序章
異世界統一戦記って小説書いてる人です。
知ってますって?
そうだとしたらありがとうございますm(_ _)m
そうじゃ無い方初めましてm(_ _)m
楽しんで頂けたら幸いです。
何処だよ。ここ・・・。
朝、眼が覚めると見知らぬ森の中。昨日はちゃんと家の布団で寝ましたよちゃんと。誘拐?家の中に居て誘拐されたら問題だろう。それにこんな所に連れて来て何の意味があるのやら。昔プレイしたADVゲームみたいに他のプレーヤーと殺し合いさせられたりするのかな?
そう思ってゲーム内の主人公達がつけれていた首輪が着いてないか恐る恐る喉に触れた。
「無いな」
ふう、と一息ついて全く状況が変わってないことに気がつく。
「どうしたものだろうか?」
独り言って困った時に自然と出るもんなんだなと妙な感想を持った。
とりあえず考えを纏めるために独り言でも呟きながらやるか。
「とりあえず。近くに川とかないかな?あったらそれを下って行けば家とか、浄水場とかあるよね?」
そう考えた僕は地面に耳をつけた。
すると運の良いことに水の音を拾えた。
「うん。コレはラッキーだな。趣味を山歩きにしてて助かった。」
僕は水の音がする方に歩いて行くと、段々と木々が少なくなっていった。
「森を抜けられるのかな」
そう考えた僕の足は自然と速くなっていった。そして、明るくなっている所に着く寸前で気がついた。妙な物が地面から出っ張っている。
「何だあれ?」
しかも、一本や二本じゃない。無数に杭が立っている。
「乱杭?」
自分の持っている知識の中に心当たりのあるものがあった。それを意識して木々の陰から乱杭の向こうを見るとやはりというか、なんというか、逆茂木や防柵が見えた。
「なんで?戦国時代じゃあるまいし、今時あんなあからさまに陣を張る事ないよね?」
一瞬大河ドラマや時代劇、それに類する映画の撮影と言う言葉が頭をよぎったが、それにしてはアレは作りがしっかりとし過ぎている気がする。
「物凄い金持ちで物好きのスポンサーがついて徹底的に時代考証したとか?」
な訳ないよね。今時反戦、反愛国心を煽る様な作品しか作ってない様なテレビ局が時代考証だの、リアル志向だのに金をかけるわけないよね。
「って事は・・・。僕はひょっとして中世にタイムスリップでもしたのか?」
そう考えるとまぁ、半信半疑でもちょっとは説明できるし、何より現状のヤバさが理解できる。
「ここって・・・戦場って事だよな?」
まぁ、丸腰の僕をいきなり襲ってくるような軍隊は・・・、傭兵ならやりかねないな。
「とりあえずここを離れるのが一番だろう。」
変な見つかり方して拘束されるのは嫌だ。僕は慎重にこの場所を離れる事にした。
最後に一応何か役に立つ情報が手に入らないかと陣を少しだけ観察した。
とりあえず幟と陣容位はさっと把握しておいた。
何の役に立つのかって?分かんねぇよちくしょう!けどまぁ、僕は歴史が好きでね。幟の旗印は全然知らない物だったけど、あの陣が何を警戒して作ってあるのか位は見て取れる位には詳しいよ。
多分あの陣の中に居る連中の敵は遊牧民か、騎兵部隊の精強さに定評のある陣営なんだと思う。
騎兵の足を鈍らせる為の曲がり道や、掘があるからね。
アレを正攻法で攻め落とすのは骨が折れるだろうね。
ま、僕には関係の無い事さ。
今度こそ僕は慎重に陣から離れて行った。
しばらく川は見えるが獣道ですら無い様な所をかろうじて転ばない様に歩いていた。そしてふと自分の格好を見ると何故か寝た時の格好ではない。まぁ、靴を履いて森の中を歩いているから当然と言えば当然なのだが。
「しっかし、山歩きするのにスニーカーは無い。あと、何でこんな軽装なんだろう。せめていつもの山歩き用の格好をしていたらまだ色々と道具もあったのに。」
と文句を言った瞬間だった。後ろから突然口元を抑えられて膝を蹴り飛ばされフワッと体が浮いたかと思うと一気に地面に押さえ付けられた。痛い!尻が!
「声を出すな。」
と、物凄い低い(注・音程の話では無い)声をかけられ、喉元に短剣を突きつけられた。
僕が叫ぶ気は無いと伝えるために首を上下にコクコクと揺らすと相手は口元から手を離した。
「何者だ。見た所斥候などではなさそうだが。」
「えーと、信じて貰えないとは思いますが。迷子です。」
僕的には端的な事実を述べたのだが、後ろの人からはふざけるなと短剣の柄で頭を小突かれた。
だから痛いって!
「本当なんですよ。僕もなんでこんな所に居るのか知りたい位なんです。」
と、大きな声でいいたい所だが、ここがおそらく戦場だと理解している身としてはそんな迂闊な事はできない。
「正直に言って、僕が知ってる情報はおそらくはここが戦場だと言う事、それから青地に黄色の天秤を描いた幟を立ててる陣があったって事くらいです。」
そう言うと突然別の声が聞こえてきた。
「ほう。貴様それをどこで見た。」
女?声の位置がえらく高い。余程の長身か、何かの上に乗っているのか、と考えると蹄の音が聞こえてきた。どうやら馬に乗っている様だ。
「ここから川沿いにしばらく登って行った辺りです。」
「エリシア。放してやれ。」
「は!」
短剣が喉元から離され僕は拘束を解かれた。
「すみません。助かりまし・・・た。」
振り返ると後ろにはベル薔薇のオスカルが居た。
「何だ?私の顔に何かついてるのか?」
「いや、女の人だったとは。」
「ふん!生憎と女らしさはかけらも持ち合わせていないがな。」
少女漫画や宝塚と違うところは兵士から甲冑を受け取って身に纏っているところだった。ついでに言うと、胸は無い。そりゃそうですよね。背後から拘束されて背中で女性の柔らかさを感じなかったのだから、とは絶対口に出さない。あぁ言う人はそう言う事言うと多分怒るから。経験上。
今度は馬上の人から声をかけられた。
「貴様のおかげで敵の陣の位置が知れた。戦の後に多少の礼をしたい。エリシアに案内をさせよう。我が陣にてしばし待っていて貰いたい。」
こっちもまた結構な美人さんだね。さっきのオスカルと違うところはこっちの人は甲冑越しにも女性と分かる所だ。何処が、とは言わない。
とりあえず彼女達はさっきの陣営の敵の様だ。と、言うことは。
「ちょっと待って下さい。貴女方の部隊ってひょっとして騎兵中心ですか?」
僕がそう聞くとオスカル、えーとエリシアさんだったか?が肩を掴んできた。
「だとしたら?」
あ、これは下手なことを言うと殺すぞ♪ってやつですね。
「昼間にあの陣に突撃するのは辞めた方がいいと思いますよ。乱杭に掘、馬防柵。あの様子なら多分弩も相当数用意していると思います。」
そう言うと馬上の美人さんの目線が鋭くなった。
「貴様、本当にただの迷い人か?」
あ、ヤバイ。変に親切心出して忠告なんてしなければよかった。今すんごい警戒されてるね。
なんて言って誤魔化そうかな。・・・通じると良いなぁ。
「ぐ、軍師見習いです!」
い、言ってしまった。