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淡水と紅
大学までの道のりは結構長い。そもそも自宅から最寄り駅までの距離が長い上に最寄り駅から大学の駅までが長いのだ。
その途中にその県を代表するような駅があるため謎の停車時間があり、暇を持て余す(そのためのコレである)。
しかし、その巨大駅で大抵の人々が下車するため満員電車の惨状をあまり経験せずに済む。
電車に乗る。俺はいつも後部車両に乗車する。その方が到着した際に、外へ出る階段との距離が近いからだ。
俺はh駅からc駅の間を通る際に横切るT川が好きで、車内でスマートフォンを見ていようが小説を読んでいようが、その川を渡る際は必ず眺めるのだ。ほんの数秒だが。
大学の駅に近づくとベニカナメモチが列車を出迎えてくれる。俺は線路と大学校内を隔てるその植物が好きなのだが、どうしても夏にはつまらない緑に変色してしまい、嫌悪感さえ感じる。
ただでさえ退屈な通学なのだから、こういう好めるものを見つけるのが良いだろう。
こうして、電車の待ち時間に湧く鬱憤を晴らしているのだ。無理矢理に。