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「魔力」で「四肢切断」は治るか? その3(仮)

※これは半ばほどからまだ検証中です。フローライトの物理の知識をもうちょっと補完してから完成版を執筆しようと思っておりますので、どうぞ寛大なお心でお待ちくださいませ。

 なかなか長くなってきた『「魔力」で「四肢切断」は治るか? その3』です。


 前回治癒魔法で四肢切断が再生する手段として、ちょっとあれな方法を紹介したフローライトですが、今回はある意味まっとうな抜け道その二のほうを紹介させていただきます。

 ですが、その前に。表題にもなっている「魔力」。これについてちょっとばかり検証させていただきたいと思います。





 「魔力」。およそファンタジー作品で、これに類する単語が出てこない小説というのは存在しないだろうと思われるくらい、浸透しきった単語です。

 ですが、私はこの「魔力」という言葉について、昔から大いなる疑問があったのです。



 「魔力」って、本当に「力」なの? ――と。



 魔力。私たちがごく普通に触れ、使うこの言葉。もともとは「魔羅(マーラ)」という仏教学的な悪神の類ですね、それらが使用する神通力、の意味で日本でも昔から使用されはいました。しかし明治以降、「魔法」という概念が外から入ってくるにつれ、「魔力」という言葉も特に西洋の「魔法」に使用される神秘的な力、というのを指すようになったのです。

 といっても、「魔法」に似たような言葉は非常に多く。今ぱっと思いつくだけでも、魔術、魔導、魔道、妖術、仙術、方術、呪術、まじない、などなど。これらは意味の上で明確に分けられていないのが実情です。

 また「魔力」にしたって、妖力、魅力、霊力、神通力、通力、超能力。さまざまな言い換えが可能で、やはりこちらにもさしたる差は存在しない。せいぜいが感覚的なもの、あるいは和物、洋物の違いくらいでしょう。


 しかし、それら「魔力」に近い言葉に共通するのがそれが「力」――「エネルギー」の一種である、と漠然と理解されている点です。


 さて。冒頭にも書きましたが、今回の疑問はここです。

 「魔力」って、本当に「力」「エネルギー」と分類してしまっていいのでしょうか?



 「魔力」。もともとは「魔羅の神通力」という意味で、言葉をそのまま分解してみれば「不思議な」「力」。ではここでいう「力」の定義とはなんぞや? という話になるのですが。

 ドイツ語で「Energie(エネルギー)」、英語で「Energy(エナジー)」、「物理学において物体がもつ仕事をすることができる能力の総称」。それが一応「力」の定義です。

 ちなみに古来はラテン語で「vis」と表記され、十九世紀までは英訳でも「Force」とされていたはずです。「Energy」と表現されるようになったのは十九世紀の初めだったか、半ばだったか。うろ覚えの豆知識です。後期ではなかったことは確かなのですが。


 この定義の「仕事をする」という概念がちょっと厄介で――私も物理学は初歩しかしていないので感覚的にしか理解していないのですが――要は、「仕事をする」とは「物体から物体にエネルギーが移動する」という意味、だと思います。間違っていたらごめんなさい。「力」という定義を説明するのに、なぜその中に「エネルギー」という言葉が出てくる、と盛大に眉間にしわを寄せたのですが……ほかに言葉が見つからず。


 こほん。まあ、つまり、「魔力」という言葉は、「魔」と「力」に分解して突き詰めてみれば、「不思議な」「仕事をする」もの、ということになります。


 この「不思議な」というのがつまり、現象としては説明可能だけれど、力学的には説明不可能な事象を説明するための便利な言葉です。つまり、エネルギー保存の法則に反していない、ということですね。

 詠唱一つで火を噴いたり、雷を呼んだり。これらは実際、どういう現象なのかは説明がつくのです。――任意の場所に可燃性ガスを集めて空気の粒をこすり合わせて火花でも散らせば火は燃え上がりますし、可燃性ガスの量を調節すれば爆発だって起こせます。空気の粒をこすり合わせて局地的に極端な電位の差を生み出せば雷だって落とせます。――ただ、どれもそれを行うための「力」、エネルギーがない。あるいは、現在の人間の科学ではその存在を確認できない。


 だから「不思議な」「力」。それが「魔力」をはじめとする様々な言葉の基本となる概念で、おそらく間違いないでしょう。


 しかし!


