第10話 ミリアの秘密
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「どうだ、良い魔法金属は採れたか?」
第6階層から戻った私達にアルボさんが問いかける。
「バッチグーっすよ!」
ヒュー君が背中に背負っていた黒い鉱石を下ろし、それをルーペの様なもの使いアルボさんが鑑定する。
「魔力の巡りが良い…内包している魔力の質も良いな。ヒュー良くやった、ここ数十年の中で最高の品質だろう。」
ヒュー君が歓声をあげる、どうやらこの魔法金属探しは、ヒュー君がアルボさんの後を継げるかどうかの試験でもあったらさい。
「よし…行くぞ…ヒュー、ついて来い」
アルボさんがゆっくりと部屋の奥にあった鉄の扉を開きその中へと入る。ヒュー君がその後に続き
「魔剣の完成まで3日くらいかかるから好きに過ごしてて下さいっす!」
と言い扉は閉じられた。その場に残された私とミリアちゃんは顔を見合わせた。その後しばらく話し合った結果、3日間ここでのんびりと過ごすことになった。
1日目は洞窟の1階層や周囲の森をのんびり散歩していたらあっという間に日が暮れていた。 夕食も終え、私がアルボさんに借りている部屋でくつろいでいると、ミリアちゃんが勢いよく部屋に飛び込んできた。
「葵ちゃーん!温泉あったよ!!温泉!」
『え?温泉?』
突然の事に呆気に取られる私の手を引き、ミリアちゃんは廊下を走り抜けた。
「ほらね!凄くない?」
そこには確かに温泉があった、しかも露天風呂だ。場所としては山の中なのだろう、周囲は岩だらけだがよく整備されている。 更に1番驚いたのは上が吹き抜けになっておりそこから満天の星が見えた。
「やっほーっ!!」
後ろから元気な声が聞こえたかと思うと、全裸のミリアちゃんが私の隣を走り抜け温泉にダイブしていった。
『ミリアちゃん!?』
「葵ちゃんもおいでよ、最高だよ!」
私も服を脱ぎ、岩の上に置くと温泉に入る。温泉は暖かく、私は星空を見ながらミリアちゃんと2人でゆっくりと平和な時を過ごした。
しかし、何かがふと私の足に触る。細くて長い何か。 蛇かと思いお湯の中を見た私の足に触れていたのは猫の尻尾だった。
『ん…?尻尾?』
尻尾の根本はミリアちゃんのお尻に繋がっていた。
「ああ、これ?この事あんまり人には話さないんだけど…私のお母さんが猫人族なんだよね」
ミリアちゃんは獣人と人間のハーフらしい。しかしミリアちゃん自身は獣人の遺伝子はあまり受け継がず、尻尾以外は普通の人間とほとんど変わらないらしい。
『へぇ…凄いね、フサフサしてる。』
しばらく温泉に浸かった後、私達は同じ部屋で眠った。翌朝1階に降りるとミリアちゃんが朝食を作って待っていてくれた。
『凄い、ありがとミリアちゃん!』
ミリアちゃんと一緒に朝食を済ませ、その後お茶を飲んでいる時に
『ミリアちゃん料理できたんだね』
と私が呟くと、ミリアちゃんは照れ臭そうに答えてくれた。
「私も冒険者生活長いしこのくらいはね、まあパーティでやってるとそうでも無いけどね。」
冒険者は野宿で最低限の保存食以外は自給自足が基本になるらしい。
複数人のパーティは1人料理担当がいるチームもいれば、当番制で料理をするチームもあるらしい。
「私は基本ソロで冒険してるからね、簡単な料理と植物の知識は持ち合わせてるよ」
と、言うとミリアちゃんは思い立った様に立ち上がり私に森に行こうと言い外へ出る準備を始めた。
『森に何かあるの?』
「あの2人、きっと何も食べずに剣作ってるんでしょ? なら出てきた時にとびっきりのご馳走と出迎えてあげようよ」
ミリアちゃんの提案で私達は森で山菜採りと狩りをする事になった。
『ミリアちゃん、これって食べれるやつ?』
「根っこは食べれるけど葉には毒があるから切り取っちゃって」
朝のうちに森の数カ所に罠を仕掛け、山菜採を採りながら獲物が掛かるのを待つ。わらびやタラの芽など、見慣れた物もあるが見慣れない植物も多くあった。
私が山菜を採っている間にミリアちゃんは釣りをしていたみたいで夕方に私がザルいっぱいの山菜やキノコを持って戻る頃には大小様々な魚を担いだミリアちゃんも戻ってきた。
『それじゃ、最後はアレだね』
森へ戻り罠を確認すると、5つ仕掛けた罠のうち3つは何もいなかったが1つの罠には猪、そしてもう1つの罠には兎がかかっていた。
翌朝、私達は朝1番から料理を始めた。昨日私が採った山菜をミリアちゃんが見たところ使える物は半分程だったが、4人で食べるには十分な量だ。
「葵ちゃん、せーので行くよ!」
『「せーの!!」』
2人で猪の毛皮を剥ぎ、ミリアちゃんが動物を捌く。猪は鍋にする為薄切りにし兎は1口大に切って唐揚げにする事にした。
魚料理も完成し、日も暮れかけた頃ついに鍛冶場の鉄の扉が重々しい音を立てて開いた。
「完成じゃ…」
疲れ果てた様子のアルボさんとヒュー君は、私達の作った料理を見ると驚いた顔になり椅子に座った。
「凄い…こんなの数年ぶりっすよ」
「ありがとな、お嬢さん方」
2人はあっという間に料理を平らげると、ゆっくりとした足取りで部屋に着くなり倒れるように眠ってしまった。
そして深い眠りに落ちた2人は、翌日の昼までゆっくりと眠り続けた。
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