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第4話 洞窟の鍛冶屋

第4話です! そろそろ思い着かなくなってきました。

 目を開くとそこにあったのは、見慣れたアパートの天井では無く木製の天井だった。誘拐?夢遊病?私は考えを巡らせ、思い出した。 

 自分が死んだ事、異世界に来て織田信長に会った事、そして…朝8時に大山さんが迎えに来る事。時計を見ると針は10時を指していた。外を見るとすっかり日が上っている。


 『嘘っ、やばい大遅刻じゃん!!』


 急いで準備を整え部屋を飛び出す。そして1階へと続く階段を1段飛ばしで駆け降りると、食堂で大山さんはコーヒーを飲んでいた。


 「おはよう、昨夜は随分楽しんでいたみたいだな」


 怒ってる…?恐る恐る近づくと大山さんの影からミリアちゃんがヒョコッと顔を出した。


 「おはよ!葵ってこんな凄い人と知り合いだったんだね私びっくりしちゃった!」


 『あはは…大山さん、ミリアちゃん、おはよう』


 どうやら大山さん怒ってはないようで良かった‥


 「今日は葵さんの武器を作る予定で知り合いの鍛冶屋に頼んでいてな、時間が押してるからすぐ出発するぞ」


 『あ、はい!ごめんなさい!』


 大山さんがコーヒーをぐいっと飲み干し席を立つ、その後に続き歩き出すと後ろから


 「いってらっしゃーい!」


 とミリアちゃんが手を振って見送ってくれた。私は親指を立て『いってきます』と笑顔で返事した。


 外に出るとそこには想像すらしなかった物が待っていた。


 『ド…ドラゴン?本物?CGじゃ無い?』


 「上位飛龍(ワイバーン)だ。俺の相棒でな、名前は王牙(オウガ)って言う」


 大山さんがオウガを撫でると、オウガは気持ち良さそうにグルル…と喉を鳴らした。こうして見ると大きな猫みたいだ。


 「さて、時間も無いし飛ばして行くぞ。翼の後ろ辺りから乗ってくれ。」


 乗るのは案外簡単だった、以前乗馬体験をした時よりもかなり楽だ。2人用のサドルで来てくれたのだろう、ちゃんと私が掴めるハンドルの様な部分があった。

 ハンドル部分を握り大山さんに『OKです』と伝えると、オウガは畳んでいた翼を大きく広げ一気に空へと舞い上がった。


 「どうだい!良い景色だろう!」


 風の音がうるさい中、大山さんの声が聞こえる。下を見るとさっきまで自分がいたオワリの城下町がすごく小さく見えた。遠くの方に大きな山が見え、更に遠くの方に海が見える。


 『凄く良い景色です!ありがとうございます!』


 私がそう返すと大山さんはニカッと笑いオウガの背中をポンポンッと叩く、するとオウガも嬉しそうに一層強く羽ばたいた。


 10分も空の谷を楽しんでいるとオウガが降下し始めた、目的地はさっき遠くに見えた山の麓にある洞窟みたいだ。


 「到着だ、この辺りはオワリの領土内ではあるが城や町からは遠いから気をつけてな」


 オウガから降りた大山さんが周囲を軽く見渡してから私が降りるのを手伝いながら言う。


 『これから、この中に入るんですか…?』


 恐る恐る聞いた私に大山さんは笑顔で答えてくれた。


 「そうだ、この中に住んでいるアルボと言う鍛冶屋に会う。」


 アルボさんは信長の剣を作った鍛冶屋さんの息子で1番弟子、現在この国で1番の技術者らしい。


 「それじゃ行くぞ、俺から離れるなよ」

 

 大山さんの後に続き洞窟へと入る、洞窟の中は暗く少しジメジメしていて、消して快適な環境という感じでは無かった。洞窟の中をしばらく進むと大きな鉄製の扉が見えた。

 大山さんは扉をコンコン、と2回ノックし


「爺さん俺だ、開けてくれ。」


 と言った。すると扉が重々しい音を立てて開き、中からは身長130センチ程のガッシリした体格の老人が出てきた。


 「龍二、よく来たな。それとそこのお嬢さんが例の…ええと」


 『あ!私、葵と言います!よろしくお願いします!』


 私が思わず自己紹介するとアルボさんは「ホホ…元気が良いな」と笑うと、


「まあ中に入れ」


 と言い私達は扉の中へ入った。そこは暖炉のある洋風の部屋だった。アルボさんは私と大山さんに椅子を進め、自分も椅子に座った。

そして、少し間を置いてから神妙な面持ちになり


 「龍二、実は少し困った事になってな…」


 と切り出した、聞くと昨日洞窟の奥に魔剣の素材になる魔法金属(マジックメタル)を取りに行った息子さんが帰ってこないそうだ。


 「事情はわかりました、俺が探して来るからアルボ爺さんと葵さんはここで待っててくれ。」


 と言い飛び出して行った。部屋にアルボさんと2人きりになり静かな部屋に時計の音だけがカチ、カチ、と鳴っている。


 「少し‥この老人の昔話に付き合ってくれないか?」


 アルボさんがゆっくりと口を開く。


 私が『ええ、もちろん』と答えると、アルボさんはゆっくりと話出した。


 「コレはワシがまだ若造だった頃の話‥

 信長様がこの世界に来て直後の話じゃ。信長様は数名の部下と共に誰も寄り付かなかった樹海を切り開き、自らの国を開いた。」


 アルボさんはどこか遠くを見る様な、懐かしむ様な目で壁に飾られた一本の剣を見ながら話しを続ける。


 「そして信長様はワシらの様なはぐれ者や、虐げられていた種族達をも受け入れてくれたのじゃ。そして他国の王達と話をし、6人の王に信長様を加えた7人の王達による不可侵条約と種族差別の撤廃を行ったのじゃよ‥」


 と、アルボさんがそこまで話した時扉がカタカタと音を立てた。大山さんが帰ってきたのかと思い私が扉に近づくと


 「待つんじゃお嬢さん!何かおかしい!」


 アルボさんの言葉で一瞬立ち止まる。その途端、鉄製の扉が大きな音と共にボコッとへこんだ。関にもヒビが入っている、どうやら向こう側から何か大きな物が体当たりして来ているみたいだ。


 「下がるんじゃ!!」


 アルボさんが叫ぶよりも早く扉が破られ、その向こう側には3メートルはあろうかと言う巨大な虎のような熊のような生物が立っていた。

カリダは上半身が虎、下半身が熊の怪物です。

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