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58話 懐かしの攻撃方法


なんとか横穴に逃げ込めた。


いやー、あぶねぇあぶねぇ。


あんなのに一斉に攻撃を受けたら、普通に死ぬわー。


まぁ、レベルも上がったし、スキルも手に入ったし、めでたしめでたしだ。


それにしても、相手が仲間を呼ぶ場合もある状況で、時間のかかる毒殺はリスクが高いな。


新しい戦闘方法を考えねば………、と思ったが、何も思いつかなかったので、


既存の戦闘方法である、《隕石》を使用可能にするために、岩集めを開始した。


《隕石》とは、森狼戦で活躍した、ただ空から岩を落とすだけの攻撃方法である。(48話参照)



………

……



さすが巨大洞窟、岩が色々なところに転がっている。


片っ端から収納空間に入れていった。


そんなことをしていると、【探知】に異様なものが引っかかった。


自分が居る場所の壁を挟んで向こう側に、大量の微弱な魔物の反応があった。


それはもう、無数と言っても差し障りのないレベル。


まぁ、【探知】の反応の感じ、かなり弱い敵のようだし、やられることもないだろうから、好奇心に突き動かされて、【地中移動】を利用して壁に穴をあけることにした。


【地中移動】はかなり有用なスキルだ。


【穴掘】は、進む方向の土などを脆くするだけで、進む際は自分で掘らなければならない。


しかし、【地中移動】は違う。

進む方向の土などが、自分を避けて広がるのだ。


例を挙げるなら、モーセの海が割れるのシーンの土バージョン。


まぁ、あんなにぱっくり割れるわけではなく、自分のサイズの穴ができるだけなのだが、


初めて見たときは感動だった。


しかも、自分が通った後、しばらくすると閉じて行くオマケ付き。


正直、これがあればダンジョンとか関係なく進める上に、一切の証拠が残らない。


そして、追っ手がいても、道が閉じてしまうから追いかけられない。


まぁ、やらないけど。


壁に穴が空いたので、そこから侵入し、覗き込む。


其処には、まるで地面が動いているかのように錯覚するほど、びっしりと敷き詰められている、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛。



うわ、気持ち悪っ!


一応【鑑定】してみる。


無数の蜘蛛の正体は、


スモール・ケーブスパイダーと言う名の魔物だった。


【検索】曰く、ケーブスパイダーの幼体らしい。


いやー、気持ち悪い。


しかも、レベルも低いし倒しても経験値の足しにもならんだろう。


見ているのも辛いので、すぐにその場を離れ、岩集めを再開した。



………

……



移動中、再び気になる反応が【探知】に引っかかった。


と言うか、ズドン、ズドンと重い物が打つかる音が洞窟中に響いていた。


え、何?! こわっ!


何か、巨大ムカデ級の化け物同士が喧嘩でもしているのだろうか? と思う程の音。


近寄らない方がいいに決まってるのだが、巨大怪獣同士の戦闘…………、映画のような事が現実で起こってると考えると、好奇心が抑えられなかった。


うん、見るだけ見るだけ! 巻き込まれそうになったらすぐ退散する方向で!


