怪少女のバラード
誠に恐縮ながら、お嬢様は”人間”がお嫌いです。
日本人、外国人、現代人、偉人、商売人、宇宙人、地底人、ネアンデルタール人……
およそ”人”と名のつくものを目にすると、途端にお体を震わせて、嘔吐なされてしまうのです。
お嬢様は”人間”がお嫌いです。
その反動か、人間以外のあらゆる”生き物”への慈愛は、常軌を逸しておられます。
犬、猫、ハムスター、植物、昆虫、爬虫類、怪獣、ロボット、チュパカブラ……
彼らを守るためならば、自らの生命すら容易に投げ出されようとされるのです。
お嬢様は”人間”がお嫌いです。
けれども当方は、そんな”お嬢様”を、心の底よりお慕い申し上げております。
このお話は、ある山奥にお住いの”お嬢様”を取り巻く、”生き物”たちの取り留めもない身の上話です。
形式は連作短編。第三話までございます。
彼らは、あまりに繊細で、あまりにか弱い”生き物”たちです。
どうか暖かい目で、見守ってくだされば幸いです。
重ねて、よろしくお願い申し上げます。
かしこ
――幇助監督局一等幇助官 金井塚京子
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