表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/21

第一話「また俺イキっちゃいました!?」

初投稿です! 頑張って更新していきますのでよろしくおねがいします!

 「拡散希望! 拡散希望! 拡散希望!」


 そこにはバカどものツイートが所狭しと表示されている。

 おそらく学のない、生殖能力だけお盛んな腐れDQNのツイートを一心不乱にリツイートする。


 「これで内定取り消しっと」


 俺は、コンビニの冷蔵庫に入る動画をネットに上げていたアホ三匹の情報を、奴らの内定先の人事に報告してやった。


 「ご丁寧に内定先をネットに上げるとか、情弱かよw」


 リアルではカースト上位であろう小麦色の細マッチョや、明らかなキョロ充はいいカモだ。一つの油断で坂道を転げ落ちるところを存分に楽しませてもらっている。


 「こっちはネット上でイチャイチャしやがって。しかも彼女可愛いし」


 俺はすかさず過去ツイを漁り、未成年飲酒の証拠をスクショにとり、彼の通う高校と教育委員会に送りつけた。


 「おっ、しかも二股かけてるやん」


 そう言って俺は、こいつの彼女に彼氏のイキリツイートのスクショをダイレクトメッセージで送ってやった。


 「これで俺の人間ランクが一つ上がってしまった……」


 人間ランク、そんなゲームのような妄想を独りごちて俺は今日も眠りについた。


 朝が来た。今日は月曜日。やりたいこともわからないまま只々時間を過ごす暇な日々が始まってしまう。学校へ向かう間、ツイートを確認しながらいつも通学に利用しているバスに揺られていく。

 昨日の投稿もかなり拡散されているが、DQNどもの動画ネタは特に食いつきがいいな。また動画を取ってアップしてやろうかと思うと無意識に口元が緩んでしまう。いつの間にか自分の晒し上げた対象の一味が、俺の画面が容易に覗き込まれる危険性のある位置に誰が立っているかも気づかずに……


 ピコン!


 『見つけたぞ。†ジャスティスダガー†ってやつ』

 『マ? 』

 『今同じバスにいる。後で詳しく話す』

 『取り敢えず、”俺ら”と同じ学校だ』

 『やっぱり同じ学校だったじゃねえか』

 『ちょっとお灸を据えてやらないとな?』

 『だな』


――――――――

――――

――


 クラスのアホどもが騒いでいる。何やら放課後に呑み会するらしい。何やら大学生の先輩に奢ってもらうようだ。

 晒したろ!! 俺のセンサーが反応する。即座に時間と場所を記憶する。

 やべえ、楽しくなってきた。俺は上機嫌で放課後を待つのであった。


 日が傾き、太陽と街灯が街を照らす中、若い男女が横並びになって進んでいる。目的地は食のレジャーパーク、スタミナ三郎。かの有名な食べ放題店とはなんの関わりのないローカル店だ。


