45話 久しぶりにスキルを見直そう
森狼皇帝を【吸収】したことにより、かなり強力なスキルが手に入った。
そう言えば、【身体能力大強化】になってたけど、前の【身体能力強化】の時から、一切の恩恵を感じられない。
他にも、【速度強化】【嗅覚強化】もなにが変わったかサッパリ分からない。
そんな事を考えていると、久しぶりのあの感覚に襲われる。
「ひーちゃん! お久しぶりなのです!」
「お、レイア、久しぶりだな」
そう、レイア降臨である。
様子を見る限り、愚痴りに来た訳では無さそうだ。
「トールとは仲良くなってるか?」
何故そんなにご機嫌なのか分からないが、トール関係かな? と思い聞いてみた。
「はい! バッチリなのです!」
「おおー、それは良かった」
そう言って、レイアの頭を撫でておいた。
「えへへー、それで、トールちゃんから聞いたのですが、私とトールちゃんが仲直り出来たのはひーちゃんのお陰、というのは本当なのですか?」
恐らくトールから聞いたのだろう。
まぁ、俺が、特に何かしたと言う訳では無いので、
「俺は少し素直になれって言っただけだ。仲直り出来たのは2人の力だよ」
「でも、やっぱり、ひーちゃんのお陰なのです! ありがとです!」
最近色々あって疲れていたが、あー、無邪気な子って癒される。
ワシャワシャと頭を撫でておいた。
………
……
…
「そう言えば、少し聞きたい事があるんだけど良いか?」
もしかしたら、レイアなら、あの疑問に答えてくれるかもしれない。
そう信じて、聞いてみた。
「はい! もちろん良いのです!」
「俺の持ってるPSの中で何個か、ちゃんと正常に動いてるのか、疑問なスキルが有るんだよ」
きっと、レイアなら答えてくれる。
トールの方が良かったなんても思ってない!
レイアは、俺の方をじーっと見ると
「あー、【身体大強化】【速度強化】【嗅覚強化】【魔力超操作】が発動した痕跡が無いのです」
流石神様、俺が変に感じていたスキル達を当ててきた。
「どうやったら発動するの?」
「【魔力超操作】は魔法を発動すれば勝手に発動するのです。後のスキルは、スイッチをオンにする感じで意識すれば、発動できるのですよ」
懇切丁寧に教えてくれた。
疑ってごめん。
心の中で謝っておく。
早速、言われた通り、スイッチをオンにする感じに意識してみる。
すると、嗅覚が敏感になり、周りの時間が少し遅く感じる様になる。
身体も、少し軽くなった気がする。
「おお、さっき言ったスキルは、全て発動してるのです」
どうやら、無事発動してくれた様だ。
「パッシブってずっと発動してるもんじゃ無いの?」
確か、【検索】した時、常に発動しているスキルって言ってたはず、
「何個か、発動し続けると、生活に支障をきたす恐れがあるスキルもあるのです。
例えば、【嗅覚強化】もニオイのキツイ所で発動するのは辛いですよね? だからそういうスキルはオンオフができる様にしてあるのですよ」
凄く丁寧な説明。
実はレイアは賢いのでは無いか? と思えてきた。
「なるほどね、ちなみにスキル発動を切る時は、スイッチをオフにするイメージ?」
「はい! その通りなのです!」
やった、当たってた。
早速試してみる。
すると、感覚が元に戻っていった。
「分かりやすい説明、ありがとな」
疑問解消に大いに貢献してくれたレイアにお礼を言っておく。
「こんなのお安い御用なのです! お礼も言えたし、私はもう行くのです!」
そう言って、レイアは帰っていった。
どうやら、お礼を言いに来たらしい。
さて、【身体能力大強化】で、どこまで強くなれるのか試してみるか。
早速発動して、ステータスを見てみる。
––––––––––––––––––––––––––––––
Lv:74
HP:7499〔+150〕
SP:7499〔+150〕
ATK:749〔+15〕
MATK:749〔+15〕
DF:749〔+15〕
MDF:749〔+15〕
––––––––––––––––––––––––––––––
全体的に地味に上がってる。
大体2%くらい上がってる感じかな?
微妙……
レベル10まで持って行って、やっと10%か……。
まぁ、無いよりマシだな。
ずっと発動してスキルのレベルを上げるよう。
次は【速度強化】だ!
早速発動してみる。
少しだけ、本当に少しだけ周りの動きが遅くなった気がする。
調べてみたが、このスキルは進化すると【高速移動】と言う、移動系スキルになるらしい。
育てるしか無い!!
これも常時発動で。
さて、魔法も試してみるか!
【風魔法】は危険なので【土魔法】を使う事にする。
………
……
…
特筆する事は無かった。
正直言ってショボい。
まぁ、レベル2だしね?
土を固めてできた何かを飛ばす事と、あまり丈夫では無いつちの壁を作る事が出来た。
あと、気になるスキルは【探知】だな。
【感知】の上位互換で、視界以外の物の動きもわかるらしい。
これもPSだし、スイッチを入れる感じで発動する。
頭の中に、今いる地形、そして、そこに居る魔物の情報が流れてくる。
地図の上を動き回る点、なんかFPSのマップみたいだな。
まぁ、育てて損は無いし、常時発動の方向で。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
決闘2日前、
本日も岩集めです。
【速度強化】と【暗躍】、【探知】、【空中移動】を駆使して、散策中です。
突然の敵襲に備えて、前みたいにSPを使い切るのをやめた。
2/3位は残す様に心がけている。
岩を上空から落とす攻撃、通称隕石も、使い慣れる為に撃つ練習をしたいのだが、相手に手の内を知られない為に、自重している。
隕石とか、安直過ぎる気がしなくも無いが、シンプルイズベストの精神で頑張っていきたい所存。
【探知】を使う様になってから気付いたのだが、この森、結構たくさんの生物がいるんだな。
森狼の遭遇率がやたら多くて、もうこの森には狼しかいないんじゃね? 何て思い始めていたが、そんな事は無かった。
あ、岩見つけた。
早速そこに向かう途中で、
『あー! やっと見つけた!』
突然【念話】が飛んできた。
何これデジャヴ??
まぁ、案の定
『そこの合成魔! 少し話があるからこっち来て!』
名指しでの呼出です。
またかーー
………
……
…
良い加減、同じ手口で呼ばれるとか、芸が無さ過ぎると思うんだ。
『ちょっとあんたに話したい事があるのよ…………って何で若干不機嫌なの?』
不貞腐れた態度の俺を見て、そんな事を言ってきた。
勿論、森狼が。
『良い加減、森狼に呼び止められるのは飽きてきた。つか、お前ら以外の登場キャラいないのかよ!?』
溜まってた鬱憤を、その森狼にぶつけた。
『突然、意味分かんない事で怒らないでよ!』
そう思うのも当然だろう。
だが、良い加減我慢できなかった事だけはわかって欲しい。
『それで、話って?』
頭を切り替えて、本題に入る。
『ちょっと、突然冷静にならないでよ……、まぁ、良いけど。
頼みなんだけど、貴方には逃げて欲しいの!』
そんな事を言い出した。
【身体能力大強化】はステータス全てを強化するスキルに変更しました。