船病死者は審美眼と独り語る
異性同士の恋愛は、実に8割が薄っぺらく醜いモノだ。
何故かと聞かれたら、それが普通だからじゃないかと俺は答える。
男女で付き合うと言う事が世の中で普通とされているから、簡単に結ばれ簡単に壊れてしまう。
なら、同性同士の恋愛はどうだろう。
俺は苦い体験を二度も味わっているけど、恐らくそんなのはごく少数だ。
同性同士の恋愛は、恐らくとても素晴らしいモノに違いない。
……異常扱いされているから。
本当に悲しい事だけど、同性同士で愛し合う事は、人間社会は愚か動物園でも異常とされているのが現実だ。
誰にも知られずに守り抜き育んだ愛、あるいは現実や周りの目を意志の力で砕いた末に掴んだ幸せは、何にも代えがたいモノだ。
あれも異常、これも異常と、勝手に決めつける世の中はとてつもなく醜い。
痛みを伴う鮮血や、吐き気を催す魂の抜けた器にも美しさを感じる俺を……異常とみなして激しく攻撃するから。
それはつまり、俺が美しいと思うモノ、好きだと思えるモノ全てを否定し、罵倒する事と同然の行為。
なので、俺は世の中が美しいとするモノを醜いと罵倒してやろう。
そして、自分が思う美しいモノへひたすら愛を叫んでやる。
……だから誓おう。彼女への好意は、俺の中で何よりも美しいモノであり続けると。