12話:VS魔族アルベキド(前編)
魔族とのバトルは前後編に分けます
こんにちは。緊張する瞬間は多々ありますが俺は緊張しすぎると笑うようにしています。笑うと心にゆとりができますのでみなさんもぜひ。
◇◇◇
俺は久しぶりに怒りに震えている。魔族に対してでも人々を喰い殺した魔物に対してでもない。無力な自分に対してだ。
(なんでここまでくるのに3時間もかけた!なぜここまでくる間の人を見捨ててきた!助けられた人がいたはずなのに………)
アルベキドの部屋で玉座に座っている人物を俺は睨んだ。侯爵三男セイルフィードだ
「おや?おやおや、お早い到着ですね。カズヤ殿」
「そうですか?俺は魔物に喰われた人たちを救えなかった鈍間ですよ?」
「いやいや、迷宮に呑み込まれた2万人のうち被害者は5千人で済んでいる。十分な速度ですよ。目障りなほど…ね?」
そう言うとセイルフィードは立ち上がりこちらに歩み寄ってきた。
「本当に目障りですよ。だからまだ完全には復活させるのは不可能ですが呼び出させていただきますよ?」
「セイルフィード!やめるんじゃ!」
「父上…さようならでございます」
『欲魔族たるアルベキドよ!我が肉体と魂を贄とし迷宮内の全ての魔物たちを喰らいてここに降臨せよ!……魔族顕現!』
その呪詛とともに迷宮内のあらゆる憎悪が塊となっていき、形を創り出す
それは憎悪とは違うものだと俺は認識しつつもただ唖然と見るしかなかった。強大すぎる闇の化身を…
闇の暴風が収まったと同時に「それ」は咆哮を上げた。全長3m程の巨体と強靭そうな四肢、雄牛の様な顔をしつつも凶悪な歯が見える。そして、最後にその化身は自分の巨体と大差のない首斬り包丁を持っていた。まさしく闇の化身にして魔族と言うに申し分ない圧力………顕現したる魔族は断罪の異名を持つ魔族『アルベキド』
『我を呼び起こしたことを栄誉とし、我が肉体として生き続けよ人間。そして、我を呼び起こしてまで屠りたい人間とはお前のことらしいな………草原の覇者よ。』
「へっ、そうらしいぜ。魔族さんよ。」
『ほぉ、我の咆哮を聞いてまだ口が開けるとはさすがだな。だが、残念だな。我はまだ中級魔族程度の肉体だ。全力で闘いたかったぞ!人間!』
「俺は願い下げだね!闘いなんぞめんどいことはしたくない主義だ」
『ふっ。草原の覇者としては無理なことを……いや、始めようぞ。愉しい闘いを!』
そこからは沈黙が始まった。どちらが先手でも構わないが始めた瞬間どのくらい長い闘いが始まるだろう……
先に動いたのは俺だ。
『第1番魔法。身体強化』
唱えた瞬間にはアルベキドの横っ面に蹴りを見舞っていた。
『ふ、ふははは!原始魔法とは面白い!我も本気でいこう!』
そんなアルベキドの言葉を聞きつつ俺は天駆と身体強化の併用によるハイスピードで距離を取りつつ『魔力砲』を連発した………が魔族に大した外傷はない。
次に魔族からカノンと同等の火炎弾が飛んできた。危なげなく躱していたが魔族の拳が飛んできて俺は壁に打ちつけられた。
(マジで化け物だな。今の一撃で意識が飛ぶかと思ったぜ。本気出さねぇと死ぬな……)
(『複合型並列処理思考』起動)
「さぁ?本気でやろうぜ。魔族野郎」
◇◇◇
魔族程度は倒せないと私には届かないわよ?カズヤ
まだまだ初陣はカズヤのスキル取得しまくり回にしますよ?