表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

本当の愛

作者: ひかぴん

嫌なことがあった。だから今日も夜の街に繰り出した。孤独はいつも、ワンナイトで紛らわす。本当の愛なんて俺は知らない。


今日はどんなコに声をかけようか。余裕の表情を作って街を歩けば、寂しい心の持ち主から声をかけてくることもあった。ネオンが人工的な光を放つ街。俺はすれ違う女を横目でチェックする。


瞬間、とびきりの魅力的な表情の女が目に飛び込んできた。この人に、しよう。

「今日は俺とどう?」

(嫌なこと、孤独、退屈を捨てて俺と夢をみようよ)


彼女は黙って俺について来た。

2人で居れば、誰にも止められないくらいの甘い時間になった。けれど、彼女は謎めいた目で俺を見つめる。自分をさらけ出そうとしない。


俺と同じように、嫌なこと、孤独、退屈を捨てるために街に出ているようだった。彼女のことを知りたかった。抱きしめてもわからないけど、全てを知りたかった。

(素直になって。ありのままの君でいいから。俺に全てを預けて)


今まで身体を重ねた女とは違う。心に火が付いたように、彼女に恋をした。しかし、これはワンナイト。恋心を抱くのはタブー。バレないように、彼女の本音を探る。

(もし君が俺を好きになったら、この恋はタブーじゃなくなるよね?)


ありきたりな毎日が変わる瞬間はいつ来るかわからないようだ。ちょっと彼女に仕掛けても、彼女は無邪気にかわす。今日は眠れそうもない。だから攻め込もう。心を伝えよう。

(秘密めいた君を守りたい。どんな未来も君と過ごしたい)

「一般論も客観視もいらないよ。君の声が聞きたいんだ」

彼女は俺に笑顔を向ける。だが彼女は本当のことを明かさない。


「君のことなんて興味ないよ」

そう言う彼女の目の奥を見つめる。嘘だとわかるくらいに目が泳いだ。俺と彼女の思いは交錯する。もうすぐ朝が来る。積もる期待とタイムリミット。この数時間で彼女を思う症状は深くなるばかりだ。


「俺は、君を好きだよ」

身体を重ねる。何度も確かめるように。たまに彼女は気まぐれに焦らす。ワンナイトの愛。それが一生の愛になるように。


待ってるくらいなら、もうここで決めてやる。俺の気持ちは変わらないから、彼女の全てが知りたいんだ。

(素直になって、ありのままの君でいい)


「君を、離さないよ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