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標的の如く薄い夢の中で
理想なんて、薄い氷の張った池みたいなもんだ。
あっさりと壊されて、お前には無理だって事を嫌と言うほど思い知らされる。
つまり思い知らされる前に実現させなければいけない、と言う事だ。
そんな事を言う俺の理想は、もう叶っている。
自分より年下で、少しだけひねくれていて。どこか他の少女達とは違う、決して壊れない儚さを見せる。
そんな彼女によって、壊れる寸前だった俺の理想は叶えられた。
だから俺は、聞こえないほど小さい声で彼女に言うのだ。
この世にどれほど魅力的な女の子がいたって、俺の中では君だけが特別だから振り向かない。
嘘の理想ばかり語る情けない奴だけど、君のためなら精一杯頑張る、と。
異常だらけの俺を嫌いにならないって言ってくれた彼女が、本当に愛しく思えて直接愛を叫ぼうとしたけど。
常に眠い彼女の事だ、きっと寝ているだろう。
そう思い、こうして独り言にした。
魔法は汚れに閉じ込められた。代わりに掴むは、救いのための狙撃銃。