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思い付き短編

ポケットの中の給付金

作者: 黒イ卵





 嗚呼、もっと、給付金が欲しい……。

 足りない……足りない……。


 ふっと耳に、懐かしい童謡が流れてきた。


 何を思ったか、ポケットに給付金を詰め、上から叩く。


 こんなことして、増えるわけがない。


 ない……。

 ない……?


 ある……!


 ポケットの中のふくらみが増えた。


 「まさか……!?」


 今度は両方のポケットに入れて、叩く。


 ポケットの中のふくらみが、明らかに増えた。


 「ウソだろ!? おい!」


 それから、狂ったように給付金をポケットに詰めて、叩く、叩く、叩く、給付金が倍に、さらに倍に、倍の倍の倍に……。



 とうとう、“給付金”という概念になり、想うだけで“給付金”が支給された。



 「給付金」


 口に出すことで、イメージがより鮮明になる。


 「給付金」


 諭吉達がウィンクする。




 そんなある日、自販機で飲み物を買おうとした時のこと。


 「給付金」


 チャリーン!


 そこには、鈍く光る十円玉があった。


 「あと十円あれば、と思ったな」


 かさばるから、お釣りが出ない方が良い。



 ーーその日以来、想うだけで十円玉が支給されるようになった。




(了)







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― 新着の感想 ―
[一言] 発想の結びつきが実に素晴らしいですね! ポケット叩いたらこういう能力が増えて、他のみんなにも配れたり出来るようにならないかな?(笑)
[良い点] 思うだけで10円が貰えるという部分に、ドンキの端数切り捨て円満会計を連想しました。
[良い点] 慣れきって概念化すると、はて、もとの形は、そして意義はなんだったのやら、みたいになっちまったりする気がします。 そういう感じなのかなー、とか思ってしまいました。
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