氷蝕病の傭兵王
今まで生きてきた中で、どれほどの人を傷つけただろう。
今まで生きてきた中で、どれほどの人に傷つけられただろう。
俺のココロの痛みは尋常じゃない。思い出せば思い出すほど、深まっていく。
そんな痛みを、俺は思い描くための武器にした。
酷く歪んだその武器で、今も傷つけられている誰かを俺は助けているだろうか?
永久不変のハズだったココロの仇をとれているだろうか?
答えは出せない。出す気もしない。
俺が冷たくなったからだ。
いや……散々自分の世界にひきこもり、攻撃して来た者をひたすら傷つけたと言う前科もある。
多分最初からとても冷たいのだろう。……攻撃してきた敵にだけ。
敵に冷たいからこそ、干渉したいと思った誰かに手をさしのべられる。
……そして、簡単に深い傷をつける事が出来る。
俺の言葉で、愛する人を傷つけているかもしれない。
いや……俺の世界があるだけでも、彼女だけじゃない、大切な人達を傷つけているかもしれない。
程度の差はあれど、それならそれで……
俺は永久に自分を責め続けよう。
大切な人達を傷つけたくない。皆が怒っている時はサンドバッグになって、苦しい時は寄り添っていたい。
負の感情を生み出す原因になりたくない。
だから時々手首を切っている、と言う訳ではない。あれは欲求不満の解消のためだ。
俺は自分の世界の数少ない人達を、ただ一人の愛しい人を守りたいだけ。
……こんな綺麗事みたいな言葉でも、誰かを傷つけているかもしれない。
だから自分を責めつつ、今夜も言葉を紡ぐ。
遺された傷は痛むままに、悲しい意味を言葉に残して。
『氷蝕病』は氷食病と掛けてみた造語です。
なんか、自分が何もかも客観的に見ている気がして……すっかり駄目になったなーと考えてました。
王様のままでいて許されるのは独りの時だけなんでしょうね。ああ虚しい。




