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39話 話し合いって素晴らしい

珍しく、賢い合成魔さんです

傍にいる森狼たちが落ち着いてから、会話を再開する。


『とりあえず、交代に質問していく方式にしましょう』


『わかりました。ではお先にどうぞ』


女王は快く了承してくれた。


『では、お言葉に甘えて、何故俺を追いかけてきたのですか?』


一番の疑問、


俺が行方不明になった森狼と同じ姿形をしていたから追いかけてきたのかも知れない。


しかし、それでは不審な点がある。

追いかけている時の様子が、完全に獲物を見つけたそれだったのだ。


とても、仲間の安否を心配して追いかけて来たようには見えなかった。


それに、【鑑定】持ちならステータスを見れば一目瞭然だ。


『それは簡単な話です。貴方が、行方不明になっている私達の群れの仲間と同じ姿形をしていたからです』


女王はそう答えて来た。


嘘だろうな。


嘘を吐くとかルール違反じゃ無いか? とも思ったが、

そう言えば『嘘は吐いちゃいけない』とは言って居なかったし、何も問題ないな。


『では、次はこちらの番ですね? 先ほども言いましたが、貴方は、行方不明になっている私達の群れにいた森狼と瓜二つの姿でいた。それは一体どういう理由で?』


女王が、そう質問してくる。


勿論、先に嘘をついたのは向こうなのだ。

本当の事を言ってやる義理はない。


『そうなのか? まぁ偶々だろ?』


しらばっくれる。


『本当にそうなのですか? 貴方が私の仲間を取り込んで、化けているのでは無いですか? 伝説の化け物(キメラ)さん?』


森狼の女王が見透かした様に言ってきた。


こいつは人の文化に精通しているのか?

銃が1発ずつしか撃てない事を知っていたり、合成魔キメラが伝説に出てくる化け物だと知っていたし。


変に有名だと特性もバレてるのか。

誰だよ合成魔キメラの事言い広めたやつ、しかもかなりオーバーなスペックで。


と言うか、やはり【鑑定】使われてたか。

どこまでバレてるか気になるな。


でも、確か王都にいたカミルって人の持つ【鑑定】はレベル6だったが、スキル見破られてなかった。


それに対して、女王の【鑑定】はレベル5、スキルさえバレなければ良いか。


考えるのは一旦保留にして女王に目を向ける。


『二回連続の質問はルール違反じゃないか?

次は俺の番のはず』


やれやれと挑発するように答える。



無言の睨み合いが続いた。


きっと周りからは火花とか散ってる様に見えたかもしれない。


その無言の戦いを先に止めたのは、森狼の女王だった。


『ふふふ、これでは埒があきませんね』


向こうも、こっちが嘘を吐いている事に気が付いているらしく、そんな事を言ってきた。


『先に始めたのはそっちだぞ?』


『申し訳ありません。こっちの罠に引っかかって、ベラベラと本当の事を話してくれる事を期待していたのですけどね』


女王の態度は、全く謝罪しているとは思えない。

謝罪どころか、完全に挑発してきている。


まぁ、そんな安い挑発には乗らない。


『悪いね、期待に応えられなくて。

つか、お前らの中で俺はどんだけ馬鹿にされてるんだよ?』


冷静に答える。


『心当たりはありませんか? 私達森狼を狙っている様でしたが、何度か失敗していましたよね? その話を聞いて、どうしたら貴方が賢いと思えるんですかね?』


どうやら、しっかり報告されていた様だ。


『あれは、謝らないといけない。森狼(あんたら)をただの犬っころだと思って舐め過ぎていた。

認めてやるよ、君たちは意外と頭が回るワンちゃんだ』


敢えて、上から目線で挑発する様に対応する。


『ふふふふふ、初めは、我々に恐れをなして、見かけただけで逃げていた、真似しか出来ない合成魔パチモン風情が、口だけは達者ですね』


『ははは、人の獲物を掠め取るしか脳が無い森狼ハイエナがよく言う。

それに、ついさっき真正面から突っ込んできて、その合成魔パチモンごときに前足撃ち抜かれたのはどこの誰だっけ?』


『ふふふふふ』

『ははははは』


周りの森狼達は、2人の会話は聞こえていない筈なのに、お互いの笑顔の下にある悪意を感じ取り、怯えていた。


当の本人たちは気が付いていないが……。


『で? この意味の無い言い合いは、いつまで続ける気なんだ?』


こんな事続けていても仕方が無いので話を戻す。


『そうですね、それでは話を戻してルールの追加をしようと思います』


『と言うと?』


『これからは、お互いの質問に答える時は嘘を言うのは禁止です』


『わかった。まずは俺から答えておく。あんたの推理通り、あの森狼を【吸収】して化けていた』


先に本当の事を言って、ルールを守る意思があると伝える。


そうしないと、また意味のない騙し合いが始まる気がしたからだ。


『なるほど、嘘は吐いていなさそうですね。

ではこちらも、貴方に会いに来たのは、貴方の危険度を探る為です』


女王の様子を見る感じ、嘘はついていなさそうだった。


『これで、互いの嘘は清算できたかな?

それじゃあ、順番的に俺から質問だな。なんで俺の危険度を探る必要がある?』


女王は、俺を倒しに来たわけじゃなく、危険度を探りに来たと言う。

その行動の意味が全くわからなかった。


『それは、我々の主人が貴方に決闘を挑みたいと御考えだからです』


決闘か……群のリーダーが俺に……、殺された仲間の復讐みたいな物かな。


『なるほどね、それじゃ、そちらもどうぞ?』


一応納得したので、続ける様促した。


『それでは、貴方は本当に、あの伝説に出てくる合成魔なのですか?』


『名前は一緒だけど、俺に世界を飲み込むなんて大層な事は出来ない』


伝説に語り継がれる合成魔は街を飲み込むだの世界を飲み込むだの、おっかない事この上無い。


俺自身、そんな事が出来るとは思えないからそう答えておいた。


『次は俺の番だな。何であんたらはマッドワームを狙っていたんだ?』


あれだけ執拗に横取りしに来たのだ、少し理由が気になった。


『マッドワームは栄養価も高く、身体も大きいので食料として最適なのですよ』


なるほど、芋虫は栄養があるって聞いたことあるもんな。

納得である。


『せっかくなので、こちらからも、何故貴方はマッドワームを狩っていたのですか?』


まぁ、その質問が来るのは当然だろうな。

さて、どう答えよう……


『それは…………、』

スキルも【吸収】出来る、なんて教えるべきでは無い……が、こちらも聞きたい事が沢山ある。


下手に嘘をついて、また騙し合いが始まったら無駄な時間を過ごす事になる。


正直に答えるしかないか……、


『俺は【吸収】した者の姿形、スキルも奪い取れるんだよ』


『何か間がありましたけど……、嘘は吐いている感じはしませんね。

信用しましょう』


どうやら、信じてくれた様だ。




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