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37話 期待外れのスキルって多いよね


まっずいなー。

まさか、沼の選択をミスっていたとは……。


迷彩烏に変身し逃亡した後、手頃な木に留まりさっきの事を振り返る。


詰めが甘かった。その一言に尽きる。


「つか、仲間呼ぶとか卑怯だろ!

この卑怯者ー!」


叫んでみるとちょっとスッキリした。


森狼達、次は100%警戒してくるだろうな。


あんな堂々と戦闘を行ってしまったのだ。

警戒するなって方が無理である。


正直諦めた方が良い気がしてきたよねー。


警戒されているとなると楽に倒せる確率は減る。


でも、森狼のスキル、欲しいんだよな。

自分の『今の安全』を取るか『今後の安全』を取るか……。



よし! 間をとって、 あと一回だけやろう! それで失敗したらスッパリ諦めよう。


諦めが良いのか悪いのか、わからない結論に至った。


取り敢えず、今日は休もう……、HPもMPも減ってるからな。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



おはようございます。


前回の反省会です。


前回は時間をかけ過ぎたのと、沼の選択を誤っていた。


そこは俺の失態だ。


しかし! 一番の原因は相手が援軍を呼んだ事にある。


うん、俺悪くない!!


森狼が近くの沼にいる仲間を呼んだから、俺が撤退せざるを得なくなったのだ!


じゃあどうすれば良い? そんなの簡単だ、援軍がすぐ来れない沼を選べば良い!


お前がさっさと決着を付けていれば、援軍も呼ばれなかったのだから、すべて自分の失態だろ! なんて言う人は、きっといない。


空を飛び、比較的、周りから孤立している沼を選ぶ。


最後のチャンスだし、失敗するわけにはいかない。


自分で勝手に「これで最後」って決めただけだけど、何となく守らなくちゃいけない使命感に駆られている自分がいる。


別に続けても良いんだよ? でも、このまま手に入るまでダラダラと続けると、どんどん警戒されるようになって、ガンガン自分の身を危険に晒す事になる。


おお、擬音3つも入ってた。

そんな事はどうでもいい。


とにかく、ここらが潮時と言う意味を兼ねてって事でラストにした訳でございますよ。



………

……



森狼達の行動を眺めれる様、沼の近くの木の上で待機する。


あ、今回は見送る事にしました。


同じ様な作戦ばかりしていたので、相手にも勘付かれているかも知れない。


『もう少し、森狼の生態を知りましょう』って事で、今回は観察に徹する事にします。


あ、来た。


日が登る方、東の方から来てるな。

そっちの方に住処があるのだろう。


今は午前8時くらいかな?


そこそこ早い出勤のご様子。



よーし、森狼達の観察と行きますか。


………

…… 『3時間くらい経過』



森狼の観察は、ビックリするほど暇だった。


だってあいつら、沼の周りをぐるぐる回るだけなんだもん!!


今も1匹が沼を見張り、あとの2匹が森の中を巡回中である。


ちなみに、俺は沼を見張ってるやつを観察中です。


あいつ、ずっと沼をボーッと眺めてるだけなんだよなー。


あーあー、あいつ欠伸しちゃってるよ。


油断しちゃって……。


…………あれ? 今奇襲をかけたら勝てるんじゃね? 完全に油断してるし、


大体、前回時間がかかったのも3匹も相手にしたからだしな。


1匹なら、ささっと倒してささっと【吸収】できる……はず、


よし、【超光学迷彩】発動!!


後ろに回り込んで……、銃の引き金を引いた。


「キャウッ!」


森狼の後ろ足から血が出てくる。


こちらを振り返り威嚇してくる。

その身体は薄く緑色に光っていた。


「魔法なんて使わせねーよ!」


眉間めがけて引き金を引く。


ズドンッ!


