっくりと私に背を向ける。
「まさか君が一夜をともにした私よりもその白ウサギを選ぶとはね……」
「違っ!?」
誤解を招く言い方しないで!
一夜をともにしたってただ一緒に寝ただけじゃない!
しかも貴方が勝手に一緒に寝ただけだし!
三月ウサギに文句を言おうとしたが、三月ウサギは私の事なんか気にせずしゃべり続ける。
「やはり……には私じゃ勝てないと言う事か……」
「はい?」
何て言ったのだろうか? 三月ウサギらしくもなく、小声で言うものだから上手く聞こえなかった。
「いや、何でもない。こちらの話だよ」
中途半端に何よ……そんなふうに言われたら嫌でも気になるじゃない。
慌てて、その背を追おうとしたら後ろから腕がのびてきて、私をがっしりと捕まえた。
誰の腕かは振り返らなくてもわかる。
「はなしなさいよ! 白ウサギ!」
「アリス! やっぱりアリスは私を選んでくれたんですね! そうですよね! あんな変態で狂っているような奴を貴方が選ぶはずがないです!」
痛いぐらいの抱擁。はっきり言って暑苦しいし、うざったい。
さっきまでのあの優しい抱擁は何だったのよ!?
腹立つほどの笑顔でさらに白ウサギは私を強く抱きしめる。
「うっ……」
死ぬ。はっきり言って、このままだと私は本気でこの男に絞め殺される。
「アリス! やっぱりアリスは私の事が……」
「いい加減にしろ!!」
私は思いっきり肘を後ろから抱きついくる白ウサギの顔に叩き込んだ。
「ぐっ……」
くぐもった声とともに白ウサギは床に倒れ、ようやく解放される。
「相変わらず貴方の愛は痛いです……」
「そう? 言っておくけど今回は貴方がいけないから」
これはあくまで正当防衛だ。あのままだったら私の方がやられていた。
「貴方がいけないのよ」
おまけに三月ウサギにケンカを売って、死にかけているし……
ここで私ははっとなって、慌てて、白ウサギの体を見る。
三月ウサギに負わされた肩の傷から血が流れ、白ウサギの服を赤く染めていた。
それなのに白ウサギは痛そうにもせず、にこにこと私の方を見ている。
これは……ある意味怖い。
「アリス? どうしましたか?」
「動かないで! 止血しなきゃ!」
止血できるものがないか探すがあいにく何も見当たらない。
仕方ない。どこかで探してくるか。
「ちょっと、そこで待ってて。私、何か止血できそうなものを探してくるから……」
「駄目です、アリス!」
私が行こうとする前に白ウサギが素早く私の腕を掴む。
「何するのよ? 早く止血しなきゃ……」
「止血なんかどうでもいいです!」
「いい訳ないでしょう!」
何故、こんな事を言い争う必要があるんだろうか?
怪我をしたら手当てする。そんな事、当たり前の事でしょう?
「はなしなさいよ!」
「嫌です!」
「貴方、このまま死んでもいいの!?」
「いいです」
またバカな事を言っている。いい加減にしてほしい。
怒鳴りつけてやろうと思って白ウサギの顔を見れば、その顔があまりにも真剣で言おうと思っていた事が全て消えさる。
「お願いです。どこにもいかないで下さい」
白ウサギはそう言って寂しげに微笑んだ。
「三月ウサギ!」
三月ウサギは聞き慣れた声にそれまでの無表情が嘘のような笑顔を浮かべ、声のした方へと振り返った。
「やあ、眠りネズミ」
三月ウサギが振り返るとそこには眠りネズミの姿があった。
笑う三月ウサギとは対照的に眠りネズミは顔をしかめ、怒ったような表情をしている。
「いったいどこにいたんだ!? お茶会の準備を全て私に押し付けていくなんて……」
「何を今さら言ってるんだ? そんなのいつもの事だろう?」
「偉そうに言うんじゃない! お前という奴は全く……」
「何だ?」
三月ウサギの目が鋭くなり、文句でもあるのかと言いたげに眠りネズミを見る。
眠りネズミはそれに言いかけた文句をのみこむ。
上下関係はすでにできているのだ。
三月ウサギは納得いかなげではあるが文句をいわずに黙りこむ眠りネズミを見て、機嫌良さげな表情をする。
「さて、お茶会の準備でもするか」
「どうせまたすぐに私にだけ準備をさせて、どこかに行くくせに……」
珍しく食い下がる眠りネズミに三月ウサギは眉をしかめる。
「何だ? 文句あるのか?」
「別に」
そうは言いつつ眠りネズミの顔は不機嫌なままだ。
三月ウサギはいったん首を傾げ、それから何かを思いつきニヤリと笑う。
「さては置いていかれたのが寂しかったな? 私が君を一人にして置いていったから、それで拗ねてるんだな?」
「……っ!? どうして、そうなるんだ!?」
「なるほど。なら、素直に寂しかったと言えばいいじゃないか」
「ふざけるな! 誰がそんな事を……」
一人顔を真っ赤にさせて怒る眠りネズミに三月ウサギはくすくすと笑い、さっさと歩きだす。
「どこに行くんだ?」
「お茶会の会場に決まっているだろう? あそこが一番落ち着くんだ」
三月ウサギはそれだけ言うとお茶会の会場へと向かう。
眠りネズミはその背中をこれでもかと睨んでいたが、しばらくすると三月ウサギの後を追いかけて行った。