 「魔力」が「力」、「エネルギー」の一種だと説明してしまうと、いろいろと矛盾が生じることがあるのです。


 たとえば、治癒魔法。時をさかのぼる方法はわからないのでそちらの治癒魔法は置いておくとして、自然治癒力を喚起させる方の治癒魔法なのですが、魔力が「エネルギー」なのだとしたら、これをどうやって説明すればいいのでしょう?

 自然治癒力を喚起させる。いうのは簡単です。ですが、魔力が「エネルギー」だとすると、私には説明しきれません。せいぜいが足りない栄養はそのへんから持ってきたのだろう、とかろうじていえる程度です。説明してくださる方がいらっしゃればぜひともお願いいたします。


 たとえば転移魔法。物体をあちらからこちらへ瞬時に移動させる魔法です。これも魔力がエネルギーの一種なのだとすれば説明がつかなくなります。というかそもそも、そこにあったものが瞬間的に消滅して、別の場所でまた瞬間的に現出するなら、起きるのは核爆発ですよ。転移魔法は現実問題として不可能なんじゃないかというのもずっと疑問でしたが……。あれ、本当にどういう仕組みなんでしょうね?


 と、まあ。脱線しましたが、魔力=エネルギーだとすると、少なくとも私は、これらのことに対し説明ができなくなります。単純な攻撃魔法ならいくらでも説明可能なのですが、それはともかくとして。

 かつて、私がこれらの疑問に突き当たった時。「魔法世界のリアリティ」を求めていたフローライトは、「魔力」を「エネルギー」だと考えるからおかしなことになる、と結論しました。そして、最終的にフローライトが思い至った「魔力」の一番しっくりくる表現は、これ。


 ありとあらゆる元素に変化可能な、万能元素。それこそが「魔力」である。


 ……「なにそれ!?」という突っ込みは甘んじて受けます。しかしこうすると私が説明できないことにも一本筋が通るのです。


 例①、治癒魔法。魔力(万能元素)を必要なだけ集め、欠損した部分に相当する物質に変換する。はい、おしまい。

 例②、転移魔法。たとえば人が転移する場合ならいったん人を魔力(万能元素)に変換し、転移先で体を再構築する。魂というものがあるとするならば魂を転移先まで運んで体に連結しなおして、はい、おしまい。

 ……ものすごく無茶で斬新な発想だということは承知しております。でも、私にはこれしか思いつけなかったのですよ……。



 こほん。そして、この魔力=万能元素という設定が、まっとうな抜け道その二です。

 つまり、失った部位があっても魔力で再構築→連結、という過程をたどるならファンタジーっぽいやり方で四肢切断が治癒する、と。……抜け道その一とどちらがましなのかは皆様の評定にお任せいたします。


 ちなみにこの魔力=万能元素説。フローライトの小説にも使用している設定なのですが、「それだったらこれが説明つかなくなる!」のようなご指摘がございましたらどしどしお願いいたします。私もちょっとこれについては想像したはいいものの具体的な想像が今一つできず、まだ論説として穴が多いかと思われますので。




 さて、唐突に突拍子もない持論を展開、というより放り出した今話でしたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 この話に対しての意見・反論・批評などは随時受け付けております。「ここちょっと変」や、「いやいやこうなんじゃないの?」などのご指摘がございましたらぜひぜひ教えてくださいませ。

 また、それらのご指摘は感想をくださった方の承諾なく本編に追加させていただく場合がございます。ネタとして使用されたくない場合はその旨お教えくださいますようお願い申し上げます。


 それでは、また。


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