56話 出入り口が塞がれる
ギリギリ間に合った?
洞窟ムカデを見つけたら、即頭破裂。
洞窟蜘蛛を見つけたら、剣を頭目掛けて【射出】。
素晴らしきかな、レベリングの日々を過ごしています。
合成魔です。
ステータスを見てみる。
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Lv:79
HP:7999〔+400〕
SP:7999〔+400〕
ATK:799〔+46〕
MATK:799〔+40〕
DF:799〔+96〕
MDF:799〔+40〕
《特殊系》
探知Lv.4、自動超回復Lv.6
《移動系》
空中移動Lv.7、地中移動Lv.2、高速移動Lv.3
《耐性系》
暗躍Lv.5
《強化系》
暗視Lv.10、追尾Lv.7、身体大強化Lv.5、
物理攻撃強化Lv.8、物理防御大強化Lv.7、
嗅覚強化Lv.5
《操作系》
糸大操作Lv.7
AS:
《魔法系》
土魔法Lv.5
《強化魔法系》
クイックLv.10
《物理攻撃系》
射出Lv.8
《結界系》
防御結界Lv.3
《生成系》
即死毒Lv.2、強化糸生成Lv.2
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どれだけの間を端折ったんだ! と突っ込みたくなるレベル。
正直、レベルの上がってないスキルの方が多い。
だが、びっくりするほど同じ事の繰り返しだったので、特に言うことが無かったのだ。
特に変化もないので割愛、というやつである。
《アース大空洞:中層》に入って以来、洞窟蜘蛛と洞窟ムカデ以外に遭遇した記憶がない。
そろそろ飽きてきたので、新しい事をしたいのだ。
という事で、洞窟探検なうです。
あ、敵発見!
【探知】の範囲もかなり広くなったお陰で、相手の存在を早く察知できるようになった。
反応が微弱なので、かなり弱い魔物か、死にかけている魔物だろう。
早速、対象を視界に入れ【鑑定】してみる。
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種族:ウォールランナー
危険度:G
Lv:12
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なんか、懐かしいやつがいた。
そう、壁を歩くトカゲである。
こいつ、こんな危険なところにもいるんだな。
経験値の足しにもならないので、放置して歩き出した。
………
……
…
しばらく歩くと、【探知】に4つの反応が現れた。
その反応に近付いてみると、話し声みたいなものが聞こえてくる。
おそらく人の声だろう。
あれ? なんでこんな所に冒険者達が?
俺がいる《中層》は、中級〜上級の冒険者達が来る所だったはず………、
って事は、あの冒険者達、結構強い?
一応【鑑定】してみると、
全員レベル40くらいだった。
ステータスもそこまで高くないし、本当に中級冒険者なのか?
正直、洞窟ムカデが出てきたら即全滅だろ。
彼らのステータスは洞窟ムカデより遥かに低く、4人で協力しても、洞窟ムカデを討伐することはできない気がする。
中級冒険者じゃない気がしてきた。
しかし、何故あそこまで弱い彼らが、こんな所まで来ているのだ?
なんとなく、周りを【鑑定】してみた。
すると、《アース大空洞:表層》と出てきた。
適当に歩いていた結果、表層の方に向かっていたようだ。
あー、だからウォールウォーカーなんて居たのか。
まぁ、表層には人がいるし、追われる身の自分としては、進むべき方向は真逆だろう。
そう考え、来た道を戻ろうとしたところで、ふと思い出した。
いや待てよ?
俺が中層に逃げ込んだ理由って、名指しで緊急討伐クエストの放送を聞いたからだよな?
あれから、一週間以上は経過した筈。
もしかしたら、俺の指名手配が無くなってるんじゃないか?
洞窟に入るところを見られてない現状を考えると、もしかしたら合成魔騒動のほとぼりも冷めているかもしれない!
少し冒険者達の話を盗み聞きする。
「そう言えば、最近この大空洞の様子が変だから気を付けるようにってギルドに言われてたな」
「異変の原因だけど合成魔の仕業だって聞いたぞ?」
「ああ、俺も聞いた。あと、その異変の視察も兼ねて、王国軍が動くって聞いたな」
「本当か!? じゃあ、安心だな」
という会話が聞こえてきた。
あー、うん、全然冷めてないわ。
つか、この洞窟の異変、俺のせいになってるし……。
伝説に出てくる化け物だからって、証拠も無いのに俺のせいにするのは良くない!
そんな事より、やばいな、軍が動くのか…………。
つまり、大勢の人間が入り口から攻めてくる。
洞窟内にいるのは危険だな!
よし! ここにたどり着く前に逃げよう! そう思い、洞窟の出口であろう方に進もうとした時、
「いつ動くんだ?」
ふと冒険者の1人がそう尋ねた。
「2日前に『明後日あたりに動くらしいぞ?』って聞いたな」
2日前に、明後日出発…………、今日ですねわかります。
その冒険者達の後ろから、ゾロゾロと服装を統一した集団が歩いてくるのが見えた。
どうやら、王国軍の皆様が到着したようだ。
なんでタイミング…………。
とりあえず、あの集団から離れよう。
そう考え、洞窟の奥に向かった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「そろそろ、先行部隊か到着した頃か?」
王国軍3番隊の隊長を務めるセドルは、部下のカミルにそう尋ねた。
「はい、その筈です」
カミルは、その問いに対しそう答えた。
「合成魔関連なら、俺もついて行きたかった」
さっきから、ぶつくさ文句を言っているのは、オベスと言う名の冒険者だ。
「だから、先に送った部隊は、視察が目的であって戦闘がメインではない。戦闘は俺ら本隊と合流してから始めるから、それまで待ってろ!」
セドルは、言うことを聞かない子供に説明する様に言った。
「へいへい」
快諾とまでは行かないが、一応了承してくれた様だった。
「はぁ、相変わらず面倒臭いやつだな」
かつて、オベスとパーティーを組んでいたセドルは、昔から未だ変わらないオベスの面倒な性格にため息をついた。
毎日とか言っておきながら、1日目でいきなり、日付変わる2分前とか……。