43話 嫌な朝がやってきた
おはようございます。合成魔です。
なんと言いますか……、超憂鬱です。
朝がやってきてしまいましたよ。
つまり、約束の場所に向かわなければいけない。
ただでさえ、朝はテンション低いのに、呼び出しくらってるとか……テンションメーターなんてあったなら、マイナス振り切ってるだろうな。
なんて、現実逃避をしても、時間は経っていくのだ。
よし! ウダウダ言ってても仕方が無いし、一番大きい沼とやらに向かいますか。
一応ステータスを見ておく
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Lv:47
HP:4799
SP:4799
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満タンだし、逃げる事くらいは出来るだろう。
約束の場所を目指して飛び立った。
………
……
…
沼の近くに降り立ち、壁走者に変身して中を覗く。
うわぁ、居た。
なんかでっかい森狼が居た。
あれが恐らく、フォレストウルフ・キングだな。
一応【鑑定】しておこう。
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名前:ゲイル
種族:フォレストウルフ・キング
危険度:D
ステータス
Lv:83
HP:3604
SP:621
ATK:1520
MATK:632
DF:793
MDF:500
PS:身体強化Lv.7、自動回復Lv.5、
減音Lv.7、魔力操作Lv.4、同族意思疎通、念話Lv.4
AS:クイックLv.6、嚙みつきLv.7、風魔法Lv.3
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うっわ、強っ
関わりたく無い。ひっじょうに関わりたく無いが、逃げても仕方が無い!
渋々、嫌々、誠に不本意ながら、森狼の方に向かう。
すぐにこちらに気付き、睨んでくる。
『お前が合成魔か?』
うわ、話しかけて来た。
『あー、うんそうだけど?』
何も返さないのも失礼なので、一応返事をしておく。
『先日は、ノウがお世話になったそうだな? そのお礼をしなくちゃいけないと思ってな』
うわー、やっぱり根に持ってる。
つか、あんたの言うお礼って意味違うだろ!
まぁ、初対面の、しかも敵意丸出しの相手に突っ込む訳にもいかないので我慢する。
『お前に決闘を申し込む!』
この狼、いきなり本題に入りやがった。
『拒否権は?』
『あるわけ無いだろ?』
『逃げたら?』
『逃げてもいいが、俺たちフォレストウルフは、森なら何処にでもいる。
そのフォレストウルフ全ての群にお前の事を指名手配する。
後はどうなるかわかるな?』
つまり、何処にいても見つかるって事か。
恐らく嘘だろう。
確かにこいつは強いが、とても各地域の森狼に影響力があるとは思えない。
しかし、嘘だと言い切るには材料が足りない。
もしかしたら、親が凄い魔物かも知れないしな。
相手の話に合わせておくか。
『なるほど、逃がす気は無いと』
『そうなるな、ただ、いきなり決闘となると、お前も準備ができていないだろうしな。3日間猶予をやろう。
その間に、作戦を練るなり、レベルを上げるなり、逃げるなり、すると良い』
そう言い残して、森狼の王は去って行った。
意外とあっさり済んだな。
会った瞬間バトルスタートの覚悟できたから気が抜けた。
いや? 別に戦いたい訳じゃ無いんだ。
まぁ、3日後には嫌でも戦わなくちゃいけないんだけどね。
憂鬱だ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
決闘3日前
このまま、何も策なしに挑むのは無謀だろう。
戦力増強が必要不可欠だ。
そこで、少し試したい事があり、上空に来ています。
試したい事、とは『迷彩烏状態で剣を持って戦う』だ。
初めは上空で待機し、【超光学迷彩】を使いつつ急降下、相手の背後から高速で斬り捨てると言うもの。
名付けて、《燕返し》!
早速、収納空間から鉄剣を取り出し、持とうとしたら、
「あ、やべっ!」
手が滑って落ちていった。
鳥だから足が滑った、かな?
急降下し、まっすぐ落ちていったであろう鉄剣を回収しに行く。
地面にたどり着いた時、驚くべき事が起こった。
「すげー、地面に刺さってる」
そう、落ちて行った鉄剣は、地面に突き刺さり、直立していたのだ。
下級兵士に変身し、刺さっている剣を抜こうとするが、
「全然抜けないじゃん!! どんだけしっかり刺さったんだよ!!」
いや待てよ? 落としただけでこれだけの衝撃……使えるかもしれん!
これは試してみる価値ありだな。
まぁ、その前に、この剣抜かないとな……。
力を入れるが全く抜ける気がしない。
あ、一回収納空間に入れれば良いじゃないか!!
剣を取り出して、さっき思い付いた『上から物を落として攻撃する』を試す。
まずは上空に飛び上がり、下を見る。
なんか狙う物がないと命中率とか分からないな……。
空を飛び回り、的を探す。
あ、森毒蛇発見。
狙いを絞り、…………ただ落とすだけだとダメージがあまり無いかもしれない。
【射出】を使おう。
改めて、狙いを定めて、発射!
鉄剣は、ヒュッと音を立てて落ちていき、森毒蛇に突き刺さった。
【フォレスト・ポイズンスネークを倒しました】
【経験値を獲得しました】
おっと? これ、普通に銃より強くね?
いろいろ狙い撃ちしてみるか!
早速、的を探し始めた。
………
……
…
どうやら、この攻撃方法、かなり強力だ。
試しにその辺を飛んでる、蝶みたいな魔物とか鳥型の魔物、
その辺を走っていた、角が完全に何かを突き殺せる形をした鹿型の魔物にも試してみたが、全て命中し、
森狼より大分HPの高い、巨大な猪型の魔物にも試してみたが、頭を狙えばほぼ一撃で葬れる。
あ、僧兵鹿からは【感知Lv.2】【速度強化Lv.3】【刺突Lv.2】【クイックLv.3】
大猪からは【嗅覚強化Lv.3】【突進Lv.4】【クイックLv.2】
が手に入った。
【クイック】持ち多いな。
そして、
それは置いといて、話を戻すが、
この攻撃方法は良い所ばかりでは無い。
《弱点その1》
一回一回、地面に降りて剣を取りに行かなくては行けない。
《弱点その2》
剣を持って飛ぶのが大変。
《弱点その3》
一撃で倒せないと普通の戦闘が開始する。
その1を解決する方法としては、撃ち出す弾をその辺にあるものにする。
もしくは、収納空間の物ではなく、【吸収】した物に変身して、それを撃ち出す。
ただ、その方法だとぐんぐんHPが減る。
その2の解決策は考え中。
その3の解決策としては、弾を剣みたいな細い物ではなく、ある程度の大きさがあり、直撃しなくても、少し当たるだけでダメージが出せるもの……簡単に言えば、大きくて重い物を使えば良い。
という事で、岩場にやって参りました。
その辺に落ちてて、デカくて重い物、
岩しか無いよねー。
ただ、持って行くのは無理そうなので、【吸収】して、上空で体一部を変身させて【射出】を使い落としてみた。
ドンッと鈍い音がして岩が地面を凹ませた。
破壊力は充分だな。
後は、HPだが…………
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Lv:47
HP:2090 / 4799
SP:4799
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うわ、半分以上持って行かれた。
2回撃てない事が判明した。