っと言う音と共に、森狼が息絶えた。



「…………え? これで終わり?」


今まで何日も何日もかかっていた『森狼狩り』が、『ちょっと、やって見るかー』みたいなノリで終わってしまった。


何だろ、この虚しさ……。



【フォレストウルフを倒しました】


【経験値を獲得しました】


【Lv.36になりました】


【レベルアップボーナスで全回復しました】


予想外のあっさりした終わりを伝える様に、頭の中にレベルアップを伝える文字が流れてきた。


「マジかーー」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



––––––––––––––––––––––––––––––

名前:霧島 日影 (ムトウ ヒカゲ)

種族:合成魔

年齢:17


ステータス

Lv:47

HP:4799

SP:4799

ATK:0 (479)

MATK:479

DF:0 (479)

MDF:479


PS:鑑定Lv.10、検索

物理攻撃無効、異常状態無効、

万物吸収、不死身、収納Lv.10、

対魔力攻撃、水創造、

回復魔法強化Lv.3、空中移動Lv.3、

命中Lv.9、隠密Lv.8、

穴堀Lv.5、魔力操作Lv.2、

(new)

身体強化Lv.2、自動回復Lv.1、同族意思疎通


AS:ヒールLv.3、浮上Lv.1、超光学迷彩Lv.4、

猛毒Lv.8、嚙みつきLv.8、射出Lv.7、

土魔法Lv.2

(new)クイックLv.4、風魔法Lv.2

––––––––––––––––––––––––––––––


レベル47の森狼を【吸収】したので、すごい勢いでステータスが上がった。


相変わらずのHP、SPの高さである。


つか、スキル多過ぎる……、まだ序盤なのに、もうすでに見辛い。


取り敢えず、気になるのは【同族意思疎通】だ。


森狼を探して、試してみよう。


………

……


早速、森狼に変身して森の中を歩き回る。


おっ、森狼発見!

恐らく森に見回りに行っていた、2匹のうちの1匹だろう。


早速話しかける。


『おーい! 調子はどうだい? そう言えばもう1匹はどこに行ったの?』


「ガウッ?」


首を傾げる森狼。


どうやら通じて無いらしい。


いきなり長文すぎたのかな? いや、でも何か返事してくれてもいいじゃないか?


「ガウッガウッ!」


いや、これは返事してくれているのか?

さっぱり意味わからん……。


もしかして、『こいつは【同族意思疎通】を持っていないのか?』と思い【鑑定】して見たが、


ステータスの中には【同族意思疎通】の文字がちゃんとあった。


何で話せないんだろう……


森狼も、話す事が出来ない俺を不審に思ってきたのか、態度に疑いの色が見え始めた。


【同族意思疎通】使えないじゃん!!


……同族?…………。


もしかして、種族が違うから通じないとか?


なるほど、そう考えると辻褄が合う。


「グルルルル……」


遂に威嚇してきた。


同族限定って事は、俺は合成魔としか会話できないのか……使えねぇぇええ!


もうここにいても仕方がないし、森狼が襲ってくる前に全力で逃げた。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




『それで、居なくなったのはその1匹だけなのですか?』


ノウは報告に来た者に尋ねる。


『はい! 同じ班の者に聞いた話によると「沼の見張りをしていた者が、突然近寄ってきたのでスキルで話しかけたが話が通じず、不審に思っていたら走り去って行った」そうです。』


森狼同士はスキルによって意思疎通ができる。

それが通じないとなると、森狼の姿をした何かがいた、と考えるしかない。


『他に、不審な点は有りませんでしたか?』


『沼の見張りの者がおかしくなる少し前、森に破裂音が鳴り響いていた。

そして、沼の近くには血痕があったそうです』


この森で、何かに姿を変えられる……そのキーワードに当てはまる魔物は1匹しか考えられなかった。

それに付け加え、例の破裂音が聞こえたと言う。それはもう確定したも同然であった。


『わかりました。報告ご苦労様でした』


報告に来た者に労いの言葉をかけつつ、退出する様促した。


『失礼します』


そう言って報告者は去って行った。


『ついに《マッドワームキラー》の犠牲者が出てしまったか……』


ゲイルが口を開いた。

ゲイルも行方不明になった原因は《マッドワームキラー》だと確信している様だった。


『はい、その様ですね』


『これ以上の犠牲者を出すわけには行かん!』


ゲイルの言葉には「自分がすぐに行っていれば犠牲者が出る事はなかった」という意味が含まれている様だった。


『わかっております、明日の朝には精鋭を3匹連れて、《マッドワームキラー》の正体を確かめて来ようと思います』


『うむ、早急にな』


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