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イカロスと戦闘機
誰かに理解されない苦しみなんて、誰かを理解しなければ感じない。
理解されない事を苦しいと思う俺は、きっと不特定多数の誰かを理解しているんだろう。
故に人とは違う所を歩いている。
例えるなら、戦いで荒れ狂う夜の世界、その上空。
拒絶と言う名の小さな銀紙をばらまき、誹謗中傷の弾丸を陸や海と撃ち合う。
自分は圧倒的に劣勢。
そんな中で死なない俺は、神に等しい存在じゃない。そもそも神がいるとも思わない。
俺の武器は怠惰ただひとつ。だから戦いに負けはしないってだけだ。
汚れた地上じゃどうにも住めない。
かと言って、絶望の海じゃ息が続かない。
となれば、敵が多いけど自由な空に逃げるしか道がない。
だから逃げた。
……けれど、この道に行けた事は誇りに思っている。
世の中には、空に飛びたくても飛べない奴が腐るほどいるから。
地上への未練がなかった俺には、その気持ちは分からない。
分からないけど、ただひとつ分かる事がある。
未練とか言う醜いモノに縛られている奴に……
この汚れなき空を飛ぶ資格なんて、ない。