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穴の中
穴に落ちてからどのくらい経ったのだろう。
私の体は、まだ底にはついていなくて、
不安なんて何故かなくて、
涙も止まっていて、
暖かいだななんて思っていた。
目を開けて見るとまだ穴が見えていて、
赤い瞳の持ち主もこっちを見てた。
自然と腕が動いて、手を伸ばしていた。
「君は、本当にそれでいいの?」
そう聞こえた気がした。
私は、答えず目を閉じた。
それと同時に、穴の入口は小さくなった気がした。
「君は本当にそれでいいの?」
彼女に向けて言った。
でも、答えてくれなかった。