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現代人メリーさん現る

作者: レノン

読み終わった後に、「は?」ってなるのはほぼ確実です。

メリーさんの話ですが別の意味で怖い話です。


 俺はある女の子から逃げていた。その子

は毎日頻繁に電話を掛けてきては自分の居場所を教えて勝手に切ってしまう。しかもどんどん近づいて来るのだ。

 なんならトイレで踏ん張ってる時も教えてくれる。


 なので下校後は自分の携帯が鳴る度に遠回りしながら追いつかれないように帰っている。



 こんな前置きはさておき、今日こそは戦おうと思うんだ。いつも逃げてばっかりじゃ彼女の思う壺だ。

 18時頃から何回もなっている着信音。だが一度ピタリと止まった。

 諦めたのか?


 そんなはずは無い。




LULULULULU、LULULULULU、LULULULULU……




 数分後、俺の携帯が鳴り出した。


 来やがったな?

 今日こそは……今日こそは戦おう。俺の後ろには壁だ。襲われる心配は無いはず!

 更に武器としてコンパスとデザインナイフを握っている俺としては、素手であろう彼女に負けるわけにはいかない。



 決心して俺は電話に出た。


『もしもし、私メ』

「おいメリーさん、今何処にいるんだ?」

『え? あ、貴方の家の前にいるの』

「ほぉう、なら早く来いよ。逆に俺が襲ってやるからよぉ」


ブツッ。プー、プー、プー……



 自分でもとんでもない事を口にしたなぁと思ったがよく考えたらどうせ俺の部屋だし今は家に誰もいない。

 そう、今ならどんな変態発言をしたところで聞く奴が居ないのだ。居るのは俺とメリーさんのふたりっきり。


「ふふふふ……フハハハハハッ!! ハーッハッハッハ! シチュまで最高じゃないか!!」




LULULULULU、LULULULULU、LULULULULU……




 再び電話が鳴り出した。奴だ。

 次はどうおちょくってやろうかと胸を膨らませ電話に出る。



「もしもし? 今どこだ?」

『もしもし、私メリーさん。今貴方の家の玄関にいるの』

「さっきとそんなに変わらねーな。いつでも来いよ。相手になってやるぜ!」


ブツッ。プー、プー、プー……


 ちょっと楽しくなって来たなおい。




 ちなみに俺の部屋は2階にあるので階段を上がる際には音がする。現に今もしている。


 俺の後ろには壁! 尻の下にはベッド! 両手には武器! 捕獲用の毛布!


 さぁ、どうする!




LULULULULU、LULULULULU、LULULULULU……




『もしもし、私メリーさん。今貴方の部屋の前にいるの?』

「ふっ、鍵は空いてるぜ? さっさと来いよっ!」


ブツッ。プー、プー、プー……


 さぁ本番だ。どうする、どっから来るんだ奴は? 後ろは持ちろんあり得ない。来るなら前か横くらいしか無いよな。




LULULULULU、LULULULULU、LULULULULU……




『……もしもし』

「あれ? まだ来ないの?」


 電話越しからでも分かる困っているメリーさん。困るのは当たり前だ。困らせたんだから。


『で、出来れば……壁から離れてくれない?』

「出来ません」

『お願いするの』

「ふっ、都市伝説でも有名なあのメリーさんが、たかが壁ごときに負けるのかぁ?」


 恐らく今の俺は最高にゲスいであろうが、都市伝説相手には仕方ないよな。先に仕掛けて来たのは向こうなんだから。


『な、ならば!!』

ブツッ。プー、プー、プー……


 電話が来れたと同時にタッタッタッタッタッタッタッと階段を素早く降りる音が聞こえた。

 ならば帰るってか?

 都市伝説も対した事ねーな、全く。準備した俺がバカだったな。




LULULULULU、LULULULULU、LULULULULU……




『も、もしっもしっ……うぎぎぎぎぎぎ……わたしメリーさん。い、いまっ! 貴方の壁の後ろに……』

「は? 壁の後ろ? って外だよな?」


 何故また外に? 遠ざかってないか?


『そうなの……だっ、だから早くこっち来て……』


 俺は後ろの壁に着いている窓を開けて外に顔を出した。庭にはいないな。


「う……うぅ……指がぁ……」


 でも声がするな。庭によく目を凝らしても全く見当たらない。そもそもメリーさんって人に見えているのか?

