5話:精霊たちとクエスト
こんにちは。都会は夜でも明るいと言いますが、そんなの幻想で主要部から抜けると案外暗いです。そう考えると宇宙まで届く光を放つ建物はすごいですね。
◇◇◇
俺は真夜中にもかかわらず草原教会のある村からの林道をひた走っていた。
そんな危険なことは普通だったらやらない。それでも走れるのは「日本の都市部」程ではないにしろ明るいからだ。
理由は2つ。1つは月明かりが想像以上に明るいこと。もう1つは精霊たちのおかげだ。
精霊たちは元々ほのかな明かりを発しているのだが今はさらに発光してもらっている。
ふと疑問に思ったことがあり精霊に聞いてみた。
「なぁ、精霊さんや」
「な〜に〜?」
「いや、簡単な質問なんだけどよ。精霊ってなんなんだ?」
「ん〜?なにってどういうこと?」
「えっと、つまりだな〜。精霊ってどっから生まれてくるんだ?」
「精霊核っていう核から私たちは生まれるの〜」
「へぇ〜、精霊核以外にも核ってあるのか?」
「うん!あるよ〜。魔素核と地核……最近は原子核ってゆわれてる〜」
「魔法と錬金術と精霊術のそれぞれの核なのか」
「そーそー、そうゆうこと。それぞれ三賢人様が守ってう」「三士族様だろ!?」「違うよ。三銃士様!」
あーだこーだと始まったのを聞きつつ一瞬感じた引っかかりが気になった。
(もしかして、原子とマナと精霊って元々は1つだったのか?)
そうこうしているうちに領地門前にたどり着いた。
「すんませーん」
(応答無し。まだ明け方だし仕方ないか)と思ったら違った。貼り紙がしてある。
「えっと〜、入領料として戦狼1頭を捕獲し上納せよ?2頭以上なら1頭につき銅貨3枚………そういえば、貨幣がねぇな………仕方ねー、捕縛系狩猟クエストをやるか」
俺はその時あまりにもこの世界がイージーモードで進んでたから忘れていた。この世界は基本的にマゾゲーだったことを。
俺の算段ではAR表示で戦狼を見つけまくって5か6頭捕獲するつもりだった。なので意気揚々と森に戻ったさ。
「なんでこーなるんすかね!?」
AR表示は働く………働くが!人間の様に詳細表示されない!
最初に狼っぽいのを見つけてAR表示をONにしたら『狼さん♂危険度3』としか表示されない!「なに」狼さんだ!戦狼なのか、他の狼なのかはっきりしてくれ!
「な、なぁ精霊さんや。」
「な〜に〜?」
「なんで人間と狼でこんなに情報量が違うのかな?」
「ん〜?なんでだっけ?」
そのほかの精霊数匹も知らなかったが1匹の精霊だけは知ってたので懇願して聞いた。
「精霊核を守ってるお方がいらっしゃるのは夜中の移動中聞いてたでしょ?」
「あ、あぁ。三賢人だか呼び方で喧嘩してたな」
「そう。正しくは三亜神様ね。それぞれ精霊核は亜神妖精様、マナ核は亜神森精様、原子核は亜神竜様なんだけどね。その三亜神様が人間と魔物への警戒心が強くて人間と魔物は可能な限り情報を集めて、その他の動植物は大枠でしか区別してないの。食べ物なら毒ありとか不味いか美味しいかとかが精霊情報の限界よ?」
「他の情報を見るには方法とかねぇの?」
「あるわよ?」
「マジか!?どんな方法だ!」
「ちょっと!ち、近い…あくまで私はカズヤの賢人精霊なのよ!」
「す、すまん。って賢人精霊?」
「そ!私はカズヤにこの世界での知識を与える精霊よ!」
「ほう」
閑話休題、今話題に出た全ての詳細を表示するAR表示を出すにはマナと原子からの情報も見えないといけないらしい。マナ情報からは個体名、スキル、得意性質が、原子情報からは種族名、耐性、素材時の名称がそれぞれ分かるらしい。これに精霊情報も併せて3つ同時使用を会得すると見識スキルになるらしい。
そんなこんなと新情報は分かりつつも俺の戦狼捕縛系クエストは難航してるんだよねー(棒)
◇◇◇
アハハハッ。私のカズヤったら。可愛いことで悩んでるわ。そういうところキュンキュンきちゃう!これからも楽しみね。カ・ズ・ヤ♡
迷走しておりますが、そろそろヒロイン(人間の)が欲しいと思っております。
※誤字脱字報告お待ちしております。