6話:原始魔法と亜神の兆し
急展開です。お気をつけください。
こんにちは。厨二病になるのはいいですがいつ頃脱却したかで恥ずかしさが全然違うと思います。かくいう俺は今現在厨二病かもしれません。
◇◇◇
今現在の時間は………昼間だ。かれこれ6時間くらい経ったか。未だに戦狼の捕獲は難航している。
「うーん。なんつーか………横取りはあかん」
俺はAR表示は諦めてとりあえずこの辺りで多い危険度3の狼を捕獲しようと精霊に眠らせてもらってから捕獲しようとしてるのだが………まぁ、他の狼が持っていく持っていく。おかしいよね!?気配探知系のスキル必須なのこの世界!?
そんな馬鹿げた思考を打ち消したのはいままでにない充実感だった。
ルーチンワークでは決して味わえないその時、その瞬間に次に何をするか模索し、実践する。そんな楽しさだった。
「身投げして良かったかもな〜」
「暢気ね〜。飢え死に寸前なのに」
「んだよ。エル。いいだろ〜現実逃避ぐらい。」
「まぁ、憂鬱になられるよりはね〜」
ちなみにエルとは賢人精霊とか名乗ってた精霊だ。特別な精霊らしいので名前をつけた。
「なぁ〜。エルさんや?」
「何よ〜。ふぁ〜〜。」
「北に50kmくらいの地点からやばい気配近づいてるけど気のせい?」
「はぁぁぁ!?」
そして5分後………エルから逃げることを提案された。
「いや、逃げるも何も相手の情報くらい教えろよ」
「そ、それもそうね。相手は金剛蟻って上級魔物の群れよ。このまま領地を蹂躙するコースだわ。逃げて他の領地に入った方がマシよ」
「ふーん。なら迎撃あるのみだな」
「なっ!?あんたここで無駄死する気!?」
「他人を………誰かを見捨ててまで生きるくらいなら俺は轢き殺される弱者でいい!」
俺はその時なぜだか不可能に近いことすら可能に出来る自信があった。
(カズヤの目が亜神様たちみたいな光輪のある目になってる!?もしかしてハイフェアリー様の予見って………)
「やるぞ。エル!」
「あぁもう!こうなったら一蓮托生よ!」
平常心でやりゃあいい。
(スー、ハー。よし!『複合型並列思考』開始。第一術式『連結』起動。精霊との連結確認。第二術式『方位角固定』起動。固定完了。第三術式『魔素収束』開始。並列して第四術式『魔素圧縮』開始。並列して第五術式『精霊制御』開始。精霊へのマナ譲渡正常。続いて第六から第十術式まで省略。)
そうこうしているうちに金剛蟻が残り2kmまで来た。領民は地下シェルターに避難済みらしいのでこれから起こる『奇跡』を目にするのは領主ただ1人。
「『第575番魔法。精霊連結圧縮魔力砲』いっけぇぇぇぇ!!!!」
そのカズヤの咆哮と共に超巨大魔力砲が金剛蟻の群れを地面ごと溶解し、跡形もなく金剛蟻は全滅した。
「ふ、ふぁ〜。本気はやっぱり堪えるわ〜」
そんな暢気なカズヤを余所にエルは考え込んでいた。
(これがカズヤの本気!?ハイエルフ様さえ純粋な魔力砲でここまでの威力を出すなんて何時間単位でマナ収束させなきゃ出来ないはずなのに!?いったいこいつはなんなの!?)
カズヤは『原始魔法』スキルと『冷静沈着』スキルを手に入れた。
◇◇◇
さすが私はカズヤ。「愚者でありながら弱者」の矜恃を曲げない。ほんと、素敵♡
※戦狼は相変わらず捕獲出来てないので飢え死寸前です。