反応のある場所に向かった。



………

……



到着したので、岩陰から覗き込んでみると、


そこには、人間十数人と、羽根の無い4足歩行の竜が、戦闘を繰り広げていた。


人間の方、なんか見たことあるなー。


一応、【鑑定】してみる。


まずは、人間側の方だが、戦っている人のほとんどの服装は王国軍のもので、赤い髪の女兵士と、指揮を取っているリーダーの様な男には見覚えがあった。


【鑑定】結果には、『カミル・ラーリア』と『セドル・リウス』


カミル………たしかそんな名前だった気がする。


リーダーの男はセドルって名前なのか。初めて知った気がする。

ちなみに、この人は196レベルで一番高かった。


そして、一番見覚えがあったのが、斧を持った戦士風のスキンヘッド、『オベス・ツェル』だろう。



対して、敵は『地竜』と言う魔物だった。


この魔物、ありえないくらい強い。



ステータス

––––––––––––––––––––––––––––––

種族:地竜

危険度:B+


ステータス

Lv:439

HP:218.211

SP:57.786

ATK:19.844

MATK:7.460

DF:50.067

MDF:38.221


PS:物理攻撃大強化Lv.5、物理防御超強化Lv.10、魔法防御超強化Lv.7、身体大強化Lv.4、地属性超耐性Lv.8、異常状態耐性Lv.7、

衝撃大耐性Lv.7、魔力大操作Lv.6、

自動超回復Lv.7、地中移動Lv.8


AS:防御力強化魔法Lv.8、防御結界Lv.7、

土神法Lv.1、突進Lv10、嚙みつきLv.6

––––––––––––––––––––––––––––––



この間遭遇した、巨大ムカデに勝るとも劣らないステータス。


いくら200レベル近い人間が2人いたとしても、レベルも圧倒的だし、ステータスは雲泥の差だ。


どう見たって勝てないだろうな。


まぁ、俺には関係ないけどな!



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



セドル率いる本隊は、先行部隊に追いつくと直ぐに兵士達を『中層攻略部隊』と『表層攻略部隊』の2隊に分けた。


レベルの低い者に表層の捜索を指示し、自分達は中層へと向かった。


途中で魔物に遭遇することもあったが、セドルとオベスの2人を筆頭に、敵を確実に撃破して行き、進行は快調だった…………そこまでは…………。



中層には居るはずもない上位の魔物、


《地竜》に遭遇したのだ。



ただ、遭遇しただけならこんな窮地に陥ることは無かった。


元々地竜は好戦的な性格ではない。

だから、下手なことはせずそのまま撤退していればよかった。


しかし、その事を知らない兵士の1人が、恐怖のあまり魔法を使ってしまった。


そこから、『中層攻略部隊』の命運は潰えた。


「おい、セドル! 何かいい案はないのか!?」


セドルにそう尋ねるオベスの顔に余裕はなかった。


いくら《鉄人》なんて呼ばれたオベスも、超重量級の地竜の攻撃は受け切れない。


今、こうして耐えてるだけでも奇跡のようなものだった。


「倒すのは無理だ! 隙を見て逃げるしかない!」


セドルや他の兵達は、地竜の攻撃がオベスに直撃しないように邪魔をするくらいしか出来ないでいた。


この隊の中で一番硬いオベスでさえ、地竜の攻撃の直撃は受け止めきれない。


他の兵では、瞬殺されてしまう。


この隊の中で一番のアタッカーであるセドルの攻撃でも、地竜にはほとんどダメージにならない。


もちろん、他の兵では歯が立たない。


戦況は絶望的だった。


「オベス! もう少しの間だけ耐えてくれ!」


良い策を考えるため、時間を稼いでくれるようオベスに頼む。


「おう! まかせろ!」


オベスは、その頼みを快諾してくれたが、


その言葉と共に、オベスは地竜の尻尾の直撃を受け、壁に激突した。


地竜は、壁にめり込んでいるオベスに追い打ちをかけようと、前足を振り上げる。


「させません!」


カミルが放った魔法は、地竜の目に直撃し、オベスへの攻撃を中断する事に成功した。


が、標的がカミルに変わってしまい、地竜はカミルめがけて尻尾を振り払う。


まさか自分が狙われるとは思っていなかったのか、カミルは反応できないでいた。


「ちっ!」


セドルが、カミルを無理やり倒す。


そのお陰で、カミルは直撃を受けることはなったが、セドルが代わりに攻撃を受けてしまい壁に叩きつけられた。


戦力差が絶望的過ぎた。


「お前ら!! とにかく来た道を逃げろ!!」


作戦なんて地竜の前では意味がなかったのだ。


そのことを悟ったセドルは、とにかく逃げろ、と兵達に命じた。


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