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3話 収穫報告、そして追われる身に

これと言った収穫物はなかった。


自分を【鑑定】してみる。


––––––––––––––––––––––––––––––

吸収物:

書物〔世界の記憶〕、鑑定石Lv.10、

斬魔の聖剣、水神の聖杯、

癒しの指輪、アイテムボックスLv.10

金、銀、銅、宝石

––––––––––––––––––––––––––––––


この世界の4大国家の中でも最古から存在すると言われる、伝統と礼儀の王国『ラディス』。


その王城の宝物庫なのだから、もう少し色々あると思ったが、全然なかった。


特に、武器系は少なかった。


金や宝石などを使った家具や置物など、何のスキルも持って無い宝は沢山あったが、特に必要と感じなかったので【吸収】しなかった。


布の袋かと思ったら、アイテムボックスという名の、異次元空間に物をしまう【収納】と言うスキルを持つ袋だったのには驚いた。


【鑑定】のスキルがなかったら、絶対にスルーしてただろう。


アイテムボックス(・・・)なのに袋なのかよ! と突っ込む人は誰も居ない。



『斬魔の聖剣』は、『魔力を直接攻撃できる』と言う効果があるらしい。


一見強そうな武器だが、非常に脆く物理戦には向かない上に、魔力への直接攻撃が出来る【対魔力攻撃】と言うスキルも、実体がない魔物には有効なのだが、そもそも、実体がない魔物は少なく、凡庸性が低いため倉庫に入り浸っている。


何でこんな残念な武器を作ったんだ。



『水神の聖杯』はいくらでも水が出てくると言う便利アイテムだが、無駄にでかいし持ちにくい。

その上、水魔法で事足りるので使えない子らしい。


ドンマイ



『癒しの指輪』は、装備すると回復魔法【ヒール】と回復魔法の補助スキル【回復魔法強化】が使えるようになるのだが、両方ともスキルレベルが2で固定なので実用性がない。


そして、同系統の『聖母の微笑み』と言うネックレス型の装備の方が、遥かに効果が高いので要らない子。


可哀想に……。



まぁ、その道具たちが倉庫の肥やしになっていてくれたお陰でスキルが増えた。


マジ感謝。


––––––––––––––––––––––––––––––

PS:鑑定Lv.10、検索、

物理攻撃無効、異常状態無効、

万物吸収、不死身、

(new)収納Lv.10、対魔力攻撃、

水創造、回復魔法強化Lv.2


AS:(new)ヒールLv.2

––––––––––––––––––––––––––––––


まぁ、回復魔法を覚えただけでも良かったと思おう。

何気に初ASである。


取り敢えず、新たに手に入ったスキルを【検索】しておくか。


画期的な使い道が、見えてくるかも知れないし……。


【検索検索】!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《収納》

次元魔法の一つ。

異次元空間に物を入れておくことが出来る。

このスキルは攻撃手段としては適さない。

レベルによってしまえる物の量が増える。

生き物をしまうことはできない。

スキルレベルは最大Lv.10。



《対魔力攻撃》

魔力体に直接干渉できる攻撃スキル。

幽霊型の魔物や、実体がない悪魔などに有効。

魔法にも攻撃を当てることができる。



《水創造》

水神の力である、水を作り出すスキル。

SPの消費は無い。作り出せる水の上限も無い。

だが、文字通り水を作り出すだけなので攻撃手段としては適さない。



《回復魔法強化》

名前の通りです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



スキルだけ見れば、案外ハズレでも無さそうだ。

使い方次第ではかなり強いと思う。


………

……


フワフワと空中移動をしていたが、慣れないことをしたせいか凄い疲れた。


鑑定石の置いてあった台座に、倒れて?くつろいでいると、


ガチャ


と扉の開く音がして、


豪華な服装を着た小太りのおっさんと、甲冑を着た、騎士みたいな人が入ってきた。


とっさに物陰に隠れる。


さっき鏡で見たのだが、実体が無いと言っても黒い霧みたいなのが肉眼で見えてしまう。


物陰から様子を覗いてみる。


あ、あの二人……さっき箱の中覗いてた人達じゃん。


はい、関わら無いのが吉。


物陰を伝って、扉から逃げようとすると、


「陛下! 例の書物が無くなっています!!」

騎士が金持ちそうなおっさんに報告する。


陛下って呼ばれてるし王様だろうか?


そう言えば、さっきの本の中に、この世界の言語である『アヴァリアル語』も載っていたからだろうか、何を言ってるのか理解できた。


「どういうことだ!アドルフ!!」


その報告を聞くや否や、王様っぽいおっさんが激怒する。


と言うか、例の書物って……、


ステータスにあった

––––––––––––––––––––––––––––––

吸収物:書物〔世界の記憶〕

––––––––––––––––––––––––––––––


……あれかー。


二人が血眼になってさっきの箱の周りを捜索する。


なんでそんなに必死に探しているんだ? あれってもしかして貴重な物……?



ー《書物〔世界の記憶〕》ーーーーーーーーーーーー

世界の創生から、今までの出来事や知識などが全て書き込まれている、世界に一つしか無い神具。

自分が欲しがっている知識を察知し表示する【検索】と言う魔法がかけられている。

組み込まれた魔法により、今もなお更新を続けている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



あー、やってしまった。

ただの少し便利な辞書くらいの感覚だったが、そんなすごい道具だったのか。


まあ、そんな貴重な物失くしたら必死に探すよね。


めっちゃ申し訳。

でも返す方法も無いし……、見て見ぬ振りだな。


「殿下!!! 大変です!!!

鑑定石や他の宝具たちも無くなっています!!!」


そう叫ぶアドルフと呼ばれた男の顔は、蒼白になって震えていた。


「なんだと!?盗賊でも入ったのか!?」


「そんなはずはありません! この部屋に窓はありませんし! 扉には鍵がかけられています! 開錠のスキル対策も万全です! それに、鍵を開けられた形跡もありません!

一体どうやって…」


アドルフは、顎に手を立てて考え込む。


「そんなことはどうでも良い!

とにかく、宝具たちを盗んだ不届き者を捉えるのが先だ!

城内の全兵に伝えよ!! 怪しい物は捕獲せよ!!

抵抗するなら武器の使用も許可する!!」


流石、上に立つ者なだけある。

頭を切り替え、素早く的確に指示を出す。


的確かどうかはわからないけど……、


そんなこと置いといて、俺結構ヤバい?

本当に早く逃げないと……


そう思い、扉に近付こうとするが、


「何事ですか!?」


そう言いながら、4人の騎士が入ってきた。


チッ、タイミングが悪い…


「宝物庫内の宝がいくつか盗まれた。まだ、そんなに時間も経っていないだろう。

3人は残って、宝物庫内の捜索に当たれ。1人は殿下と私について来い!」


アドルフは、入ってきた騎士に命令を下す。


「了解しました!」


その言葉を聞き、騎士3人を置いて立ち去っていった。


扉もしっかり閉めて……

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