夢幻とグングニル
……夢らしい夢なんて、ない。
いつでも自分は、そう言う。
それは夢と言うよりは目標に近く、
目標と言うよりは願いに近いから。
言える訳ない。
どこか狭苦しいところでひとりぼっちで、
なんとなく生きて、
なんとなく働いて、
なんとなく死にたいなんて。
誰でもいつの間にか出来る様な、ぼんやりとした幻同然の夢。
誰かに話せる訳がないだろうに。
話したところで大人には伝わらないし、理解しようともしない。
子供は理解に苦しんだ末蔑む。
残るのは理不尽な絶望ばっか。
あーあ、今のままで幸せなのに、これ以上の幸福を求めるバカばっかの世の中なんか……
いっそ浄化されちまえ。
腹が立って仕方ない。
愚者もたまには自分の狭い世界を見たら良いのに。
そこには色々あるハズだ。
大事な人の死とか、
見落としていた小さな幸せとか、
受け入れてくれる人との運命の出会いとか。
なんでそのずっと先の、腐った世の中ばっか追いかけてるのか。
訳が分からん。
欲の海で溺死して、人格変わって生まれ変わる事の何が幸せなんだ?
女とか男に媚びへつらって、偽者の愛に溺れる事のどこが楽しいんだ?
……本当に汚い。見たくない。
そう思う俺は、まだ汚れてないと信じて……
小さな世界で心にもない理想の槍を掲げる。