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1話 目覚めたら異世界に

………



真っ暗だ。

何も見えない。


ここはどこだ?


高2の夏休み、帰宅部である俺は、特に休み中やる事もなくダラダラと怠惰な毎日を過ごしていた。


そして夏休み最後の日、


『この素晴らしい時間が終わってしまう』と言う現実を受け入れられなくて、自室の布団に入り、ふて寝していたはず。


少なくとも、今いる場所は自室ではない。


何故か、閉鎖的な空間にいる感じがする。


耳を済ませてみると、ガタッガタッと何かを運ぶような音が聞こえてきた。


え、今、俺は運ばれてるのか?


何故?


人を箱の中に入れて運ぶ………?


ふと思い浮かんだ、不吉な二文字……


棺桶?


事態を整理してみよう。


『本当に棺桶の中に居る』と言う確証は無いが、そこを疑っていては話が進まないので、『棺桶の中、なう』を前提に考えて行こう。


現在、俺は棺桶の中にいます。

その棺桶は運ばれています。


棺桶が運び込まれる場所と言ったらどこだ?

日本は火葬が主流だったはず…………つまり、


このままだと、意識がある状態で火葬されるって事になるよね!?


ヤバい! 本当にヤバイ!!


オイ!! 俺は生きてるから!!

燃やすのはやめてくれぇええええええええええええ!!!


そう叫ぼうとしたが、俺の声は全く聞こえず、運ばれる時に出るガタガタと言う音しか聞こえなかった。


あれ? 声が出ない?!


何で声が出ないか、については後で考えよう。


今は、俺が生きてる事を周りに知らせるのが、最優先事項だ。

そう思い、手足をジタバタさせようとするが……、


音や、衝撃が発生する事は無かった。と言うか、目が覚めてから、手や足といった身体の感覚が全く無い。


………まさか、植物人間状態?!


最悪じゃねーか! ふざけんな! 意識がある状態で燃やされるとか拷問かよ!

医者! しっかり検査してくれよ!!


身体の感覚は無いけど、思考は超クリアだから!! かつて無い程、働いてると思うから!!


まぁ、全く体が動かせない状態で、生き続けるとか、

勘弁願いたいところだが……せめて、せめて睡眠薬とかで意識を消して下さいよ。



もうダメだ。

諦めて寝よう。


願わくば、このまま眠った状態で逝きたいな。

火葬途中で目が醒める、なんて最悪の事態は回避したい。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



突然、暗闇の中に光が入ってきた。


ん? なんだ?


もう天国に着いたのか?

それとも、さっきのは夢オチだったとか?


そう思い見上げて見ると、蓋が半分くらい開けられていて、その隙間から二つの巨大な顔がこちらを覗き込んでいた。


あ、どっちでも無さそう。



「ーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


「ーーーーーーーーーーーー」


「ーーーーーーー?」


「ーーーーーーーーーー。ーーーーーーーーーーーーーーー」


箱の中を覗き込んでいる2人は、日本語や英語では無い謎の言語で会話していた。


1人は気持ち悪い笑みを浮かべ、もう1人は自信に満ちた表情を浮かべていた。


2人は暫く話し込んだ後、満足した顔で箱の蓋を中途半端に開けたまま出て行った。


気を取り直して周りを見回すと、一冊の豪華な装飾のされた本があった。と言うか、本しか(・・)なかった。


初めは、自分が本になってしまったか? と思ったが、どう見たって俺はこの本を外から見ている。


じゃあ、俺は空気になったのか?

それとも、実はあのまま火葬されていて今は幽霊という事か?


取り敢えず、本を触ってみる。

手とかないけど……


そうすると、


【書物〈世界の記憶〉を吸収しますか?】


の文字が頭の中に流れて来た。


何だこれ、よく分からないけど……、


はい。


そう返事するや否や、黒い霧みたいな物が本を覆い始めた。


多分、この黒い霧みたいな物が自分なのだろう。

何となくだが、その突拍子の無い発想が当たっていると確信が持てた。


起きてからずっと体の感覚が無いと言うのも、俺がこの黒い霧だったら説明が付く。


霧に手足と言った身体は無いしな。


それに、見回すと言っても目の向いてる方だけとかじゃなくて、全方位隈なく見えるのも人じゃ無いからだろう。



でも! せめて実体は欲しかった!


そんなことを考えているうちに本の吸収が終わった。


……………


うがぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!



膨大な知識が頭に飛び込んで来る。


それは、まるで脳を直接金属バットで殴られたような衝撃…


に、耐えきれず気を失った。


まぁ、脳どころか、そもそも金属バットで殴られた事なんて無いんだけどな。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



おはようございます。


目が覚めました。


どうやら気を失っている間に、全ての情報の整理が終わったらしい。


この世界の言語や地図、歴史などの基礎知識が頭のなかに入れられていた。


異世界アヴァリアル


主神であり、正義と平等を司る女神ユーストレイアが治める世界。


王国ラディス


帝国ウィルティード


学国クノーレ


聖国エイリオン


の4大国家から成り立っている。


人や亜人、魔人などが住み、ドラゴンなどのモンスターも存在する。


レベルやステータスはもちろん、魔法やスキルなどもあるらしい。


え、何これなんてゲーム?


取り敢えず地球ではないらしい。


そして、今俺がいるのは王国の王城の宝物庫らしい。


つまり、お宝がザックザク、強い武器もザックザクなのだろう! そうに違い無い。


多分、俺の能力?は『物を吸収し自分の力にする』

とかだろうし、


吸収祭り不可避だ!


フワフワと箱から脱出する。


まずは台座の上に置いてある、派手な装飾を施されている石を吸収しよう。


なんか凄そうだし。


【鑑定石Lv.10を吸収しますか?】


はい!


【鑑定石Lv.10を吸収しました。】


【スキル:鑑定Lv.10を手に入れた】

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