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20話 絵に描いたようなゲスい奴



「くそっ! たかが兵士ごときが貴族である僕に命令なんて………それに、何でこの僕が兵士の真似事をしなくちゃいけないんだ」


新人っぽい兵士が愚痴を言う。


こいつ貴族だったのか…。


「大体なんで僕が罰を受けなければならないんだ!

僕はなんの生産性も無い森にある孤児院の子供(ゴミ)を的にしただけじゃないか」


おおっと? こいつ最低だ!

近年稀に見るゲス発言ですよ。


ゲス野郎は案外近くにいたようだね。


「これからは弓ではなく銃の時代なんだよ!命中スキルがあれば誰でも使える素晴らしい装備だろ!

そして命中スキルは動いてる物を撃った方が上がりやすいんだよ!」


おお、先見の明があるな此奴。

性格はどうかしてるけど…。


「なんの役にも立たない物を有効活用して何が悪いんだ!! パパもしっかり罪をもみ消してくれれば良いのに! クソッ使えない」


初めは面白がって聞いていたけど、胸糞悪くなって来たな。こいつなら殺っちゃっても良いんじゃない? いいよね?


恐らく、こいつがレベルは低いのに【命中】のスキルレベルだけ高い理由は、自分よりも遥かにレベルが低い弱者を倒していたからだろう。


「はぁ、動いてる物を撃ちたい。

1ヶ月の兵役とか何の拷問だよ!!」


は? 1ヶ月働くだけで許されるの?

人を、しかも子供を銃の的にして殺しておいて?

はは、【命中】スキルは手に入れたも同然だな(意味深)


下手に攻撃して逃げられるわけには行かない。

やるなら一撃必殺だろう。


こいつを一撃で倒す方法……、

上で大砲になって圧殺か?


上に上がるためには霧になる必要があるから却下だな。こんな高くて風が強いところで霧になったら即死だ。


…そうすると、銃で撃つのが一番かな?


さっきから銃を確認している時、銃口を覗いているからな。

そこを使おう。


銃に変身し、【検索】で調べて装填状態にする。


そしてワザと倒れて自分の存在を主張した。


ガチャッ


「何の音だ?」


貴族のボンボンは何の警戒もなく近寄って来て俺を持ち上げた。


「あ、そう言えば銃が一つ足りてなかったな。こんな所にあったのか…。

あれ?装填済み……」


突然左右をキョロキョロ見始めた。


何に警戒してしてるな、どうしたんだこいつ?

早く点検しようよ。


誰もいないことを確認すると俺を構えた。


あ、察し


そして暗闇向けて引き金を引いた……、だが、弾は出ることは無かった。


全力で抵抗したので出るわけが無い。


「あれ? 壊れてるのか?」


弾が発射されな事に疑問を持ったのか、首を傾げながら銃口を覗いてきた。


今だ! 脳漿ぶちまけてやる!


その後のことは何も語るまい。

取り敢えず、初殺人だったとだけ言っておこう。


自分が愛した銃によって天に召されるのだ、

こいつも本望だろう。

まぁ、天国地獄とかあるなら、こいつは120%地獄行きだけどな。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



ゲス貴族を包むように、下級兵装に変身し吸収した。


【下級兵士を吸収しますか?】


あいつ、下級兵士って表記されるのかw


【吸収によりレベルが共有されました】


【Lv.26になりました】


【命中Lv.6を手に入れました】


【ウォールウォーカーのレベルが上限に達しました】


【ウォールランナーに進化しました】


【立体移動がLv.7になりました】


【隠密Lv.1を手に入れました】



––––––––––––––––––––––––––––––

ステータス

Lv:26

HP:2699

SP:2699

AT:0 (269)

MAT:269

DF:0 (269)

MDF:269

PS:鑑定、検索、

物理攻撃無効、異常状態無効、

万物吸収、不死身、収納Lv.10、

対魔力攻撃、水創造、

回復魔法強化Lv.2立体移動Lv.7、

(new) 命中Lv.6、隠密Lv.1


吸収物:

〈装備〉(new)マスケット銃〔装填済み〕

〈生物〉(new)下級兵士

––––––––––––––––––––––––––––––


突然ステータスの伸びが良くなったな。


1アップでHPMPは100ずつ、その他は10ずつ上がるようになったと思う。


あと、【吸収】した魔物は、レベルが上限に達すると進化するらしい。


そして進化するとスキルが手に入る。

スキルを使うとスキルレベルが上がる。


こうやってスキルを集めるのか。


取り敢えず隠密で【検索】。



ー《隠密》ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【減音】や【潜伏】などの隠密系のスキルの総合スキル。

足音を小さくしたり、気配を消したり、

感知されにくくなる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


こういうのが欲しかった!

いやー良いスキルを手に入れたものだ。


さて、装填済みの銃とさっきのゲス野郎は吸収物の中に収まってるな。


ついでに大砲の装填済みのも吸収したいな。


貴族のボンボンに変身。


大砲の装填を【検索】さんに従ってやろうとした所で、


「おい新人、何をしてる? 点検は終わったのか?」


さっきの上司の兵士が現れた。


どうする、筆談するか?

でも、さっきまで話してたやつが突然筆談って完全に怪しまれるだろう。


それに、ギルドにいる時、俺が筆談で会話してるのは広まっているはずだ。


そう言えば、人間【吸収】したんだし会話できるんじゃないかな?


「点検は終わりました。

今は、いつ魔物が来てもすぐに大砲を準備出来るようにイメージトレーニングしていたところです」


適当にごまかす。


「な、お前偽物か?」


いきなりバレた!?


「何を仰ってるのですか?

どうしてそう思うのですか?」


取り敢えず、しらばっくれる。


「いや、あのクソ生意気なお前がいきなりトレーニングとか………、一体何があったのかと思って…」


バレた訳ではなく、突然キャラが変わって困惑したのだろう。

あいつ日頃の行いは悪そうだもんな。


「いやいや、自分は本物ですよ。

よくよく考えると、同じ人間を、特に未来ある子供を手にかけるなんて酷いことをしてしまったと思ってしまい……」


反省してる風に俯いて話す。


「おお、ついに反省してくれたか! 確かにお前がやったことは許される事では無い!

だが、『過去の過ちを悔やみ改善する事で人は前に進める』俺はそう思う」


良いこと言うなこの人。

でも、残念ながらこのゲス野郎は反省の色は全く見られませんでしたよ?

もう死んだけど。


「はい! これからは心を入れ替えてこの街の子供達の為に全力で戦うつもりです!」


適当にその場の雰囲気に合わせておく。


「その意気だ!共に頑張ろう!」


男同士の堅い握手をした。


「その為にも。俺に大砲の使い方を教えて下さい!」


「ああ! 勿論だ!」



レイアの言葉を思い出す。

「息をするように嘘を吐いている」

…本当だな。

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