 俺にとって、ここが今日の狩場となる。あらかじめ未成年飲酒の話題はツイート済みだ。今もプチ炎上的な議論が盛り上がっている。


 ああ、こいつらを早く社会的に抹殺したい。


 アホどもが店に入る。俺はそっとスマホを構え店内へ潜入。†ジャスティスダガー†の本領発揮だ。

 俺はDQNの真裏の席に陣取ると、うすっぺらいネギ塩タンを焼きながら奴らの会話を盗み聞きする。


 「あいちゃんも飲んじゃいなよ!」

 「えー」

 「俺らが全部出すからさ」

 「飲まないとか乗り悪いよー。せーの!」


 俺はこれまでにない程笑みを浮かべながら、この一部始終を動画配信してる。視聴者数もコメント数もこれまでの最高記録を更新している。


 これでもかとツイートでの宣伝。もう祭りだ。


 リツイートとコメントの嵐。うざいので通知を切った。

 言い逃れのできない証拠の数々。こいつらを社会的に狩りきったと思い、勝利のコーラに 酔っていた刹那、俺の意識は目の前のネギ塩タンと共に昇天するのだった。



――いい匂いがする。まるでネギ塩タンの様な。


 「あっ、起きましたか」


 ネギ塩タンを焼きながら目の前の「女」は俺に問いかけてくる。


 「おめでとうございます。あなたは異世界に転生することになりました〜」


 目の前の頭がゆるそうな女は、そんな意味不明のことを言い出した。


 「はあ? 漫画じゃあるまいし。第一俺はトラックになんかはねられてないぞ」


 周りを見ると確かに俺の居たスタミナ三郎のボックス席とは違うようだ。

 取り敢えず話を聞こうと相手の反応を待つ。


 「あ、はい。でも、あなたはナイフで刺されて死んだんですよ?」


 そっちのパターンか。あえて王道を外すあたりさすが俺だな。

 まだ、自分が死んだなんて思ってない俺はそんなアホみたいな事を考える余裕が有った。


 「なんで俺がナイフで殺されるんだ? 全く身に覚えが無いんだが」

 「身に…覚えがありませんか? 『†ジャスティスダガー†』さん?」

 「お前っ、なんでその名をっ!?」


 鼓動が加速する。手のひらから汗が吹き出す。 


 「私は女神ですから~。まあ、あなたを刺殺したDQNさんも知ってたみたいですが~」


 思考がまとまらない。俺が身バレするはずないのに。


 「……お前まさか俺のストーカーか?」

 「どうしてそうなるんですか…。 では証拠を見せたほうが早いですね~」


 そう言うと自称女神は空中に巨大なスクリーンを出し、スタミナ三郎の店内を投影した。


 「すげえ。ていうかどんな仕組みだ?」

 「まあまあ~。まずは画面を見てくださいよ~」


 そこには、ナイフでめった刺しにされた「俺」の死体とおびただしい量の血液。

 一見しただけで、助からないと判断するのに時間はかからなかった。


 「質の悪いいたずらはよせよ」


 強がりでそんなことを言ってみたが、正直足が震えている。認めたくない現実がそこ映っていた。


 「いたずらなんかじゃありません~。それはあなたも分かったのでは?」


 女神はそんな俺に畳み掛けるように、現実を突きつけてくる。

 確かにそこに映る映像は生々し過ぎて、俺は死んでしまったと理解するのに時間は掛からなかった。


 「俺が死んだっていうのは認めよう。でもなんで死んだ後に女神なんかに呼ばれないといけないんだ?」


 俺は精一杯の強がりを込めて女神に尋ねた。


 「ん~それは、波長が合ったというか~。死後の魂を探していたときにたまたま見つかったというか~」


 女神は歯切れの悪い回答でお茶を濁す。


 「随分適当な女神だな。それより、女神なら俺を元の世界に戻せるんじゃないのか?」


 さっきから質問が止まらない、死という現実を受け入れたくなくて俺は普段より饒舌になっていた。


 「う~ん、それは無理ですね~。†ジャスティスダガー†さんは、魂だけこちらの世界に呼び寄せたのですが、あちらの世界の肉体はもう使い物にならないので魂を返せたとしてもそのまま成仏ですかね~」

 「返せたとしても? 体なんて女神だったらいくらでも作れるんだろ?」

 「さっきから質問ばっかりですね~。まあ、一つ目の質問の答は、おそらく魂が耐えられないっていう事ですね~」

 「どういうことだ?」

 「そもそも人間の魂は世界を渡れるようには出来ていないんです。特殊な条件と私の加護があってギリギリってところですね。それでも魂はダメージを受けているので、次に世界を渡ったら魂は霧散してしまうと思います」

 「魂が霧散したらどうなるんだ?」

 「本当に知りたいですか…?」 

 「いや、辞めておこう」


 聞いてしまったら一生立ち直れない気がして、女神の解説をストップさせた。


 「そして、二つ目の質問の答えは、あなたの世界で肉体を作るのは世界の理に反するということです。いくらなんでも他の世界に干渉するのは神でも許されないんです。あなたの世界の神様に怒られちゃいますからね~」


 女神が説明してくれた事が本当ならば俺はもう元の世界には帰れそうにない。

 まあ、たいして元の世界には未練もないし、別の世界とはいえ生き返れてラッキーってところか。でも、母さんと父さんに一言くらい挨拶はしたかったな。クラスの奴らは、まあいっか。それと、PCの中身見られないと良いな。

 俺は現世との決別を心の中で済ませると、気持ちを切り替えてこちらの世界でどうやって生きていくか考えることとした。


 「それで俺はこっちの世界で何をすれば良いんだ?」


 女神は何か目的を持って俺を呼んだに違いない。俺がその目的を尋ねた途端女神の表情が明るくなる。待ってましたと言わんばかりだ。


 「あなたにはエルソラという世界を救ってもらいたいのです~」

 「はあ? お前何言ってんだ? 第一俺になんのメリットが有るんだ?」


  世界を救うなんて、勇者にでも頼んでろ。俺みたいな陰キャに何をさせる気だよ。そんなことのために呼ばれたと思うと少し腹が立った。


 「私の提案を断るのは自由ですけど、あなたの魂はそもそも元の世界に戻れませんし、この世界でも私の力無しでは、精々ミジンコに転生するのがやっとですよ~」 

 「俺を脅す気か!?」

 「そんな気はありませんよ? ただ、私のお願いを聞いてくれて、そのままこちらの世界で幸せに暮らし続ける方が楽しくありませんか?もしあなたが望むなら私の管理する別の世界で、あなたの望みを叶える形で転生させることを約束します」


 こいつは何勝手に決めているんだ? だんだん腹が立ってきたぞ。俺の心情なんて気にしていないというように、自称女神はニコニコ顔のまま話を続ける。


 「なので、あなたには私の管理するエルソラに飛んでもらいます」

 「ん、嫌だと言ったら?」

 「うーん、結構強情ですね~」

 「いや、でも俺なんかが世界を救えるわけないし、別の人間に頼んだほうが良いんじゃないか?」

「まあ、行ってみれば何とかなるかな。それでは行ってらっしゃい。あ、エルソラの全ての言語はあなたの脳にインストールしときましたのでがんばってくださいね?」


 女神が手を振りながら満面笑みで俺を送り出す。


 「うわあああああああああああああああああああああああああああああ。せめてチート能力の十や二十はよこせよおお」


 体がぐるぐる回ってトルコアイスのようになっていく。

 意識が完全に消失直前に、女神が「あ、スキルの説明忘れてた……」と言っていたようだが……



――プツリ。そこで意識が途絶えてしまった。



 女神が説明した内容を頭の中で反芻する。俺が置かれた状況はこうだ。

 ・元の世界に戻ることは、世界の理に反するため不可 

 ・世界を女神が望む姿に戻す

 ・女神が望む世界を取り戻せば、俺は更に別の世界に転生し、チートハーレム生活を送れる

 ・女神の祝福によりスキルを習得? 現状スキル名、効果は不明

面白いと思っていただけたら 拡散希望! 拡散希望! 拡散希望!って感じです!

評価やブックマーク、感想などいただけるとうれしいです。

よろしくおねがいします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