 有名な話だと幼女らしいからかなり目立つと思うんだが。


「メリーさーん」


 一応読んでは見たが庭から返事は来ない。どうやらいない様だ。

 窓から顔を引っ込めようとしたその時、携帯からメリーさんの声が聞こえた。しかも外から彼女本人と思われる透き通る様な小さい子の声がする。やはり近くにいるのだろうか。


『よ……よこっ!!』


 窓の右側に必死で壁にへばりつく女の子を見つけた。

 金色の髪に碧色の目、人形の様な赤い服。見た目的に中学生くらいか?

 恐らくこいつがメリーさんだ。


『こっ、殺さないから早くこっち来て……』


 距離的に1mも無いのにわざわざ電話で話すメリーさん。てかそれスマフォじゃね!?

 ちゃっかり時代の流れに乗ってるメリーさんに合わせて一応、俺も電話で答える。もちろんお互いに顔を見ながら。


「あ、あの……メリーさん? そんな事言っても信じられると思います?」

『お、お願いなの……うぎぎぎぎっ! 早く!! お願い!!』


 もはやキャラが崩壊しているメリーさんは俺の目には哀れなコスプレ少女にしか見えない。


「つかどうやって登ったんだよ。ここ地面から3mくらいあるぞ?」

『き、気合いで……うわッ!?』

「あっ!?」


 耐え切れなくなり手が滑り落ちたメリーさんの右手を俺は咄嗟に掴んだ。


「あっ、危ねえな! 落ちるなら最初から登るな! ドア開けて入れば良いだろ!」

『あ、ありがとぉぉ……なの』



 と、いう事で助けたは良いがこのあとどうしたら良いんだ?


 部屋に入れてしまったが、追い出すべきか……

 とりあえず俺はベッドに座りメリーさんは机の椅子に座る。見れば見るほど可愛い女の子だがメリーさんというからには人殺しなのだろう。

 だが見た感じだと武器になりそうな物は身につけていないな。素手で殺すという事か?48の殺○技でも使うのだろうか?


 とりあえず無言は気不味いので何か聞こう。


「な、なぁ。君さぁ、本当にメリーさんなのか?」


 コクリと小さく頷くメリーさん。や、やばい。可愛い。

 そんなメリーさんに俺はいちばん気になる質問をした。


「君は……俺を殺すのか?」

「い、今は……殺さない。また来た時殺るの」


 今は? じゃあまた来るのか!?

 てかいくら都市伝説でも中学生くらいの女の子が殺るとか言って良いのかよ!?

 ダメだよ! ダメに決まってるよ!!


「今日は……もう行くの」

「え、帰るところあんの?」

「あるよ!! それくらい!」

「あ、ゴメンゴメン」


 あれ? なんで謝ってんだ俺。

 てかメリーさんのあの口調は作ってるだけなのか。可愛いじゃないか。


「さよなら、また来るの」

「あ、あぁ。来るなら授業中は電話しないでくれよ」


 俺の言葉を聞いてくれたかは分からないがメリーさんはドアを開けて部屋を出ていった。


 時計を見ると時刻は21時になっていた。メリーさんが来てからまだ30分くらいしか経ってない。

 あれは本当にメリーさんだったのか?なんか違う気がするんだが。


 とりあえず携帯を開いて今日の不在着信を確認する。18時から50件くらい登録されていない番号で電話掛けて来ているのは全部無視だな。


 電話は……5件か。


「あぁーあ。疲れたぁ……」




LULULULULU、LULULULULU、LULULULULU……




「またかよ。はーい? もしもし?」

『おー! 携帯新しいやつ買ったんだけどさぁ〜使い方わかんなくて掛けまくったんだよ! アッハハハハハ』



 電話から聞こえるハイテンションな男の声、それは俺のよく知る人物であった。名前は雪村将史ゆきむらまさし。同じ高校に通う同級生である。


「なんだお前かよ。それいつ?」


 掛けまくったと言われても着信履歴のほとんどが登録されていない同じ番号から掛かって来ていたので、どれがどれだか分からない。


『18時くらいかな? いやぁー出なくて寂しかったぜ?』

「おいちょっと待て……とりあえず番号登録するから切るぞ」

『おー! 了解!んじゃまたなー!』


ブツッ。プー、プー、プー……


 俺の携帯は番号登録をすると、今まで登録されてなかった携帯から掛かって来た着信履歴や不在着信がそいつの名前に変わる。


 番号登録を済ませ恐る恐る着信履歴を覗いた。



「ま、まさかな。んなわけねーよな? は、はははははは」






 だがそのまさかであった。





 そこには、雪村将史という俺の友達の不在着信がどっさり溜まっていた。



 50件ほど……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公、都市伝説相手に頑張り過ぎですよね。かっこいいですよ にしてもメリーさん可愛いですね 友人もいい迷惑ですよね。不在着信50件って。5回くらいで諦めろよ。とか思いました。
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