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16話 知らぬが仏ってあるよね

サブタイトル変更しました。

変更前「女神の涙」


「勇者と言う単語を酒場で聞かなかったですか?」

女神様がそう尋ねてくる。


『聞いたけど? それと今の状況に何か関係が?』


確か、ギルドで盗み聞きしている時に聞いたはず。


「大いに関係があるのです。

この世界では異世界から勇者を召喚するのですよ!」


どっかで聞いた事があるフレーズである。

異世界から勇者を召喚……、

異世界から召喚された勇者……、

つまり、異世界から召喚された人が勇者?


おっと? 俺も異世界人じゃん! って事は…、


『まさか!? 俺が勇者となって世界を救うのか!?』


強いスキルや武器を手に入れて、敵を圧倒的(←ここ重要)に倒しつつ仲間(女性限定)を身を挺して守り、

恋愛なんかに発展しちゃったりしてハーレム形成しちゃったり?!

ヤバイ! オラ ワクワクしてきたぞ!


「バカなのですか?

今の貴方は魔物なのですよ?

退治される側なのです。」


即否定である。


希望が砕け散った。

勇者として呼ばれたのでなければ、なぜ俺が呼ばれたのか………。


いや、待てよ?


何故、『召喚』が人類だけの技術だと勘違いしているのだ。

この世界には亜人や魔人も居ると聞く、そいつらが召喚した可能性もあるだろう。


俺は魔物だから、魔人召喚説が有力だな。


魔人が召喚する者………、魔王? もしかして魔王なのか?!

巨大な城に居を構え、綺麗な魔人や、攫ってきた人間の美人を囲い、その圧倒的な力で独裁的な政治を行う、あの魔王?


よっしゃ! 先は明るい!

俺の魔王道は始まったばかりだぜ!


『なるほどなるほど、そういう事ですか。

で、女神様、魔王城と俺の臣下達は何処ですか?』


いやー、楽しみだ。

魔王城ってデカイのかな? 個人的には、スカイツリーは越えなくていいから、東京タワー越えはして欲しい。

こちとら、巨大建造物には見慣れてるからね?

魔人達よ、俺を驚かすのは容易では無いぞ?


「は? 何を言ってるのですか?」


マジで何言ってんのこいつ、みたいな反応をしてくる。


『え? 勇者じゃ無いなら、魔王として召喚されたんじゃ無いの?』


「違いますよ?」

即答である。


夢が完膚無きまでに砕かれた。


『マジかー、じゃあ、何で俺は異世界に?』


「巻き込まれただけなのです」


……………なんか、耳の調子が悪いらしい。

合成魔は耳無いしな、仕方が無い。

聞き直そう、情報は正確に共有しないとな。


『えっと……もう一回言って頂けますか?』


「巻き込まれただけなのです」


おっと? また聞き間違えたのか?


『その、もう一k「巻き込まれただけなのです」



『えっと、本当に巻き込まれただけなの?

勇者とか、魔王みたいな、使命があった訳ではなく?』


「はい!巻き込まれただけなのです。

期待に応えれず申し訳ないのです」


ニヤニヤしながら答えるチビ女神。


くっそ、子供相手なのに腹がたつ。


それもそうだ、こいつの発言にはいちいち悪意が篭っているのだ。


『でも、俺家に引き篭もってたんだぞ?

巻き込まれようがなくね?』


バスや教室ごと召喚なんかは聞いた事がある。

だが、自宅に引きこもっていた俺は巻き込まれる理由が無い。


「一箇所に集まっている者を一斉に送るわけではないのですよ。

そんな事したら、貴方みたいな使えない人が紛れ込んでしまうのです」


いやいや、俺巻き込まれてるから!

絶賛巻き込まれてるから!!


その表情を汲み取ってか、


「あ、巻き込まれてましたね

ドンマイ!」


親指を上に立てた拳を此方に突き出してくる。


いい笑顔だ。


『なるほど、色々なところから使えそうな人をピックアップして送るって事か…、

それだと巻き込まれる事自体おかしくね?』


送る対象は選ばれた1人。

ならば、他の人が巻き込まれるわけがない。


選ぶ人数を間違えなければ…。


「ふゅーふゅーふゅー」


『口笛、吹けてないからな?

で、何を誤魔化そうとしてる?』


「何の事なのですか?

訳がわからないのですよ」


冷や汗ダラダラで目が泳いでいるアホ女神。


『なぁ、召喚する勇者の選別担当の女神とか居るのか?』


一応分担とかあるのか聞いておく。


「いいい、居るんじゃないですかねー?

ままま、まぁ?わ、私は知りませんが?」


担当、十中八九お前だろ。


『ちなみに、勇者って何人くらい居るの?』


「7人ですよ?」


『なるほど7人なのに間違えて8人選んじゃったのか…

それで、一番使えない俺は外されたと』


「そうなりますね」


即答やめなさい! 心が折れるでしょうが!

と突っ込みたかったが止めておいた。


それにしても…


『じゃあ、担当の女神様は7も数えれないのかww』


「う、」

女神がビクッと肩を震わす。


『まさか、お前じゃないよな?』


チラッと女神の方を見る。


「ちちち違います!何言ってるんですか!?バカなのですか!?」


わかりやすく焦る女神。


『だよなー7数えるなんて、幼稚園児でもできるもんなー。

女神様ともあろうものが、幼稚園児以下の知能とかありえないよなー』


「……」


赤くなってプルプル震えている女神様を、チラチラ見ながら言う。


『数を数える事もできないとか女神不適合者だなww

そんな女神いるなら見てみたいなー』


「…るいですか?!」


『ん?』


女神の我慢が限界に達し、そして爆発した。


「数え間違えちゃ悪いんですか!?

誰にだってミスはあるじゃないですか!!

それをネチネチと責めなくてもいいじゃないですか!

うぁああああああああああああん」


大号泣である。

さっきとは違う、

うん、大号泣である。


いやいや、あんたのうっかりミスのせいでこちとら突然大冒険なんだよ。

悪いか悪くないかで言ったら悪いわ!

つか開き直るな!反省しろ!


「どうせ女神不適合者ですよぉおお!

みんな私をバカにしてぇええええ!!

ふぇええええん!」


他の誰かにも言われてたのか、

完全に地雷踏んだな。


「だから!だからぁ、貴方がこの世界の事が分かるように、出現場所考えてあげたのにぃいいい!!」


あ、一応俺の事考えてくれてたのか。

その一言で何故か自分が悪い気がして来る。

いや、正直俺には一切の落ち度は無いんだけど、何故か罪悪感がジワジワと………。


『ごめんって、俺が悪かった。

ちょっと言い過ぎたよ。

誰にだってミスはあるよな?

それは仕方がない事だ。

後悔するより次に活かして行こうよ?

ほら涙拭いて』


収納空間に入れてあった布を渡して、頭を撫でてなだめる。


「うぅ、」


抱き付いてきて服に顔をスリスリしてくる。


あーあ、そんな事したら鼻水とかが……、

もう良いや。


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